以上のように、緊急事態に何かと役立つ本製品だが、それ以外の有線接続のメリットや、ハードウェア面での特徴についてもおさらいしておこう。
有線接続であるメリットとして、ペアリングなどの作業がいらないことに加えて、Lightningコネクター経由で給電されるため、充電が不要なことも挙げられる。Bluetoothキーボードの多くはバッテリーが長寿命であるため、定期的な充電がおろそかになりがちで、ある日いきなり使えなくなることもしばしばだが、本製品であればそうした懸念もない。バッテリーを内蔵しないため、約330gと軽量なのも持ち歩くうえでの利点だ。
またBluetoothキーボードでは、iPhoneやiPadから認識されない場合にバッテリーの残量が原因なのか、あるいはペアリングの不調なのか、はたまた故障か、挙動だけでは原因の切り分けがしにくいことがあるが、本製品はその種のトラブルとも無縁だ。MFi認証も取得しているので、今後のOSアップデート後に問題なく利用できるのも安心だ。
キートップの印字通りに入力できるのも、隠れたメリットと言っていいだろう。最近のBluetoothキーボードはAndroidやWindowsなど複数のプラットフォームに対応するのが一般的だが、それゆえキートップの印字が複雑化しており、どのキーを押せばどの文字が入力できるのか、判別しにくいこともしばしばだ。特定のプラットフォームとだけ組み合わせて使う場合、このことがかえってストレスになることも多い。
その点、本製品はiOS専用ということもあり、もともとUSキーボードに印字がないカギかっこ(「」)を「{」と「}」で入力するのを除けば、キートップの印字と入力される文字とが完全に一致している。筆者はもともと日本語キーボード派でUSキーボードはあまり使い慣れていないのだが、印字と一致していることから、使っていてもストレスが非常に少ない。「enter/return」キーの形状の違い(日本語キーボードは2段だが、USキーボードは1段)よりもこちらの方が重要というのは、個人的にも意外に感じた。
品質や打感はどうだろうか。ボディーは樹脂製で、金属製のような高級感はない。ただしキーのストロークは約3mmとかなり深く、キーピッチも約19mmとむしろ広すぎるほどだ。材質の見た目で損をしている印象だが、打感そのものは悪くない。
ただ、キーの反発力が強いせいか、入力時の音はそこそこ騒々しく、会議やミーティングで使う際は、周囲に若干気を使う。一般的なノートPCと比較してもかなり大きい音なので、図書館など静かな場所で使うのはちゅうちょする。
もう一つのネックは、ケーブルが全長約47cmとやや短いことだ。通常利用ではなんら問題ないが、例えばiPadをデスク上に置いたままキーボードを膝の上に乗せるといった使い方をしようとすると、長さが足りないことに気付かされる。本製品のLightningケーブルは本体じか付けなので交換できず、特殊なレイアウトを考えている人は要注意だ。
以上ざっと見てきた。タイピングの音がやや騒々しいので静かな共有スペースでの利用には向かないが、自宅などで使うぶんにはなんら問題ない。前半で紹介したように特殊な用途にも対応できるので、通常利用はもちろん、予備で使えるキーボードを探しているという人にもおすすめだ。
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