純増は伸び悩むもドコモ光が好調 楽天の新規参入には「ノーコメント」 ドコモ決算会見

» 2018年01月30日 22時43分 公開
[村元正剛ITmedia]

 NTTドコモは1月30日、2017年度第3四半期の決算説明会を開催した。営業収益は3兆5957億円(前年同期比+3.6%)、営業利益は8353億円(前年同期比−0.8%)の増収減益となったが、吉澤和弘社長は「年間業績予想に対して順調な進捗(しんちょく)」と説明した。

ドコモ決算 NTTドコモの吉澤和弘社長
ドコモ決算
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 2017年度上半期が大幅な減益だったのに対し、第3四半期からは増収増益に転じており、コスト効率化も着実に進んでいるため、年間の営業利益目標である9600億円は達成する見通しだという。

 セグメント別では、通信事業の営業利益が前年同期比で3.2%減の7200億円であったのに対し、スマートライフ領域は、前年同期比で17.5%増の1153億円となっている。

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純増は伸び悩むも、ドコモ光が好調

 通信事業では、携帯電話契約数が前年同期比で3%増の7568万契約に達し、「カケホーダイ&パケあえる」は4000万契約を突破した。スマホとタブレットの利用数は3747万契約(前年同期比+7%)で、光インターネットサービス「ドコモ光」の契約者数は、前年同期比で約1.5倍の448万契約で、1月10日に450万契約を突破したことも報告された。

ドコモ決算
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 通信事業での減益の理由として、吉澤社長は「昨年(2017年)に比べて純増が伸びていない」とし、その要因として、「昨年は法人向けのスマートメーターなど、モジュールで伸ばしたが、それが一巡して落ち着いてきた」、加えて「(ドコモ回線を使う)MVNOの伸びが昨年よりも落ち着いてきた」「(競合キャリアの)セカンドブランドの影響もあるかも」と説明した。

 「ドコモ光」の伸びについては、2015年のサービス開始当初はフレッツからの転用が多かったが、「ここにきて新規の割合が増えてきた。ドコモを使いながら他社の光を使っていた人の“ねじれ解消”もある」(吉澤氏)と分析。「モバイルとのセット割などを訴求しながら、これからも伸ばしていきたいが、伸び率は少しずつ減っていくと予想している」と話した。

スマートライフ事業は順調に成長

 好調なスマートライフ領域の営業利益は、あんしん系サポートが約35%、「dTV」などのコンテンツ・コマースが約25%、「dカード」などの金融・決済が約20%を占めると説明された。なお、「dポイントカード」の登録者数は前年同期比の約2倍に増え、1月10日に2000万契約を突破。dポイントを使える店舗は約3万2200店舗に達している。

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ユーザーへの還元施策もさらに強化

 説明会では、顧客への利益還元の取り組みについても報告された。新しい施策として、2月1日から「ウルトラパック」の「ドコモ光セット割」を最大500円拡大することも発表。これにより、「ウルトラパック」と「ドコモ光」の両方を利用する場合、月額最大3500円の割引が適用される(関連記事)。

ドコモ決算
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 次世代高速通信「5G」に向けたオープンパートナープログラムに、1月25日時点で500社以上の企業・団体が参加してこることが報告され、2月から5Gに関する最新情報を提供することや、4月から5Gの利用環境を提供し、相互の意見交換も行っていくという。

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 一部のドコモショップでこれまで開催していた「ドコモスマホ教室」は、1月から全国の全店舗で開催されるようになった。また、2月からは青少年・保護者向けの教室も開催し、フィルタリングやSNSの適切な使い方などを教えるという。

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 新しい取り組みとして、神戸市の“オールドニュータウン”と呼ばれ、高齢化が進む住宅地で、AIを用いて、需要に合わせた運行を行うバスの実証実験を行ったことも紹介された。

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楽天の新規参入についてはノーコメントながら……

 質疑応答では、2017年末に携帯電話事業への新規参入が報じられた楽天に関する質問が相次いだ。楽天は、現在、ドコモのネットワークを借りて「楽天モバイル」というサービス名でMVNO事業を展開している。新規参入後の楽天への対応について聞かれた吉澤社長は「詳細が明らかになっていないので、コメントは差し控えたい」としつつも、「ローミングを要請されたら?」という質問に対し、「過去にも経験はありますし、交渉には真摯(しんし)に対応していくことになるだろう」と話した。

 昨今、総務省で議論が繰り返されている、いわゆる“サブブランド規制”については、「あまり規制を強くするのがよいとは思っていない。議論の最中ということもあり、私どもとしては見守っていきたい」と話した。

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