7月7日、モバイル・コンテンツ・フォーラム(MCF)が主催するアプリ開発競技会「スマートフォンアプリジャム2018(SPAJAM2018)」の決勝戦がスタートした。全国9会場の予選会から選抜された12チームが参加。24時間に及ぶハッカソンでアプリを開発し、その成果を競う。
「温泉でハッカソン」がコンセプトの「SPAJAM」。24時間の長丁場でアプリ開発に臨む会場は、温泉地・箱根にあるコロプラ運営の宿泊・研修施設「コロニー箱根」。疲労を温泉で癒やしつつ、集中して開発に挑める環境だ。
優勝チームには副賞としてシリコンバレーのIT企業を訪問する「シリコンバレースペシャルツアー」が贈呈される。また、参加チームには、DeNAやドワンゴ、コロプラといった会員企業・協賛企業各社から、多くの副賞が提供される。
当日、発表されたテーマは「モビリティ」。移動、乗り物といった意味を含むこのテーマをもとに、新たなアプリを24時間で設計・開発することになる。
競技の開始の先立ち、アイデアソンを実施。参加者や審査員がチームにとらわれずテーブルを囲み、新しいアプリのアイデアを練った。
アイデアソンではまず、「モビリティ」というキーワードをもとに言葉を連想。喜怒哀楽に分類。その中から、解決したいアイデアを見い出し、新しいアプリの構想を考えていた。お互いに発表する中で活発な会話が生まれ、新しいアイデアにつながることもあったようだ。
7日16時、いよいよ本選がスタートした。翌8日16時までの24時間をかけて、チーム対抗でアプリを開発。最終プレゼンテーションでその成果を競う。表彰式は7月9日11時〜。
SPAJAMの競技開始に先立ち、SPAJAMの審査委員4人によるトークセッションも実施された。
審査委員長の村上臣氏の他、「ちょまど」こと千代田まどか氏(日本マイクロソフト テクニカルエヴァンジェリスト)、三淵啓自氏(デジタルハリウッド大学大学院 デジタルコンテンツ研究科 専任教授)、前回優勝チームから市川博之氏の3人が参加。「シリコンバレーの働き方」をテーマに語った。
村上氏は2017年、ヤフージャパンからシリコンバレー企業のLinkedInへの転職を経験。同社の日本部門で代表となるべく、その入社1日目に受けたマネジャー研修は「洗脳」と表現するほど、会社のミッションを個人に強く意識させる内容だったという。
従業員と理念を共有し、その実行も強く意識させるのがシリコンバレー流。その働き方は「最少のリソースでどれだけのインパクトを出せるかを意識して取り組みことになる」(村上氏)というもの。
ちょまど氏は、日系企業からMicrosoftに転職した同僚のエピソード挙げ、米国企業との文化の違いを指摘。その同僚はMicrosoftの会議に参加したとき、「会議で何かが決まるのを見たのは初めて」ともらしたといい、「会議は何かを決めるためのもの」という前提がある米国企業と、意思伝達にとどまる日本企業の違いを強調した。
シリコンバレーで13年間、勤務していたという三淵氏は、意思決定についての日本企業の問題を指摘。米国企業では会議でDecision Maker(意思決定者)を決めて、その人が意思決定を責任を負う仕組みを採用しているのに対して、多数決などで決定する日本企業の方式は「責任回避につながるのではないか」と話した。
SPAJAM2017優勝者の市川博之氏は、「シリコンバレーツアー」について、「見学を希望する企業をプレゼンテーションしたところ、予定に組み込んでもらえた」と語り、MCFの会員社の幅広いコネクションを使って、トヨタのAI研究所などを見学できた経験を紹介。参加チームのシリコンバレーツアーへの期待を高め、その士気を奮い立たせた。
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