米Googleは5月17日(現地時間)、年次開発者会議「Google I/O 2017」で、Googleが開発したVRプラットフォーム「Daydream」について話した。
韓国Samsung Electronicsが3月に米ニューヨークで発表した「Galaxy S8」および「Galaxy S8+」が、Daydream対応のVR HMD(ヘッドマウントディスプレイ)「Daydream View」に対応する。
SamsungはOculusと共同でVR HMD「Gear VR」を開発しており、Galaxy S8/S8+はGear VRとDaydreamの両方に対応することになる。
Daydreamに対応するVRデバイスとして、新たに「スタンドアロンVRヘッドセット」を発表した。これはVRの処理に必要なハード・ソフトを搭載したヘッドセットで、動作にスマホやPCは必要ない。レファレンスモデルを米クアルコムと協力して作成し、一般向けのモデルはHTCとレノボからそれぞれ2017年後半に登場するという。
スタンドアロンVRヘッドセットの特徴は「WorldSense」というヘッドトラッキング技術を搭載したことだ。これはヘッドセットに搭載されたセンサーで頭の動きを正確に読み取り、現実の頭の動きとVR空間での頭の動きを同期させるというものだ。具体的なセンサーの種類などは明らかではないが、現実の物体の位置や形を認識する「Tango」の技術によるものだという。
2014年から取り組みが続けられている「Project Tango」についても進捗があった。今回、米GoogleはTangoの技術を核にした「Visual Positioning Service」(視覚測位サービス、VPS)を発表した。これはGoogle Mapと連携し、GPSで詳細な位置情報が取れない屋内の情報を精密に計測するものだ。「どこに何があるか」というVPS内の位置と現実の位置の誤差は2、3cm程度だという。VPSは現在Googleのパートナーになっている博物館と米住宅リフォーム・生活家電チェーン「Lowe's」の一部で使用できる。
VPSはその正確さから、視覚障害者のための音声案内にも有効だとGoogleは考えている。
また、文教分野でのTangoの使用も進めている。これまでに、ダンボールを組み立てたVRゴーグル「Cardboard」を使った仮想的な遠足を200万人以上の生徒が体験したという。2017年秋には、学校でARを用いた授業を導入する予定だ。このARでは、教室内でダビデ像やDNA鎖、人体の3Dモデルを、Tangoに対応するASUSの「Zenfone AR」を通して観察できるという。
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