2月末にスペイン・バルセロナで世界最大級のIT・モバイルの展示会「MWC2017」が開催された。このイベントに毎年出展しているソニーモバイルコミュニケーションズが、今年も“スマホの次世代を担うスマートプロダクト”を発表。一体どのような製品なのか。ソニーモバイルの2人のキーマン――Xperiaスマートプロダクト商品のカテゴリーを統括する伊藤博史氏と、スマートプロダクトの商品企画を担当する近藤博仁氏に聞いた。
ソニーモバイルは昨年の「MWC2016」で、初めてスマホ以外のスマートプロダクトにもXperiaの名前を付け、シリーズを拡大していくことを発表した。その時にお披露目された4つのプロトタイプのうち、「Xperia Ear」が2016年秋に第1弾モデルとして商品化されている。
Xperia Earは片耳に装着するBluetoothヘッドセットだが、その実体は音楽リスニングよりも、スマホにペアリングして届いたメッセージやカレンダーの予定などを音声で伝えたり、メッセージへの返信を首を縦横に振ってジェスチャー操作で返せたりもするコミュニケーション端末としての色合いを濃く帯びている。詳細については本連載で以前に紹介したインタビュー記事を参照してほしい。
MWC2017でソニーモバイルが発表した新しいXperiaスマートプロダクトは大きく2つある。1つは今春から世界各地に展開予定の「Xperia Touch」と、もう1つがプロトタイプとして開発が進められている「Xperia Ear Open-style CONCEPT」だ。それぞれの内容を伊藤氏、近藤氏のコメントを交えながら紹介しよう。
「Xperia Touch」は、Android OSを搭載するポータブルサイズの超短焦点プロジェクターだ。昨年のMWC2016ではプロトタイプモデルの「Xperia Projector」として発表された。大きな特徴は壁面やテーブルの上などに投写した画面に、タブレットのような感覚で“タッチ”しながら操作できるところ。だから「インターフェースの特徴によりフォーカスして、プロトタイプとして発表したころから名前を変えて“Touch”としています」と伊藤氏がネーミングの由来を教えてくれた。
投写デバイスはソニーの4K対応ホームシアタープロジェクターなどにも搭載されている独自のSXRDが採用されている。画素数は1366×768。明るさは100lm(ルーメン)。シビアな映画鑑賞向きのスペックとはいえないが、それでも明るい昼間の室内でレースのカーテンなどを引けば十分に精彩感のある映像が味わえる。
壁面にぴたりと本体を寄せた状態で最大23インチの画面が投写できる。壁際から徐々に離していけば、最大80インチの大画面にまで拡大する。肝心のタッチ操作は、本体に内蔵するカメラと赤外線センサーで指や手の動きをキャプチャーして画面上に反映する。最大10ポイントのマルチタッチに対応しているので、家族や友人、複数のユーザーが並んで同じ画面にタッチして、ゲームや写真観賞など一緒に遊べる。Android OSを搭載しているので、Google Playストアからゲームやユーティリティ系など様々な既存のアプリをダウンロードできる感覚はスマホやタブレットと変わらない。内蔵ストレージの容量は32GBだ。
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