Qualcomm本社でSnapdragon 845の性能を体感 スマホで「できること」が増える:Snapdragon 845 Benchmarking Workshop(1/2 ページ)

» 2018年02月16日 06時00分 公開

 2月上旬に米カリフォルニア州サンディエゴにある米Qualcomm本社で開催された「Snapdragon 845 Benchmarking Workshop」にて、Snapdragon 845を搭載したレファレンスモデルに触れた。これと同時に来訪したメディアを対象としたラボツアーも実施された。

 Qualcommはサンディエゴ空港から車で30分ほどの場所に本社キャンパスを構えているが、このキャンパス内に散在するラボの一部が特別に開放されたのだ。説明によれば、こうした記者向けのツアーが開催されたのは非常に久しぶりで、貴重な機会だという。ここでは最新プロセッサを使った各種技術デモの他、現在の同社の取り組みについて報告する。

Qualcomm ワークショップが開催されたQualcomm Building N。創業者の名前を冠したIrwin M Jacobs Hallが併設されている。同社キャンパス内のビルはアルファベット名が付けられており、はみ出た分は「AY」「AQ」のような名称になる
Qualcomm Building N内にあるQualcomm Museum。創業の1985年からの歴史や過去の製品などが展示されている博物館
Qualcomm 2009年に登場した初のSnapdragon搭載スマートフォン「Toshiba TG01」。この他、知る人ぞ知る展示物も多く、非常に貴重な博物館といえる

AIの進化がプロセッサの可能性を広げる

 今回のツアーでは主にSnapdragon関連のデモやラボが紹介され、特に2018年中にも搭載製品が登場するSnapdragon 845を交えたデモが広く行われた。Snapdragon 845の特徴は、現行モデルのSnapdragon 835と比較しても電力効率が大幅に向上しており、バッテリーの長時間駆動が可能になったこと。そして「AI」で表現されるディープラーニング系の処理機構の強化により、スマホで「できること」が広がっていることが挙げられる。

 前者については、3D CGを用いたベンチマーク(GFXBench 4.0 Manhattan)と4K(UHD)の60FPSコンテンツ再生で電力消費を比較。両コンテンツを845と835のプロセッサで同時に稼働し続けた場合、845は835より2〜3割ほど電力効率が高く、それだけバッテリー駆動時間が伸びる傾向がみられるという。

 基本的にスマートフォンでは同じタイプのボディーでプロセッサを世代ごとに載せ替えているため、同じサーマルデザインを採用する限りは同一TDP(熱設計電力)での運用が行われることになる。つまり、同じバッテリー消費ならパフォーマンスが増大し、同一パフォーマンスならバッテリー駆動時間が伸びるという関係だ。3Dゲームのようにピークパフォーマンスを求める傾向のアプリを除けば、汎用(はんよう)的なアプリや動画再生では求められるパフォーマンスはそれほど変化しないため、その分長いバッテリー駆動が可能になるわけだ。

Qualcomm Snapdragon 845でのベンチマークと4Kコンテンツを再生した際の電力消費デモ
Qualcomm Snapdragon 835で同じデモを実行中の結果表示。わずかな消費電力の差により、トータルでのバッテリー駆動時間が異なってくる

 より興味深いのはAI側の説明だ。Qualcommは835を「(AI搭載の)第2世代」、845を「第3世代」と表現しており、できることがより大きく進化しているという。例えば、ディープラーニングの機構を使って撮影した写真の背景をワンボタンでくり抜いたり、音声認識によるコマンド入力処理をスマートフォン内部だけで完結させたりと、845はクラウドに頼らずにプロセッサ内部だけで複雑な処理機構を実行できる。

 既存の835でも、超音波(Ultrasonic)を使った「Double tap in the air(空中でダブルタップしてカメラのシャッターを起動する)」の実現や、カメラから入力した映像に毎秒5〜10フレームでのリアルタイム画像加工、そして中国Tencent QQのゲームで既に採用されているインカメラを使ったモーション認識ゲームなど、さまざまなアプリが実現する。なお、超音波を使った仕組みは既存の近接センサー(Proximity Sensor)を代替できるので、ディスプレイ周りのデザインに影響を及ぼさない。

Qualcomm Snapdragon 845単体のみでクラウドを経由せずにディープラーニングのみを使って切り抜き処理を行うデモ
Snapdragon 845単体のみでクラウドを経由せずに音声認識による家電制御を行うデモ
超音波を使った空中でのダブルタップによるカメラのシャッターデモ。Snapdragon 835以降で利用でき、既にXiaomiの最新製品で採用されている
Qualcomm 毎秒5〜10フレームでカメラの撮影映像に各種エフェクトを施す835のデモ。プロセッサの性能が向上することで、これがほぼ違和感なくリアルタイムで実現できる
Tencent QQのモーション認識を使ったゲームのデモ

 写真では紹介できないが、スタンドアロンのVR HMDは最新世代でより進化している。会場では宇宙ステーションでドック周辺を歩きながら、手持ちのコントローラーでシューティングを行うゲームのデモを体験したところ、エレベーターでの移動時の振動や反応速度など、非常に没入感が強かった。シースルー用のインカメラも搭載されており、これを使ったハンドジェスチャー入力やARを絡めたアプリケーションも実現可能と思われ、補助デバイスなしで本格的なVR HMDが体験できる世界が実用化しつつある。

Qualcomm 最新世代のSnapdragon搭載VR HMD。スタンドアロンなのでケーブル不要で部屋を自由に歩き回れる
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