プロジェクターや完全ワイヤレスイヤフォンも――ソニーモバイルが「Xperia」のスマートプロダクトを広げる理由(3/4 ページ)

» 2017年03月26日 06時00分 公開
[山本敦ITmedia]

ソニーモバイルらしさを生かした完全ワイヤレスイヤフォンが登場!?

 もう1つのモデルは試作機としてコンセプトまでが明らかになった、両耳タイプのBluetoothヘッドセット「Xperia Ear Open-style CONCEPT」だ。現在はアップルの「AirPods」に代表される“完全ワイヤレスイヤフォン”が人気だが、本機もまさしくソニーのブランドロゴを冠した完全ワイヤレスイヤフォンである。ソニーモバイルらしさはどんなところに盛り込まれるのだろうか。伊藤氏に聞いた。

「Xperia Ear Open-style CONCEPT」のモックアップ

 「本機もほかのXperiaスマートプロダクトと同じ“コミュニケーションデバイス”であるところが、オーディオ用の完全ワイヤレスイヤフォンとの違いです。Xperia Earのバリエーション、あるいは2号機として捉えていただいてよいかと思います。Xperia Earの初号機を発売してから、音質やアプリの使い勝手の面などで高い評価をいただきましたが、でもやはり両耳で楽しみたいという声も多くありました。ところが密閉型のイヤフォンで両耳をふさいでしまうと、どうしても外とのコミュニケーションは遮断されてしまいます。私たちソニーモバイルのXperiaシリーズらしいコミュニケーションデバイスとして磨きあげるのであれば、オープンエアタイプで、ボイスアシスタントやジェスチャー操作にも対応する独自色の豊かな製品にしたいと考えています」(伊藤氏)

ボディに搭載するドライバーを駆動して音道管を伝えて耳に音を届ける

 本機については対応するBluetoothのコーデックやバッテリー、防水対応など詳細が明らかになっていない部分も多いが、MWCの会場では特別に制作された音の出るプロトタイプを試す機会を得た。音を伝える原理は意外と単純で、骨伝導などの技術は用いずに、本体のドライバーから長めの音道管を伝ってきた音が耳穴に直接送り届けられるという仕組みだ。デザインは最終形のものではないが、プロトタイプの構造を写真で解説すると、リング状のパーツは耳穴に固定するためのフレームとして機能するもので、そのリングの内側にノズルから伸びてくる小さな穴から音が出てくるようになる予定だという。

カーブした音道管の先端から音が出るようなイメージ。こちらはモックアップなので最終的なデザインは変更になる可能性もある

 近藤氏は、本機で音楽を”ながら聴き”できることの魅力を提案する。筆者も試作機で試してみたところ、音楽はボーカルの帯域を中心にしっかりと飛び込んでくるのに、伊藤氏や近藤氏との会話にもちゃんと耳を傾けられる。筆者はSpotifyやAWAなど音楽配信サービスを仕事の時間に多用するようになったが、最近はプレイリストを選択して“おまかせ再生”がメインになり、聴きたい曲をわざわざ検索・選曲することが少なくなった。必然的に音楽をBGMとして“ながら聴き”する機会も増えているが、家人が部屋にいる時には自分の好みの音楽ばかりを再生するのも何となく気が引ける。それならばよりパーソナルに、耳元だけで“ながら聴き”できるイヤフォンも欲しいと、この頃は自然に思うようになってきた。だからこの「Xperia Ear Open-style CONCEPT」のような製品はとても気になってしまう。

 外で使う場合は「イヤフォンぽくないデザイン」であることも重要だ。なぜなら、イヤフォンを身につけているように相手に認識されてしまうこと自体がコミュニケーションの妨げになるからだ。近藤氏はその点も気にかけながら試作機のデザインを追い込んできたと振り返る。

本体を装着したイメージ。クロームの輝きが良い意味でイヤフォンらしさを感じさせない

 「クロームシルバーやブルーシルバーなど、ありふれたイヤフォンらしくない色で試作してみました。新しい商品だから奇をてらったわけではなく、敢えてアクセサリーっぽいたたずまいにすることで、耳元にさり気なく馴染んでオーディオ機器らしく見せないためです」(近藤氏)

 機能面についてはXperia Earをベースにこれから形作られることになりそうだ。こちらも商品化のアナウンスを心待ちにしたい。

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