UQコミュニケーションズは11月1日、NECプラットフォームズ製モバイルWiMAX 2+ルーター「Speed Wi-Fi NEXT WX04」を発売しました。WX04は国内メーカー製WiMAX 2+ルーターとしては初めて「au 4G LTE」に対応した他、モバイルルーター初となるWi-Fi(無線LAN)の「ビームフォーミング」に対応しています。
今回の「5分で知る最近のモバイルデータ通信事情」は、そんなWX04の特徴を見ていきます。
「ビームフォーミング」は通信機器に向かって電波を集中的に向ける技術で、Wi-FiではIEEE 802.11ac規格においてオプション対応しています。
ボディーの空間に余裕のある11ac対応据え置き用ルーターでは一般的になってきました。一方で、ボディーの空間に余裕のないモバイルルーターでは、11ac対応であってもビームフォーミングには非対応、という状況が続いていました。
それがいよいよ、WX04でついに対応しました。屋内での利用が多い人には特に有益でしょう。
なお、ビームフォーミングを有効にするにはクライアント側(スマホ、タブレット、PCなど)も対応が必要です。11acに対応していてもビームフォーミングには対応しないクライアントもありますので、注意しましょう。
UQのモバイルWiMAX 2+ルーターは、これまでNECプラットフォームズとファーウェイの2社が提供してきました。ファーウェイ製のものは初代の「Wi-Fi WALKER WiMAX 2+ HWD14」から全機種がau 4G LTEに対応しているのに対し、NECプラットフォームズ製のものは今まで全てau 4G LTEに非対応でした。
WX04でついにau 4G LTE対応を果たしたNECプラットフォームズ製ルーターですが、ファーウェイ製が対応済みであることを考えると正直インパクトに欠けます。
しかし、WX04にはau 4G LTEを使う上で便利かつ安心な機能が備わっています。
WiMAX 2+ルーターでau 4G LTEを利用する場合、通信モードを「ハイスピードプラスエリアモード」に切り替える必要があります。このモードにして4G LTE通信が発生すると、月額1005円の「LTEオプション」料金がかかります(「auスマートバリューmine」か3年・4年契約プランに加入すると無料)。
また、4G LTEエリアでの通信には月間7GBの容量制限も課されます。容量を超過した場合、月末まで通信速度が上下最大128kbpsに制限されますが、この速度制限はWiMAX 2+単体の「ハイスピードモード」であっても適用されてしまう点が厄介です。
この問題を事前に回避する機能として、WX04には「データ通信量超過通知機能」が備わっています。この機能が有効だと、指定の通信モードにおける月間通信量が設定値を超えると、本体のディスプレイや設定アプリに通知を出すことができます。
さらに、通知が出た際に通信を止めてしまうこともできます。この機能で通信がストップした場合、ユーザーが明示的な操作をしない限り通信を再開することはできません。
この機能の初期設定は「通知オン・通信停止オフ」とされていますが、適切に設定することで「ハイスピードプラスエリアモードでうっかり月間7GB超の通信しちゃった」といううっかりミスを防ぐことができます。心強い機能です。
この機能では「ハイスピードモード」「ハイスピードプラスエリアモード」それぞれでカウントのオン/オフを切り替えられます。標準設定では両者ともに「オン」とされており、両モードの通信量を合算して通知します。
通知を出す容量のしきい値は1〜99GBの間で設定します。標準では「6GB」に設定されています。
WiMAX 2+サービスにおける通信速度制限で一番厳しいのは、ハイスピードプラスエリアモードの使いすぎによる上下128kbps制限です。先述の通り、一度制限されると月末まで解除されない上、ハイスピードモードでの通信も速度制限がかかってしまいます。もっといえば、金銭(追加容量の購入)で制限を解除することもできません。月が変わるのをジッと待つしかないのです。
このサービスを実際に使っている身からすると、この厳しすぎる制限を回避するためなら、通信が一時停止するのは一向に構わないことだと思います。一方で、UQ(通信事業者)の立場からすると、特段の理由なくユーザーの通信を勝手に止めるわけにはいきません。
「やらかす前に止めてくれ!」と「やらかす可能性があっても勝手に止められない!」の妥協の結果が、WX04の初期設定なのかもしれません。
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