FREETELブランドの今後は? MAYA SYSTEMが“クラウドSIM”搭載スマホを投入する理由SIMロックフリースマホメーカーに聞く(2/2 ページ)

» 2018年07月17日 11時30分 公開
[石野純也ITmedia]
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VNPプランはローミングで実現

―― 大手キャリアの国際ローミングも、24時間980円になっていますが、価格設定をする際に、ここは意識したのでしょうか。

井上氏 全部見ながらですね。ただ、安いことを前面に出していくよりは、どちらかというと、意識せず、簡単に使えることも売りにしていきます。

―― 先ほどVPNサービスのお話がありましたが、これはどうやって実現しているのでしょうか。端末に何か設定するわけではないですよね。

井上氏 VPNプランという別のプランを用意する形にしてあり、プランを買うだけで利用できます。

jetfon MAYA SYSTEMの南氏

南氏 シンプルに言えば、技術的にはローミングです。説明のしやすさを優先して、VPNプランという名称で売っています。中国では、個人のVPNが規制されているので、このプランは中国企業が直接売ることができません。ですので、われわれが独自にプランを作り、香港経由で中国に接続するようにしています。

 香港のオペレーターの中には、中国と格安でローミングできるところがあり、そういうSIMカードを使うことで、安く提供できるようになりました。

―― ちなみに、SIMスロットが2つありますが、クラウドSIMは3つ目のSIMということになるのでしょうか。

南氏 いえ。SIMスロットのどちらか1つ、空いている方にクラウドSIMが割り当てられる形になります。両方にSIMカードが入っている場合も、抜く必要はなく、どちらをクラウドSIMにするかはアプリ上で切り替えることができます。日本ではデータ通信専用SIMを入れている方に、クラウドSIMを割り当てていただければと思います。

―― ほとんどのMVNOでは国際ローミング時のデータ通信が提供されていません。そういったところとの相性はいいのではないでしょうか。どこか販売が決定しているところはありますか。

井上氏 売ってほしいというところはありますが、今は商談中のため、どことは言えません。発売時点では、ヨドバシカメラさん全店やビックカメラさんの他、イーコマースや直販が主な販路になります。法人は、法人営業が直接販売していく予定です。

―― jetfiのように、レンタルすることはお考えでしょうか。

井上氏 考えています。発売当初は無理ですが、徐々に準備はしていこうと思います。それは次のステージで、まずはシンプルにして、そこからいろいろなニーズを踏まえて売っていきたいと考えています。

MAYA SYSTEMの社長が交代した理由

―― MAYA SYSTEMの社長が井上さんに変わられました。最後にうかがうのもちょっと変かもしれませんが、改めてなぜこのタイミングで社長に就任したのかを教えていただけないでしょうか。

井上氏 jetfonという新しい端末を出し、FREETELを買収したこともあり、MAYA SYSTEMもブランディングやCRM(Customer Relationship Management)をしっかりやって、顧客を育てていく必要がありました。私は、ブランディングやマーケティング、事業開発や製品のローンチが専門だったので、会長(吉田利一前社長)ともすぐに意気投合しました。

 実は前代表の吉田は、NTT勤務時代に、ISDN推進室というところで働いていたときの上司でした。私はその後、イギリスに留学し、アップルやマイクロソフト、その後は化粧品のロレアルで公式ECサイトなど新規ビジネスを立ち上げてきましたが、このビジネスに関してはいつも前代表と話していたので、理解はしていました。吉田は海外展開を頑張るので、「日本は任せる」ということで引き継ぎをすることになりました。

 化粧品のブランドにいたので、直近のメンバーは驚いていますが、もともといた業界なので、私としては古巣に戻ってきたイメージです。ただ、端末の知識ではかなわないので、今猛勉強中です。そこに違う視点でリーチし、新しいお客さまにファンになっていただけるようなこともやっていきたいと思います。FREETELのお客さまは本当にたくさんいますが、何回も買っていただいている方にベネフィットが出せていません。そういうところも、やっていきたいと思います。

取材を終えて:仕組みは面白い、端末の進化にも期待

 インタビュー中のやりとりにもあったが、MVNOの多くは国際ローミング時のデータ通信を提供していない。現状のスキームでは、MVNOが海外事業者と直接契約を結ぶのは難しく、技術的にもハードルは高いが、ユーザーにとっては思わぬ落とし穴になることがある。jetfonがラインアップにあれば、こうした問題も解決できるため、取り扱うMVNOは徐々に増えていくかもしれない。

 一方で、国内で普段使いする端末としては、何かもう1つ特徴がほしいとも感じた。現状でもスペックは必要十分だが、カメラやデザイン、ユーザーインタフェースなどにFREETELらしさがあってもいいのではないか。逆にサブ端末として使うのであれば、Prioriのような端末にクラウドSIMが内蔵されているのも面白いかもしれない。こうした点は、後継機に期待したいところだ。

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