2月26日〜3月1日にスペイン・バルセロナで開催されたMobile World Congress 2018。会場で最も注目されたスマートフォンは、Samsung Electronicsが発表した最新フラグシップ機「Galaxy S9/S9+」と言って差し支えないだろう。グローバルでは3月中旬から発売されるとのことで、バロセロナ市内のキャリアショップでは、MWCの会期中からGalaxy S9/S9+の発売を予告する看板などを見かけた。
恐らく日本でも発売されるに違いないGalaxy S9/S9+を、バロセロナ滞在中にいち早く試用する機会を得た。グローバル版なので、日本向けのローカライズにより仕様が変更される部分はあるだろうが、ハードウェアのベーシックな仕様や新機能は共通しているはずだ。筆者はGalaxy S9をメインに使ってみた。
早速、その使用感をお伝えしたい。
Galaxy S9/S9+は、前モデルのGalaxy S8/S8+と同様に、小さい方(無印)の画面サイズが5.8型、大きい方(+)の画面サイズが6.2型。どちらも解像度は1440×2960ピクセル。アクペクト比は18.5:9で、他メーカーで主流の18:9よりも縦に若干長い。左右がほぼベゼルレスに見えて、なおかつカーブを施した「Infinity Display」を採用。つまり、前モデルと比べて、外見上の大きな違いは見当たらない。
背面パネルにもガラスが用いられていて、かなり光沢が強く、リッチな印象。フロントパネルと同じく左右にカーブを施して、手にフィットしやすい形状になっている。といったところは、前モデルと同じだが、S9+にはデュアルカメラが搭載されている。また、Galaxy S8/S8+はレンズの右に指紋センサーを配置していたが、S9/S9+ではレンズの下に変更されている。本体を手にしたときに、人差し指をあてやすい位置で、なおかつ、シンメトリーのデザインになるので、バランスも良くなったといえよう。
Galaxy S9/S9+の最大のセールスポイントはカメラだ。背面カメラは、Galaxy S9がシングルレンズで、Galaxy S9+はダブルレンズ(標準+望遠)。S9のカメラとS9+の標準側カメラの仕様は同じで、そこに画期的な新機能が搭載されている。なんと、小さなカメラモジュールの中に、機械式の絞り装置が組み込まれているのだ。
「絞り」とは、レンズから入る光の量を調整する装置で、絞りが開いているほど多くの光を取り込めて、絞られて穴が小さくなるほど取り込む光が少なくなる。スマホのカメラで「F1.7」といったスペックを見かける。その数値が絞りを開く度合いを表し、F値が小さいほど多くの光を取り込めることを意味する。F値が小さいほど、暗い場所でも明るく撮れるので、ここ数年、各社がF値を競い合っていた。しかし、常にF値が小さい方が有利というわけではなく、撮影シーンや、どう撮りたいかという表現によって理想的なF値は異なる。
機械式の絞り装置を採用したGalaxy S9/S9+では、カメラが撮影シーンを検知して、暗い場所ではF1.5、明るい場所ではF2.4に、自動で切り替わる仕組みになっている。バロセロナ滞在中に、ライトアップされたサクラダファミリアを見に行ったのだが、明るく撮れることはもちろん、非常にシャープな画質で撮れた。
スマホで夜景を撮ると、あとで「ギャラリー」を開いて見てから、手ブレに気づくことはありがちなのだが、それもなかった。しかも、デジタルズームを使っても、ほとんど画質劣化が気にならないことにも驚いた。
なお、Galaxy S9+に搭載されている望遠カメラも12メガピクセルで、レンズはF2.4。標準カメラからワンタッチで光学2倍相当の望遠に切り替えられる。背景をぼかしたポートレートを撮影したい人にはGalaxy S9+が断然有利だ。ただし、Galaxy S9でも、従来搭載されている「選択フォーカス」という機能を使えば、デジタル的な処理で背景をぼかすこともできる。
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