―― Xperia XZ1 Compactのターゲット市場は日本なのか?
安達氏 グローバル向けに発表しており、日本だけではない。ドイツではコンパクト端末の人気が高く、プレスカンファレンスでの発表は大きな反響を得ている。他に英国、スウェーデンを中心とした北欧にも需要があり、その3つのエリアを中心に欧州市場にも展開する。
―― 欧州で前モデルの「Xperia X Compact」はどう受け止められたのか?
安達氏 Xperia X CompactはXperia Xのコンパクト版として提供したが、Xperia X自体が苦戦したこともあり、今回はコンパクトでもプレミアムであってほしいという要望に応え、XZ1のコンパクト版とした。
―― プレミアムといってもXZ1 CompactではHDRに非対応で、画面解像度もHDにとどまっている。
安達氏 フルHDのHDR対応コンテンツは多いが、HDはそうではないのが現状だ。また、4.6型という画面サイズではHDでも十分な画素密度があり、視認できる精細感は5型クラスのフルHDと変わらない。消費電力が少ないというメリットもあり、あえてHDを採用した。
―― Xperiaシリーズは伝統的にフルHDや4Kのように、コンテンツのフォーマットを採用している。
安達氏 他社ではWQHDや、さらなる画面のワイド化も進んでいる。だが、それにフィットするコンテンツはわれわれが把握している範囲ではあまり一般的ではない。もともとの映画から作られるBlu-rayやストリーミング配信はフルHDや4Kが中心であり、Xperiaもそこに合わせている。
―― XZ1 Compactの本体は、2年前のプレミアムコンパクト「Xperia Z5 Compact」より厚くなっている。
安達氏 最も重視したのは、手に収まりやすい実績も要望もある横幅65mmというサイズ感だ。XZ1の場合、表面積が広いため基板をL字型にできているが、XZ1 Compactでは液晶、基板、バッテリーという三重構造になってしまう。ただ、手に持ってみると収まりの良いサイズだ。
―― スーパーミッドレンジの「Xperia XA1 Plus」の位置付けは?
安達氏 欧州ではコンパクトな端末が好まれる市場がある一方で、「Xperia XA1 Ultra」のような6型級もフランスやスペインで人気が出てきている。グローバルでは東南アジアを中心に、大型モデルが評価されている。
―― XA1 Plusに指紋センサーを搭載した理由は? 今後のスーパーミッドレンジでは標準搭載になるのか。
安達氏 アジア諸国ではいろいろな機能を入れるスペック競争があり、指紋認証も一般的になってきていることから、対応したかった。今後、標準搭載していく可能性は十分にある。
―― 側面に指紋センサーを搭載したXA1 Plusは、XA1よりも本体側面がやや膨らんでいる。他の場所は検討しなかったのか?
安達氏 指紋センサーだけが理由ではないが、XA1のギリギリまで攻めたナローベゼルと指紋センサーの相性は、必ずしも良くない。搭載位置については、上位のXperiaシリーズとの間で一貫性を考慮した。
―― 今回も、米国モデルで指紋センサーが無効になっている。生体認証として、顔認証や虹彩認証は採用しないのか?
安達氏 米国での状況は変わっておらず、ビジネス上の判断になる。北米向けに生体認証の特別なハードウェアを載せるには至っていない。今後は業界の変化を見ながら検討していく。
―― 最後に、日本のXperiaユーザーにメッセージがあれば。
安達氏 まだ日本で発売するかどうかは言えないが、ソニーモバイルとしても日本市場は重要な存在だ。期待して待っていてほしい。
ソニーモバイルは、日本だけでなく欧州市場でも高級コンパクトが支持される国があると見ていることが分かった。一般にスマホ市場では大画面を求める声が多く、幅広い価格帯で画面サイズの大型化が進んでいる。その最先端が、Galaxy S8やNote8のように本体前面を覆い尽くすような縦長のディスプレイではないだろうか。
一方でiPhoneとは異なり、Androidでは小型画面のプレミアムモデルは意外なほど存在しない。画面サイズが小さい端末は解像度も低く、CPUやメモリ容量も上位モデルとは差別化されることが多いからだ。コンパクトだがプレミアムというXperia XZ1 Compactは、ライバル不在のエリアを的確に狙ったモデルになりそうだ。
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