温泉ハッカソン「SPAJAM2018」 最優秀賞は車椅子ユーザーの課題を解決する「WheelFree!」(2/2 ページ)

» 2018年07月10日 18時53分 公開
[石井徹ITmedia]
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審査員特別賞:調味料が“動いて”知らせる

 審査員特別賞の「卍(スワスティカ)」は、「どこなのさしすせそ」というアプリを開発。これは、表示される調味料を選ぶと、モーターが仕込まれた調味料入れが「動き出して」存在を主張するアプリだ。動かすための方法として、アプリ上で選択する他、スマートフォンに音声認識やジェスチャーといったインタフェースも用意されている。

SPAJAM2018 「モビリティ」をモノが動くというアプローチで表現

 デモンストレーションでは、調味料入れが倒れてしまうほど激しく動き、会場を笑いの渦に巻き込んでいた。審査では、「モビリティ」というテーマを“震える”という着想に転換した点や、アプリのデザインや動きのかわいらしさが好評だった他、限られた時間とリソースで動く調味料入れを作成した実装力が評価された。

SPAJAM2018 アプリの操作に連動して調味料が激しく動く
SPAJAM2018 調味料入れを模した箱にRaspberry Piと振動ユニットを搭載

 惜しくも受賞を逃したアプリでは、災害発生時に支援物資の在庫情報を可視化するアプリや、道を知っている人に案内してもらう道案内アプリ、手紙を回して気持ちを伝えるアプリなど、「モビリティ」というテーマをさまざまな形で表現したアプリが発表された。

SPAJAM2018 福岡発のチーム「PROPS」は、熊本地震の教訓をもとに、支援物資の在庫管理を支援するアプリを開発
SPAJAM2018 チーム「パーカーズ」が開発したアプリ「FollowMe」。道を案内する人の背中にARで行き先を表示。案内してもらった人はお礼に“投げ銭”ができるというコンセプトだ
SPAJAM2018 教室内でラブレターを手渡しで回す「手紙リレー」をアプリで再現した「コイモビ」。開発チームは「逆襲の餃子とビールと○○」。ブロードキャスト技術を活用し、数十台の端末で手紙リレーできるという

総評:アイデア・実装力の両方が重要

SPAJAM2018 フリーランス技術者の及川卓也氏

 本選の総評は、業務により欠席となった審査員長の村上臣氏に代わり、フリーランス技術者の及川卓也氏が行った。

 「モビリティ」というテーマから、人の移動、モノの移動、仮想的な移動、さらには“思いが移動”するアプリまで、さまざまなアイデアのアプリが登場した今回のSPAJAM本選。及川氏はその発想の抱負さを称賛しながらも、「ズバ抜けたところがなく、惜しいチームが多かった」と語る。

 SPAJAMでは、テーマ性、アイデア、実装力、プレゼン力という4つの観点から評価される。及川氏は、「アイデアが良いと思ったチームは実装が追い付いておらず、完成しているけどこぢんまりとした仕上がり」と指摘。反対に、実装は進んでいたがアイデアを練り切れていなかったチームについては「もうひとひねりするだけで大化けするものがあった」と話し、実際の現場の視点から、アイデアと実装の両面を意識して開発に取り組む重要性を語った。

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