“連続ドラマ”感覚で英語を楽しめる――スマホで学べる「英語サプリ」の秘密(1/2 ページ)

» 2016年01月14日 13時51分 公開
[房野麻子ITmedia]

 グローバル化される社会において、英語力の必要性はますます高まってきている。しかし、中学、高校、人によっては大学まで英語を学んできても、会話ができない、ネイティブスピーカーが何を話しているのか聞き取れないという人は多い。ちまたに英会話スクールが乱立し、スマホ向けの英語学習アプリも数多く配信されている中、リクルートマーケティンクパートナーズがひと味違った英語学習アプリ「英語サプリ」(iOS版)を、2015年10月末から配信している。

photo 「英語サプリ」

 今回は、リクルートマーケティングパートナーズ 「英語サプリ」プロデューサーの笹部和幸氏と、開発全般のリーダーを担当したネットビジネス本部の加藤明寛氏に、現在の英語学習における課題と、それを解消するために英語サプリで工夫した点を聞いた。

photo 英語サプリを企画したリクルートマーケティングパートナーズの笹部和幸氏(左)と、開発を担当した加藤明寛氏(右)
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“入試改革”に対応できる英語学習サービスを提供

 英語サプリは、「受験サプリ」を始めとするサプリシリーズの流れをくむサービスだ。サプリシリーズは、クオリティの高い講義動画が月額980円(税別)で見放題となるオンライン学習サービスで、高校生を対象にした受験サプリのほか、小中学生向けの「勉強サプリ」、英単語に特化した「英単語サプリ」、料理レシピの動画を配信する「料理サプリ」などが提供されている。

 笹部氏に開発の背景を聞いたところ、長く英語を勉強しても、本当に使えるのは帰国子女か海外留学経験者だけという現在の状況を残念に思っていたのはもちろん、「2020年大学入試改革」も大きなポイントだったという。この入試改革でセンター試験が廃止になり、「大学入学希望者学力評価テスト」が導入される。英語のテストは「読む・聞く・話す・書く」の4技能を重視する評価に変わる。

photo 企画を担当した笹部和幸氏

 「業界では、明治維新以来の英語教育改革のタイミングといわれています。なぜなら今までは現場の学校で教育を変えても、入試で評価されないという課題があったからです。今度は出口である入試が大きく変わるので注目度が高くなっています」(笹部氏)

 しかし入試改革にも大きな課題がある。現場の英語教師が4技能を生徒にトレーニングできる環境が整っているのかという問題だ。従来型の英語教育では、単語や文法、読むことを教える方法は確立されているが、話すことについては確立されているとは言いがたい。海外留学の経験がある教師も限られている。

 「教師のスキルを上げるよう文科省は指示していますが、日本の先生は諸外国と比べてとても忙しい。短期で先生のスキルが上げることは難しい側面もあるため効率化できればと考えました」(笹部氏)

 英語サプリには、こうした効率化を図る狙いもある。もともとサプリシリーズは、地域的、経済的格差がある中で、よりよい教育機会を幅広い人たちに提供する目的で開発されてきた。英語サプリも、留学生や英会話スクールに行ける人だけが4技能教育でメリットを得るのではなく、「安価で高品質なサービスで、誰でも4技能を身に付けられるプラットフォーム」として提供。

 特に、教育現場で最大の課題とされている「話す」と「聞く」能力を伸ばすサービスとして開発された。学校の授業や宿題で活用してもらうことも予定しており、学校で最近、導入が増えているAndroid端末用のアプリも3月下旬に配信予定だ。

学習教材としての完成度とゲーム的な楽しさを両立

 アプリの開発にあたっては、英語教育の第一人者である上智大学の吉田研作氏を総合監修者に招き、「CEFR(セファール)」と呼ばれる語学の能力レベルを示す国際標準規格にのっとって学習内容が決められた。CEFRには、「基本的な言葉で自分の名前や気持ちを伝えられる」「身近なことがらについて簡単なやり取りができる」など、レベルに応じて達成すべきことが定められており、これに準じる学習が組まれている。

 一方で、「学生が楽しく使い続けてくれるもの」という視点も必要だ。英語が苦手なメンバーの「学習教材的な、現実にはありえない、どうでもいい会話は耐えられない。ストーリーがないと続かない」という実体験から、レッスンに物語性を持たせることにした。

 「『逆転裁判』などのシナリオを手がけているジンテーゼさんにシナリオを作っていただきました。開発の難易度は高いのですが、英語学習教材としてちゃんとした内容で、物語としても楽しく続きが気になるものを両立させようと努力しました」(笹部氏)

 CEFRの基準を満たしながら、物語として興味を引くものにすることには大変な苦労があったという。シナリオ開発側は、当初、舞台を無人島に設定。集まった人たちが1人、また1人と消えていき、最後に謎が解明されるという海外ドラマのようなストーリーを考えた。しかし、これでは「レストランで料理の注文をするシチュエーションも入れられない」(笹部氏)。回想シーンで対応できると開発側は粘ったが、不自然すぎるということで残念ながら採用できなかった。

1本のストーリーで聞き取りと発話を学ぶ

 学習コースは現在、Lv.1からLv.6まで6コースあり、1つのストーリーが流れていく。レベルが上がるにつれ主人公が高校生から大学生、社会人へと成長。主人公をとりまく人々がいて、恋人と付き合ったり倦怠(けんたい)期に入ったりもする。コースは連続ドラマを見るように楽しめ、アプリの画面はさながら恋愛シミュレーションゲームのようだ。

photophoto リスニングの教材はストーリーがあり、飽きさせない作り(画面=左)。ノベルゲームのような画面(画面=右)

 ストーリーにはターゲットの中高生が興味を持つ、恋愛やSNS、スマホの話などを取り入れている。トレーニングが終わると習熟度のスコアが表示されるのだが、「スマホ世代のユーザーがゲームのように学習を進められるように」、点数が表示されるときの演出もゲーム的だ。なお、ストーリーは毎月追加されている。

 トレーニングは「物語の中で英語を理解できる作り」で、会話の音声を聞いて、質問に答えることで内容の理解度をチェック。話している単語を書き取るトレーニングもある。「なりきりスピーキング」という、物語の1キャラクターに自分がなりきって発話するトレーニングが最後にあり、スマホに向かって英語でセリフを話すと、音声認識機能で判定されスピーキングの評価が出る。「あ」と「え」の中間音など、発音の細かいアドバイスもフィードバックされるから驚きだ。レッスンの会話を音声で振り返り、最後にトータルスコアが表示。次回の内容予告が表示される、といった流れだ。

photophoto 「内容理解クイズ」で会話の内容をチェック(画面=左)。音声を聞いて単語を書き取るトレーニング。キーボードはタップできる英字が限定されているので、トライしてみようという気持ちになる(画面=右)
photo 各コースに担当講師がつき、リスニングやスピーキングのポイントをビデオで解説してくれる
photophoto キャラクターになりきってセリフを発話する「なりきりスピーキング」(画面=左)。音声認識機能で正しい発音をアドバイスしてくれる(画面=右)
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