「Galaxy S9」先行レビュー 新しいカメラやセキュリティ機能の実力は?(1/3 ページ)

» 2018年03月16日 14時44分 公開
[村元正剛ITmedia]

 2月26日〜3月1日にスペイン・バルセロナで開催されたMobile World Congress 2018。会場で最も注目されたスマートフォンは、Samsung Electronicsが発表した最新フラグシップ機「Galaxy S9/S9+」と言って差し支えないだろう。グローバルでは3月中旬から発売されるとのことで、バロセロナ市内のキャリアショップでは、MWCの会期中からGalaxy S9/S9+の発売を予告する看板などを見かけた。

 恐らく日本でも発売されるに違いないGalaxy S9/S9+を、バロセロナ滞在中にいち早く試用する機会を得た。グローバル版なので、日本向けのローカライズにより仕様が変更される部分はあるだろうが、ハードウェアのベーシックな仕様や新機能は共通しているはずだ。筆者はGalaxy S9をメインに使ってみた。

 早速、その使用感をお伝えしたい。

前モデルのデザインを継承しつつ、操作性が向上

 Galaxy S9/S9+は、前モデルのGalaxy S8/S8+と同様に、小さい方(無印)の画面サイズが5.8型、大きい方(+)の画面サイズが6.2型。どちらも解像度は1440×2960ピクセル。アクペクト比は18.5:9で、他メーカーで主流の18:9よりも縦に若干長い。左右がほぼベゼルレスに見えて、なおかつカーブを施した「Infinity Display」を採用。つまり、前モデルと比べて、外見上の大きな違いは見当たらない。

Galaxy S9 右がGalaxy S9、左がGalaxy S9+
Galaxy S9 指紋センサーはレンズの下に配置

 背面パネルにもガラスが用いられていて、かなり光沢が強く、リッチな印象。フロントパネルと同じく左右にカーブを施して、手にフィットしやすい形状になっている。といったところは、前モデルと同じだが、S9+にはデュアルカメラが搭載されている。また、Galaxy S8/S8+はレンズの右に指紋センサーを配置していたが、S9/S9+ではレンズの下に変更されている。本体を手にしたときに、人差し指をあてやすい位置で、なおかつ、シンメトリーのデザインになるので、バランスも良くなったといえよう。

Galaxy S9 右側面に電源キーを搭載
Galaxy S9 左側面にボリュームキーと、Galaxy独自のアシスタント機能「Bixby」を起動するキー
Galaxy S9 上部にSIMスロット
Galaxy S9 nanoSIMとmicroSDを装着できる
Galaxy S9 下部にイヤフォンジャック、USB Type-Cのコネクター、スピーカーがある。ディスプレイの上の受話口と下部のスピーカーでステレオサウンドを実現。AKGが監修し、Dolby Atmosにも対応。前モデルよりも音量が大きく、音の厚みも増した
Galaxy S9 AKGのステレオイヤフォンも同梱
Galaxy S9 Galaxy S9は横幅が68.7mmとスリムで、片手でもほとんどの操作をこなせる印象。Galaxy S8でも大画面なのにコンパクトに感じられるサイズ感に驚かされたが、それがそのまま受け継がれている
Galaxy S9 背面の指紋センサーは、さっとなぞってロックを解除できる
Galaxy S9 Galaxy S9+は横幅が73.1mmで、さすがに片手での操作には向かない。されど、大きすぎるという印象はなく、ホールド感は良好だ
Galaxy S9 Galaxy S9+も、本体を手にしたときに自然に人差し指が触れる位置に指紋センサーが配置されている

F1.5の恩恵で、ブレずに明るく夜景が撮れる!

 Galaxy S9/S9+の最大のセールスポイントはカメラだ。背面カメラは、Galaxy S9がシングルレンズで、Galaxy S9+はダブルレンズ(標準+望遠)。S9のカメラとS9+の標準側カメラの仕様は同じで、そこに画期的な新機能が搭載されている。なんと、小さなカメラモジュールの中に、機械式の絞り装置が組み込まれているのだ。

 「絞り」とは、レンズから入る光の量を調整する装置で、絞りが開いているほど多くの光を取り込めて、絞られて穴が小さくなるほど取り込む光が少なくなる。スマホのカメラで「F1.7」といったスペックを見かける。その数値が絞りを開く度合いを表し、F値が小さいほど多くの光を取り込めることを意味する。F値が小さいほど、暗い場所でも明るく撮れるので、ここ数年、各社がF値を競い合っていた。しかし、常にF値が小さい方が有利というわけではなく、撮影シーンや、どう撮りたいかという表現によって理想的なF値は異なる。

Galaxy S9 Galaxy S9(左)とGalaxy S9+(右)、どちらにも機械式の絞りを採用したカメラを搭載

 機械式の絞り装置を採用したGalaxy S9/S9+では、カメラが撮影シーンを検知して、暗い場所ではF1.5、明るい場所ではF2.4に、自動で切り替わる仕組みになっている。バロセロナ滞在中に、ライトアップされたサクラダファミリアを見に行ったのだが、明るく撮れることはもちろん、非常にシャープな画質で撮れた。

Galaxy S9 Galaxy S9で撮影。サイトアップされたサクラダファミリアが明るく撮れたことはもちろん、手前の樹木も黒くつぶれることなく立体的に写った
Galaxy S9 比較するためにiPhone Xでも撮影してみた
Galaxy S9 Galaxy S9で撮影。ライトがさほど当たらない上の方まで明るく写った
Galaxy S9 こちらはiPhone Xで撮影した比較作例
Galaxy S9 手動での設定が可能な「プロ」モードにすると、左の「F1.5」をタップして「F2.4」に切り替えられる

 スマホで夜景を撮ると、あとで「ギャラリー」を開いて見てから、手ブレに気づくことはありがちなのだが、それもなかった。しかも、デジタルズームを使っても、ほとんど画質劣化が気にならないことにも驚いた。

Galaxy S9 Galaxy S9には“望遠側レンズ”はないが、デジタルズームで寄ってみた
Galaxy S9 夜景をズーム撮影しても、画質はこんなに鮮明だ

 なお、Galaxy S9+に搭載されている望遠カメラも12メガピクセルで、レンズはF2.4。標準カメラからワンタッチで光学2倍相当の望遠に切り替えられる。背景をぼかしたポートレートを撮影したい人にはGalaxy S9+が断然有利だ。ただし、Galaxy S9でも、従来搭載されている「選択フォーカス」という機能を使えば、デジタル的な処理で背景をぼかすこともできる。

Galaxy S9 ガウディの初期作品で、2017年に内部が公開されたカサ・ビセンスをGalaxy S9で撮影
Galaxy S9 こちらはiPhone Xで撮影した比較作例
Galaxy S9 Galaxy S9で撮影したカサ・ビセンス内部
Galaxy S9 逆光でも白飛びせず、撮影しやすかった
Galaxy S9 撮影後に「選択フォーカス」で背景ボケや前景ボケを設定できる
       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2024年07月27日 更新
  1. 小型スマホを使っている理由は? 選択肢のなさを嘆く声も:読者アンケート結果発表 (2024年07月26日)
  2. 「ハンディファン」「ネッククーラー」の選び方とやってはいけないこと 炎天下での利用は要注意 (2024年07月23日)
  3. IIJ×OPPO、Xiaomi、モトローラが語るスマホ戦術 おサイフケータイは「永遠の悩み」、IIJmioは「モバイル業界の宝石箱」 (2024年07月26日)
  4. 貼らない保護フィルムケース「スマハラ」、iPhone 15シリーズ向けに発売 丸洗いもOK (2024年07月26日)
  5. スマホの充電でやってはいけないこと 夏に気を付けたいNG行為は? (2024年07月26日)
  6. OPPOがFindシリーズを2024年内に国内発売へ 競合メーカー担当者の前でサプライズ告知 (2024年07月26日)
  7. 約2万円の折りたたみケータイ「Orbic JOURNEY Pro 4G」を試す シンプルで使いやすいがローカライズに課題も (2024年07月27日)
  8. 外出先から自宅のエアコンを遠隔操作、部屋を先に涼しくして“真夏の天国”を作っておく方法 (2024年07月25日)
  9. KDDIは通信障害をどのように検知してインフラを守っているのか ネットワークセンターに潜入 (2024年07月24日)
  10. 中国の“音楽特化スマホ”「MOONDROP MIAD01」を試す 重厚なサウンドに驚き、作り手のエゴを存分に感じた (2024年07月25日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー