「iPhone X」をiOS 12にアップデートすると、Face IDの設定に「もう一つの容姿を設定」という項目が追加される。iOS 11で登録できるFace IDの顔は1つだけだったが、iOS 12では2つの顔が登録可能になったわけだ。
Face IDの認証には、iPhone Xに搭載されたTrueDepthカメラシステムを用いている。インカメラの右側にあるドットプロジェクタが3万以上のドットを顔に投射し、前面左にある赤外線カメラがドットパターンを読み取って画像を撮影。この画像を活用することで、顔の形状を事細かに識別できる。
Appleに確認したところ、1人が使う場合は「もう一つの容姿」を設定しなくても問題ないとのこと。TrueDepthカメラシステムに加え、プロセッサに内蔵しているニューラルエンジンが継続的にユーザーの顔を学習するため、メガネやサングラスを変えたり、化粧を変えたりしても、問題なく認証できる。ただし著しく容姿が変わったときのために、「もう一つの容姿」を登録できる設定を用意したそうだ。
Face IDでは、目、鼻、口を特徴点として捉えて顔を認証するので、口が隠れてしまうマスクを着けた状態だと認識してくれないという弱点がある。ひょっとして、「もう一つの容姿」にマスク姿の顔を登録すれば、マスクを着けた状態でも認証してくれるのでは? と期待したが、そもそもマスクを着けた顔は「もう一つの容姿」にも登録できない。マスク姿はiOS 12でも認識できないので要注意。
ちなみに、「もう一つの容姿」を他人に設定してもらえば、自分ともう1人それぞれがFace IDで認証できるようになる。つまりiOS 12では最大2人の顔を認証できるようになる。家族など複数のユーザーで1台のiPhoneを使うときに便利だ。
ただし登録した顔はリスト表示されず、一方の顔のみ有効にするといった設定はできない。また顔データを1つずつ削除することはできず、一方の顔データを削除したい場合でもFace IDをリセットする必要があり、全ての顔データが消去されてしまう。もう一度Face IDを利用するには、新たに顔を登録し直さないといけないので注意したい。
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