Samsung Electronicsが3月に、米・ニューヨークで発表した「Galaxy S8」「Galaxy S8+」は、「Galaxy S6」「Galaxy S6 edge」以来のフルモデルチェンジとなるスマートフォンだ。
真っ先に目に飛び込んでくる外観上の特徴が、そのディスプレイ。どちらのモデルにも、同社が「Infinity Display」と呼ぶ、18.5:9の縦長ディスプレイを採用しており、左右が湾曲したエッジスクリーン効果も相まって、額縁がほとんど見えないデザインに仕上がっている。ディスプレイを上下目いっぱいまで広げるため、Galaxyシリーズの特徴的なハードウェアであったホームボタンの搭載も見送っている。
側面には、AIを活用した「Bixby」を呼び出だすボタンを搭載。音声で操作できたり、状況に応じて最適なコンテンツをレコメンドしてくれたりといった、新しい操作方法も提案する。もちろん、スペックはフラグシップならではの高さで、チップセットには「Snapdragon 835」か「Exynos 9」を搭載。どちらも10nmプロセスで製造された最新のチップセットで、パフォーマンスの高さは折り紙つきだ。指紋認証だけでなく、虹彩認証や顔認証など、多彩な生体認証に対応しているのも特徴の1つとなる。
デザインから機能までを一新し、フルモデルチェンジを果たしたGalaxy S8、S8+は、グローバルで発売中。Samsung Electronicsのお膝元である韓国では、発売前に予約数が100万を突破するなど、従来モデル以上の人気となっている。発火事故により回収となってしまった「Galaxy Note7」の汚名を返上した格好だ。ドコモやauが夏モデルの発表を控え、日本導入の発表にも期待が高まる中、同モデルを企画、開発したSamsung Electronicsの担当者にインタビューする機会を得た。報道陣との主な一問一答で、その魅力に迫っていきたい。
―― Galaxy S8、S8+のコンセプトをあらためて教えてください。このタイミングでフルモデルチェンジした理由も合わせてお願いします。
チェ氏 今回搭載しているInfinity Displayを見れば分かると思います。既存の枠を超えていく、無限を実現するという意味で名付けています。初期の段階から、今までのスマートフォンは同じ形をしていると考え、見た目から変えようというコンセプトで、このような企画になりました。枠を打ち破るということで、「Unbox Your Phone」と銘打っています。
私はS6の担当をしていましたが、当時のフルモデルチェンジで、「革新的」「チャレンジャー」といういい評価をいただくことができました。S7、S7 edgeは、その進化形を完成させた端末です。新しいチャレンジによるトレードオフ(microSDや防水などに非対応になってしまったこと)を解消することをやってきました。そのフルモデルチェンジから2年目ということで、Samsungには新しいチャレンジが期待されます。
―― なぜ2サイズ展開なのかを教えてください。
チェ氏 S7のときも2つサイズがありました(日本未発売のS7は5.1型、S7 edgeが5.5型)が、S8も2つのサイズを採用しています。市場調査をした結果、コンパクトを望む方と、大画面を望む方の両方がいるからです。そこに合わせ、2つのサイズに対応しました。
―― Galaxyで特徴的だったホームボタンがなくなっています。残す議論はなかったのでしょうか。
チェ氏 弊社でも一番悩んだポイントです。ユーザーがどう受け止めるかは悩みましたが、ソフトキーに変わった代わりとして、感圧センサーを搭載することで、今までと同じような経験ができるよう考慮しています。
―― このソフトキーの部分に指紋センサーを実装するのは、難しかったのでしょうか。
チェ氏 技術的に可能かどうかは、悩んだポイントですが、現実的な部分を考え、最善の実装をしたつもりです。
―― 背面に指紋センサーが移ってしまったことで、指が届きにくくなっています。これは、虹彩認証の利用を促すなどの意図があるのでしょうか。
チェ氏 指紋センサーの位置には、以前はHR(心拍)センサーが搭載されていました。弊社としては、ユーザーが使い慣れた位置だと考えています。使用感も考慮して、ここになりました。
―― 縦長ディスプレイは、LGも出していますが、全体に定着していくと予想していますか。
チェ氏 弊社の予想では、このようなディスプレイを(Galaxyに)搭載することで、他のベンダーもついてくると思っています。縦長にした理由は、(スマートフォンのアプリは)リストビュータイプが多いからです。ブラウザも、SNSアプリも、メッセンジャーもそうですね。そういうところを強化するというのが1つです。また、映画などでは21:9というトレンドがあり、これをより大きなサイズで見ていくことが必要になります。市場ニーズには、大きなディスプレイを望む一方でコンパクトさが欲しいというものがあり、これは今後のトレンドになっていくと見ています。
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