QualcommはCESでモバイル端末向けの次期ハイエンドプロセッサSnapdragon 835の詳細を発表。ブースではその性能を体感できるデモが、多数紹介されていた。
Snapdragon 835は現行の「Snapdragon 820」に対し、パッケージサイズで35%の小型化、25%の低消費電力化を実現。新CPUコアを8つ搭載することで処理速度が20%アップしたほか、新GPUによってグラフィック性能も25%アップしている。またDSP(Digital Signal Processor)や、ISP(Image Sensor Processor)の処理能力も向上。通信モデムは下り最大1Gbps(Cat.16)に対応するほか、USB Type-Cでより高速な充電が可能なQuick Charge 4もサポートする。
ブースでは新プロセッサの高い処理能力をアピールするため、人気コンテンツを用いたVRや360度4K映像のストリーミング再生が体験できるコーナーを設置。また一角ではSnapdragon 835でもサポート予定のGoogleのVRプラットフォーム「Daydream」のデモも行われていた。
180度×2の2K映像をSnapdragon 835搭載のテスト端末でリアルタイム合成しながら、360度の4K映像をストリーミング再生するデモを実施。高性能なグラフィックと下り最大1Gbps対応のモデム、DSPを用いて、映像だけでなく音も立体的に出力する、3Dポジショナルオーディオを実現している。端末のスクリーンをドラッグすることで360度の表示ができる。
Snapdragon 835はHDR映像(HDR10方式)にも対応。デモでは旧プロセッサを搭載したデバイスと、HDRに対応するSnapdragon 835搭載のテストデバイスで、映像の見え方の違いを紹介していた。写真では少し分かりにくいが、テストデバイスの方がより色鮮やかに見える。
マルチマイクを使ったノイズキャンセリングのデモでは、端末に搭載された3つのマイクをコントロールして、特定の方向の音にフォーカスすることで、騒がしい場所でも発言者の声などが聞きやすくなることを説明。どの方面の音にフォーカスするかは、画面上をタッチするだけで選べる仕組み。こうしたデモは過去にも行われていたが、DSPの向上でより処理精度が高まっているという。
処理能力の向上により、より安定したリアルタイム手ブレ補正が可能に。歩きながら、走りながら、また自転車に乗りながらなど、動きながらの動画撮影に威力を発揮する。デモではSnapdragon 835搭載のテストデバイスを同じく振動させて、手ブレ補正効果の違いをアピールしていた。
連日長蛇の列ができていたVR体験コーナーでは、米国の人気テレビシリーズ「パワーレンジャー」のVRコンテンツを体験できた。3Dグラフィックスのリアルタイムレンダリングや没入感のある立体的なサウンドで、パワーレンジャーの世界を体験できる。コンテンツはこのデモのために制作されたものという。
Snapdragon 835もサポートするGoogle「Daydream」のデモは、現行のスマートフォンを使って行われていた。Daydreamのほか、「Snapdragon 652」を搭載するLenovo「Phab 2 Pro」を用いて、GoogleのARプラットフォーム「Tango」のデモも実施されていた。
Qualcommブースにはこのほか、もはやおなじみとなった「Snapdragon」シリーズを搭載するスマートフォンの展示もあった。なお、Snapdragon 835を搭載するデバイスは、2017年前半に登場予定となっている。
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