「Snapdragon 835」の性能はどこまで向上した? ベンチマークテストを試す:Galaxy S7 edgeと比較

» 2017年03月22日 17時42分 公開
[田中聡,ITmedia]

 Qualcommが、3月22日に中国・北京で「Snapdragon 835 Benchmarking Workshop Beijing」を開催した。Benchmarking Workshopは、Qualcommが定期的に開催しているイベントで、その時点で最新となるモバイルプロセッサのベンチマークテストを行ったり、新プロセッサがもたらす機能のデモを体験したりできる。

 まずはSnapdragon 835についておさらいしておこう。835は、現在提供されているSnapdragon 820シリーズに続く、ハイエンドのプロセッサ。モバイル向けプロセッサとしては初めて10nm FinFETプロセスで製造されており、820と比べてパッケージサイズが35%小型化した。

Snapdragon 835Snapdragon 835 「Snapdragon 835」を搭載したQualcommの開発者向けレファレンス機(写真=左)。背面にカメラも搭載している(写真=右)
Snapdragon 835 百円玉と比較したチップの大きさ。左がSnapdragon 835、右がSnapdragon 820。835がより小型化されていることが分かる
Snapdragon 835 プロセッサの世代を経て着々と小型化している

 CPUはQualcommが開発した「Kryo 280」を搭載しており、最大2.45GHz駆動のパフォーマンスコア(4コア)と最大1.9GHz駆動の高効率コア(4コア)で構成される。アプリの起動やWebブラウジング、VRアプリの利用といった比較的高い負荷の求められるシーンではパフォーマンスコアを、負荷の少ないシーンでは高効率コアが使われる。

Snapdragon 835 2種類のコア群を使い分けている

 Snapdragon 820シリーズから25%の低消費電力を実現したほか、15分の充電で50%の充電が可能な急速充電の新規格「Quick Charge 4.0」にも対応する。

Snapdragon 835 「Quick Charge 4.0」に対応

 新しいLTEモデム「Snapdragon X16」を内蔵しており、20MHzの周波数帯を4つ束ねる「キャリアアグリゲーション」、基地局と端末側に4つのアンテナを搭載する「4×4 MIMO」、情報密度を高めて一度に転送できるデータ量を増やす「256QAM」をサポート。理論値で下り最大1Gbpsの通信に対応する(820は下り最大600Mbps)のが大きな特徴だ。

Snapdragon 835 Snapdragon 820はX16 LTEモデム、Hexagon DSP、Kryo 280 CPU、Adreno 540 GPU、カメラISP、独自の生体認証機能で構成されている

 現在のモバイル市場を見ると、ハイエンドスマートフォンの多くが「Snapdragon 820」シリーズを搭載しており、その数は200機種を超える。ちなみにSnapdragon 835の前製品は「Snapdragon 821」で、“Snapdragon 830”という製品は存在しない。バージョンアップの幅が大きいと考えたのか、型番は830を越えて835となった。

Snapdragon 835 Snapdragon 820シリーズの搭載機

 Snapdragon 835を搭載したスマートフォンは、ソニーモバイルコミュニケーションズが「Xperia XZ Premium」を発表しており、2017年春以降の発売を予定している(恐らく日本でも発売されるだろう)。他にZTEやMotorolaも、Snapdragon 835を搭載し、理論値で下り最大1Gbpsの通信を実現するスマートフォンの投入を予定しているが、具体的な製品が判明しているのは現時点でXperia XZ Premiumのみ。また、Snapdragon 835はVR/ARデバイスへの搭載も見込んでいる。

Snapdragon 835 現時点で数少ない、Snapdragon 835搭載機である「Xperia XZ Premium」

 イベントでは、Snapdragon 835を搭載したQualcommのレファレンス機にインストールされたベンチマークアプリを試せた。今回試したのは「AnTuTu Benchmark v6.2.7」「3D Mark」「PCMark」「Geekbench 4」「GFXBench GL」の5つ。比較対象として、「Snapdragon 820」を搭載した「Galaxy S7 edge SCV33」(Android 6.0)でも同じテストを実施した。なお、時間が限られていたため、テストは各アプリ1回しか行っていない。

Snapdragon 835 各ベンチマークアプリで調べられる性能
Snapdragon 835 レファレンス機の詳細。OSはAndroid 7.1.1で、プロセッサの型番は「MSM8998」となる

 まずはAnTuTu Benchmarkから。レファレンス機のスコアは184034で、93932のGalaxy S7 edgeとほぼ2倍の差をつけた。RAM(メモリの速度)の項目は大差なかったが、3D(3Dゲームの動作)、UX(データセキュリティ、画像処理、データの読み書きなど)、CPU(大容量アプリやマルチタスクなど)のスコアはレファレンス機が高得点だった。

Snapdragon 835 AnTuTu Benchmarkのテスト結果。左がレファレンス機、右が「Galaxy S7 edge SCV33」のスコア
Snapdragon 835 他機種との比較でも、iPhone 7/7 Plusを抑えてトップに

 ちなみにiPhone 7 PlusでもAnTuTu Benchmarkを走らせたところ、総合スコアは182893で、Snapdragon 835と互角。3DはSnapdragon 835の方が高いが、UX、CPU、RAMはiPhone 7 Plusの方が高かった。

Snapdragon 835 iPhone 7 Plusのスコア

 3D Markは、本来なら最も高負荷の「Sling Shot Exream」を試したかったが、レファレンス機にインストールされていたものが「Sling Shot OpenGL ES 3.0」だったため、Galaxy S7 edgeでも同じテストを実行した。総合スコアはレファレンス機が4627、Galaxy S7 edgeが2756で、グラフィックとCPUのテストいずれも大きな差をつけた。

Snapdragon 835
Snapdragon 835 「3D Mark」のテスト結果。左がレファレンス機、右がGalaxy S7 edgeのスコア

 Geekbench 4のスコア(シングルコア/マルチコア)は、レファレンス機が2055/6495、Galaxy S7 edgeが1471/3823だった。

Snapdragon 835 Geekbench 4のテスト結果。左がレファレンス機、右がGalaxy S7 edgeのスコア

 GFXBench GLでは、1080×1920ピクセルや1440×2560ピクセル(レファレンス機は1440×2392)の動画をひたすら描画していく。「高レベル」と「低レベル」のいずれのテストも、レファレンス機の方がGalaxy S7 edgeよりも描画数が多く、高いフレームレート(FPS)を記録した。例えば高レベルの動画では、Galaxy S7 edgeは7〜8FPSだったところ、レファレンス機は40〜43FPSと差をつけていた。

Snapdragon 835
Snapdragon 835 「GFXBench GL」のテスト結果。左がレファレンス機、右がGalaxy S7 edgeのスコア

 Snapdragon 820から大きく性能アップしていることが分かったSnapdragon 835。もちろん計測中にレファレンス機のボディーが熱くなることもなく、CPUの放熱対策も行われていることが分かる(放熱性能はボディーの構造やサイズにもよるが)。今回試したベンチマークテストはCPU、GPU、メモリの性能を測るもので、これでSnapdragon 835の全てが分かるわけではない。重要なのは、835でどんなモバイル体験ができるようになるかという点。ベンチマークテスト後にデモを体験してきたので、別途紹介する。

(取材協力:クアルコムジャパン)

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年10月26日 更新
  1. ダイソーで1100円の「USB Type-C to HDMIケーブル」でスマホの画面をテレビに映すとどうなる? 対応機種なら試してみる価値あり (2026年10月24日)
  2. 「Androidのマイナンバーカード」がスタートするもフル機能対応機種が少ない件 ポイントは「StrongBox」という仕組み (2026年10月24日)
  3. 「Galaxy Z Fold8」「iPhone Duo」を“メイン端末”として使う上での課題 縦型コンテンツの最適化をどう進める? (2026年10月26日)
  4. 「iPhone Duo」はLINEもポケモンGOも“黒い”余白だらけ? 日本の定番アプリは未対応が多く (2026年10月23日)
  5. 進化した「Siri AI」で感じた、iPhoneの操作を一変させる実力 「AI出遅れ」の汚名返上なるか (2026年10月24日)
  6. KDDI、子会社モビコムのモンゴルでの火災について事実関係を公表 「法令違反行為を行っていない」 (2026年10月24日)
  7. きょう発売の「iPhone Duo」、Apple 表参道でゲットしてきた 早速開封レポート (2026年10月23日)
  8. デジタル庁が「Androidのマイナンバーカード」対応機種を公表 属性証明機能を使える機種は限定的 (2026年10月19日)
  9. iPhone Duoを使って痛感した「Face ID」のありがたさ 充電スタンドに置いたまま通知が見られない不便さに苦しむ (2026年10月24日)
  10. ダイソーで330円の「人感・明暗センサーLEDバーライト(Type-C)」が意外と便利 1人暮らしの帰宅時や非常灯に便利  (2026年07月18日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー