サブブランドへの疑問に対し、KDDI、UQコミュニケーションズとソフトバンクは、それぞれの立場でサブブランドの正当性を主張した。ただし、auのネットワークを借りるMVNOのUQ mobileと、ソフトバンクの一部門であるY!mobileでは、反論の仕方がやや異なっている。同一会社の中でブランドを切り分けているだけで、値下げに歯止めをかけるのがおかしいと訴えたのが、ソフトバンクだ。
同社の渉外本部 本部長 松井敏彦氏は、「Y!mobileはこれまで、総務省のタスクフォースでも一定の評価を得てきた」とけん制しつつ、「ブランディングが異なるだけで、他社の低料金プランと同じ」だと主張。実際、ソフトバンクは総務省のタスクフォースで低容量プランが求められた際も、Y!mobileで既に提供済みであることを語っている。実際、ソフトバンクとY!mobileは利用しているネットワークも同じで、MVNOとMNOの通信を分離するPOIも存在しない。両者を隔てるのは、あくまでブランドやそれに付随するサービスだけだ。
松井氏は構成員からの質問に答える形で、「たまたまわれわれはY!mobileブランドにしているが、ではブランドをやめ、ソフトバンクの中のY!mobileサービスにしてしまうと、そこは見なくてもいいのか。それは違う気がする」と語っていたが、確かにY!mobileを問題視するのであれば、ドコモやauの低料金プランも同様に検証しなければならない。一方で、MVNOとの競争を通じた通信料金の値下げは、当の総務省が推進していたことだ。Y!mobileに対して何らかの規制をかけるのは、これまでの方針と逆行する。
一方のKDDIとUQコミュニケーションズは、接続に対する条件が、他のMVNOと同じであることを強調した。KDDIの理事 古賀靖広氏は「auのネットワークは公平に提供していて、UQはそのワンオブゼム。提供条件は全て公平で同等であり、同一金額。接続約款と同じ金額でやっている」と語った。
UQコミュニケーションズの執行役員 西村紀彦氏も「接続料では、特にUQが優遇を受けていることはない」と口をそろえる。では、なぜUQ mobileの速度が他のMVNOよりも速いのか。その疑問に対し、西村氏はMVNOよりも高い料金設定を挙げている。つまり、帯域を他のMVNOよりも、多く買っているだけにすぎないということだ。その上で、西村氏は「全体として(投資を)回収できるレベルにしている」と語り、採算度外視で事業をしているわけではないことを強調した。
2社の主張をまとめると、ソフトバンクがMVNO側の挙げる問題の大前提を崩しにかかったのに対し、UQコミュニケーションズはこれらの疑問に対し、ネットワークの利用条件に差がない事実を強調したという違いが浮かび上がる。方法論は異なるが、規制を求める声に対し、正論で反論した格好だ。
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