前回の連載でも触れたように、UQコミュニケーションズ(以下「UQ」)は2月から、「4×4 MIMO」と「キャリアアグリゲーション(CA)」を組み合わせた下り最大440Mbpsエリアをほぼ全国に拡大しました。
2月1日付けで公表されたサービスエリアマップを見ると、2017年1月末までに準備済みだった場所が多かったようで、全国の広い範囲で下り最大440Mbpsに対応できています。一方で、1月25日の報道関係者向け説明会で触れられた通り、九州地方でのエリア展開は遅れていることも分かります。
(記事内の通信速度は特記のない限り全て「理論値」)
振り返ると、WiMAX 2+の下り440Mbps対応予定が明らかになったのは、2016年10月24日の「2016秋冬UQ発表会」でした。発表会にて発表された下り最大440Mbps対応エリアは「2016年12月サービス開始予定、東名阪エリアで展開」という情報しかなく、その後のエリア拡大などについて、はっきりとした予定は公開されませんでした。
普通なら、通信事業者は他社サービスと比べて優位な情報は積極的に公開します。しかし、UQはこの発表会はもちろん、サービスイン(2016年12月)時点でも、エリア拡大に関する詳細を明らかにしませんでした。なので、筆者は「何らかの理由でエリア拡大をスピーディに進められないから詳細を公表しようとしないのでは?」と推測していました。
しかし、フタを開けてみれば筆者の予想をはるかに超えるエリア拡大ぶりで、2016年12月からわずか3カ月間でほぼ全国が下り最大440Mbps通信対応となりました。筆者の推測が“推測”でひとまず良かったです。
下り最大440Mbps対応エリアよりも更に情報が少ないのが、上り最大30Mbps対応エリアに関する情報です。
上り最大30Mbpsの通信は、上り通信にもCAを適用することで実現したもので、UQの発売するルーターでは「Speed Wi-Fi NEXT WX03」「Speed Wi-Fi NEXT W04」と、据置タイプの「Speed Wi-Fi HOME L01」の3機種が対応しています。これらの機種では、下りだけではなく上りの通信でもより高速な通信を期待できます。
しかし、そのエリアに関しては、具体的な拡大予定だけではなく、使える場所の情報も明らかにされていないのです。
筆者が2016年12月に上りCA対応のWX03を屋内外で使ってみた限りでは、電波状態が良くても上りの実効速度が10Mbpsを超えるエリアはほぼ皆無という状況でした。しかし、2017年1〜2月にかけて対応エリアが拡大したようで、東京の都心以外の場所を含めて上りの実行速度が10Mbpsを超えることが増えてきました。
前からも言っていますが、筆者としては、下り220Mbps通信に対応した2015年10月以降、電波状況さえ良ければ下りの通信速度に不満を感じることはほぼありません。一方で、大量の写真・動画をクラウドサービスへアップロードする時に、上り通信速度に物足りなさを感じていました。「下りよりも上り通信速度を改善してほしいなぁ……」というのが率直な思いだったのです。
こうしたこともあり、WX03の“上り最大30Mbps”には大きな期待を寄せていたのですが、残念ながら発売段階ではあまり効果がありませんでした……。しかし、徐々にではありますが、2017年に入ってからは恩恵にあずかれるようになってきています。UQには、この調子で上りCA対応エリアを広げていってほしいと思っています(できれば、エリア公開もお願いしたいです)。
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