2年近くやりこんだ「ポケモンGO」を起動しなくなった理由(2/3 ページ)

» 2018年06月29日 06時00分 公開
[牧田歩ITmedia]

ギブアップの決定打になった機能とは?

 上記と並行して、“やらされている”という感覚が決定的になったのが、3月に始まった「ポケモンリサーチ」だ。

 指定の「タスク」をクリアすることで「リワード」が受け取れたり、特別なポケモンをゲットできるリサーチ機能は、次に何をすべきか分からない初心者をつなぎ止めるには確かに有効だろう。またレベル40未到達のユーザーにとっては、リサーチタスクを消化することでレベルも並行して上がっていくわけで、モチベーションの維持には適している。

 しかし筆者にとっては、来る日も来る日も宿題が出されるような感覚が、どうにも性に合わなかった。いうなれば無地のスケッチブックに自由気ままに絵を描いていたところに突然けい線を引かれ、文字しか書けなくなったようなもので、楽しみ方を強制されるようになった印象の方が強かった。

 特に一部のタスクは、モンスターボールの投げ方一つにまで干渉してくるなど、プレイスタイルをも強制してくる。これらは従来の「野生で捕まえても、卵をふ化させても、レイドバトルで入手しても、とにかくポケモンを入手できれば過程は問わない」という、ポケモンGOの自由度の高さとは、明らかに性格が異なるものだ。

 「文句があるなら、やらなければいいじゃん」という声も聞こえてきそうだが、ここでしか手に入らない「ミュウ」のようなポケモンもいるので、やらざるを得ない。結果として、筆者にとってはこのリサーチ機能が、毎日継続してのプレイをギブアップする決定打になってしまった。

Pokemon GO 「ポケモンリサーチ」機能。ゲーム登場時点でこの機能があれば、また見方は違っていたかもしれない
Pokemon GO 途中放棄されたリサーチの「タスク」。スタンプの日付の間隔が、モチベーションの低下ぶりを物語っている

可処分時間がいくらあっても足りない問題

 こうして文章として書き出しつつ自己分析していくと、筆者にとっては、“やらされている”という感覚が徐々に強くなっていったことが、大きな原因のようだ。積もり積もってきた小さな違和感が4月ごろにとうとう決壊して、一気に興味を失ってしまったというわけである。

 もっとも、上記の理由を振り返ってみると、恐らく微妙なさじ加減であることがよく分かる。例えば、鳥取砂丘や横浜、熊本などで行われた地域限定イベントは、まさに“やらされている”典型のはずだが、イベントが開催された時点では、不思議なことにそうした印象はあまりなかった。

Pokemon GO 横浜のイベントで大量出現した「バリヤード」。当時は現地に足を運ぶのもまったく苦にならなかった

 これは単に、その時点では、運営が用意するイベントの数が決して多くなく、あらゆるイベントに参加してもなお、時間に余裕があったからだろう。そのため、イベントがあればそれに参加し、そうでないときはひたすら野生のポケモンを収集してレベル上げに励むというスタイルが通用していた。

 しかし今となっては、複数のイベントが並行して行われるのもざらで、新機能のリサーチなども合わせると、時間はいくらあっても足りない状態だ。つまり1日にやるべきことの総量が増加し、可処分時間がことごとく吸い上げられるようになったため、「もうこれ以上ついていけない」となってしまったわけだ。

 実際、ジムバトルを行い、伝説のポケモンのレイドバトルもこなし、リサーチにも対応しつつ、さらに通常のポケモン収集まで行おうとすると、膨大な時間が必要だ。これらに要する時間は、1年前の今ごろ、ポケモンGOにかけていた1日の所要時間を、はるかに上回っているはずだ。

 もう一つ、レイドバトルのように「工夫次第で最小回数の参加でクリア可能なタスク」ではなく、コミュニティ・デイやリサーチ機能のような「時間をかければかけるほど有利になるタスク」が増えたのも大きい。これらはポケモンGOのためだけではない、限りある可処分時間を、確実に削っていく。

 筆者の場合、自分のペースでできるゲーム性を生かし、大量の時間を注ぎ込んで優位性を保っていたのが、それは「工夫次第で最小回数の参加でクリア可能なタスク」が多かったからこそできた話だ。現状では、「時間をかければかけるほど有利になるタスク」が増えたために対応できなくなり、その結果として「魔法が解けた」ということなのだろう。

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