「アクセシビリティ」(Accessibility)って、聞いたことありますか?
大辞泉によると「近づきやすいこと。物を得やすいこと。また、道具などの使いやすさ、情報やサービスに対する利用のしやすさ。」とあります。コンピューターの世界で言うアクセシビリティとは、より情報を得やすくすること。中でも、身体に障がいがあり一般的な操作が困難な方向けの機能を指します。
特にAppleは、アクセシビリティに注力していることで知られています。つい先日もVoiceOver(後述する画面読み上げ技術)が評価され、アメリカ盲人擁護協会(AFB)の2015年ヘレン・ケラー賞を受賞しました。
また、2014年の株主総会で株主から「もっと利益に注力すべきだ」と言われた際、Apple CEOのティム・クック氏が珍しく声を荒らげ、「視覚障がい者向けの機能を開発する際、私はROI(投資利益率)なんてくだらないことは考えない。もし利益にのみ注力しろと言うのならうちの株は買うな」と答えたことは有名です。実際iPhone/iPadのアクセシビリティは他社製品に比べ抜きん出ており、多くの障がい者がApple製品を愛用しています。
さて、この記事を読んでいる多くの方は恐らく健常者でしょう。「アクセシビリティを知って何か役に立つの?」と思われるかも知れません。ポイントは3つあると思っています。
今回はiPhoneのアクセシビリティ機能について、「健常者を含む多くの人にアクセシビリティを理解してもらう」ことを主旨にご紹介したいと思います。より具体的な使い方は以下のサイトを参考にしてください。
また、ソフトバンクから「視覚障がい者向け使い方教室」という無料アプリがリリースされています。ご興味のある方はぜひこちらもお試し下さい。
Appleのサイトにはアクセシビリティ機能を紹介する専用のページが設けられています。
多くの機能が紹介されていますが、特筆すべきはヘレン・ケラー賞を受賞したVoiceOverでしょう。視覚障がい者向けの機能で、ジェスチャーによる操作と音声によるフィードバックを提供します。試しに使ってみましょう。以下スクリーンショットはiOS 8.3を搭載したiPhoneのものですが、iPadやiPod touchでも基本的には同じです。
「設定」アプリを開き、「一般」→「アクセシビリティ」と進むと、各種サポート機能のオン/オフが行えます。が、ここで有効にするより、「ショートカット」として設定しておくほうが戻すときに楽です。「アクセシビリティ」画面の一番下に「ショートカット」がありますので、こちらを開いてください。
このショートカットとは、ホームボタンを3回押ししたときの挙動になります。今回はVoiceOverを試したいので、こちらにチェックを入れましょう。その他の項目は任意ですが、簡単に試せますので全部チェックしてもらっても構いません。
設定後、ホームボタンを素早く3回押すと、上記で有効にした項目が表示されます。なお1つしかチェックしていない場合は、メニューが出ることなく即座に切り替わります。
ここでは「VoiceOver」をタップしてみましょう。「VoiceOverオン」とiPhoneがしゃべるはずです。聞こえない場合は音量を調整しましょう。VoiceOverが有効になると、操作方法がガラッと変わります。あまりに変わるので、戻し方を知っておくことが重要です。戻すには、再度ホームボタンを3回押しします。
有効な設定にチェックが入っていますので、オフにしたい項目(ここではVoiceOver)をタップして選択した後、ダブルタップしましょう。タップで選択してから、ダブルタップです。大事なことなので2回、言いました。VoiceOverのチェックを外すと「VoiceOverオフ」としゃべり、通常の操作方法に戻ります。
戻し方を覚えたのでもう怖いものはないですね。ではもう一度VoiceOverを有効にしてください。なお、ホームボタンのショートカット以外にも、Siriを使って切り替える方法もあります。ホームボタン長押しでSiriを呼び出し、「ボイスオーバーオン」「ボイスオーバーオフ」で設定変更できます。Siri経由のほうが簡単ですが、ホームボタン経由のほうがより確実ですので両方覚えておくと良いでしょう。
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