新「iPad Pro」先行レビュー 前モデルから乗り換えたくなるほどのモデルチェンジ(3/3 ページ)

» 2018年11月05日 20時00分 公開
[石野純也ITmedia]
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Apple PencilやSmart Keyboard Folioも利便性アップ

 Apple Pencilが大きく刷新されたのも、新しいiPad Proで特筆すべきポイントだ。まずその充電方法が大きく変わった。これまではキャップを外してLightningに接続しなければならなかったが、本体の側面に置くだけでよくなった。Apple Pencilを近づけるとマグネットに吸い寄せられ、本体にカチッとはまる。残念だったこれまでの充電方法が、2段階から3段階ステップアップしてスマートになった印象だ。キャップがなくなったため、紛失の心配がないのもうれしい。

iPad Pro iPad Proの側面に磁力でくっつく。Apple Pencilへの充電も同時に行われる

 また、ここにカチッと取り付けるだけでペアリングも完了する。今までのApple Pencilは、何らかの拍子でペアリングが解除されてしまった際に、これまたキャップを外して本体のLightning端子に挿すという面倒な設定が必要だったが、新しいiPadとApple Pencilでは本体にくっつけるだけでよくなった。どちらがスマートなのかは、言うまでもないだろう。使うまでの手間が大きく減ったことは、高く評価したい。

 書き味は従来と同様で精度は非常に高い。ペン先の動きに画面の表示がきっちりと追従するため、まるで本物の紙とペンを使っているかのようだ。この追従がコンマ数秒でも遅れてしまうと感覚的に気づいてしまうが、それがないのはさすがといったところ。プロのイラストレーターが使うこともあるデバイスなだけに、チューニングは完璧に近い。筆者は校正などにiPad ProとApple Pencilを使っているが、ここまで精度が高いと細かい文字もしっかり書ける。

iPad Pro 本物の紙に書いているかのような書き味も健在だ

 Apple Pencilは形状も変わっており、完全な円形ではなく、平面が1つ設けられる格好になった。もともとPencilという名称だったが、より本物の鉛筆らしい見た目になったというわけだ。単にデザインが変わっただけでなく、この平面部分に人差し指を当てるように持つと、非常にしっくりくる。あたかも鉛筆を持っているかのようで、指から滑らず持ちやすいのだ。

iPad Pro 鉛筆のような形状になった、新しいApple Pencil

 また、Apple Pencil側にセンサーが追加され、ダブルタップで利用中のツールを切り替えられるようになった。筆者は、iPad ProとApple Pencilで原稿の校正をチェックしているが、赤字を入れた後でやはり直したいというときに、ペンと消しゴムを切り替えることがある。このような場合に、画面をタッチせずにツールを変更できるのは便利だ。ただし、アプリ側での対応も必要になるようで、筆者が愛用している「GoodNotes 4」ではこの機能は利用できなかった。今後のアップデートにも期待したいところだ。

iPad Pro Apple Pencilのダブルタップに割り当てる動作は、設定で変更できる。ただし、アプリ側の対応も必要になるようだ

 過去のApple Pencilと互換性がなくなってしまったのは残念だが、iPad Proを買うなら、セットで持っておきたいアクセサリーだ。むしろ、これはアクセサリーにとどめておくのではなく、付属してもいいような気がした。

 新しいiPad Proはスマートコネクターの位置も変更になり、背面の本体下部に配置された。これに伴い、Smart Keyoboardも背面まで覆うSmart Keyboard Folioに変更された。従来のSmart Keyboardはケースを兼用していたものの、背面が丸出しで落下時などに本体が傷つく恐れがあった。これに対してSmart Keyboard Folioは、背面にマグネットで装着される仕組み。パチっと本体にハマり、背面までしっかりガードされる。

 キーの打ち心地もよくなった。詳細なスペックが公表されているわけではないが、実際に打った感じだと、よりキーが深くなり、強くキーをたたいたときにショックが吸収されるようになった印象がある。素早くキーボードを打っていると、ついつい強くキーをたたいてしまうが、以前よりは指が痛くなりづらくなった。

“プロ”の名に恥じない仕上がり

 デザインが刷新され、Face IDにも対応。その上でパフォーマンスも大幅に向上し、アクセサリーの使い勝手もよくなった。10.5型版のiPad Proを持っている筆者でも、すぐに買い替えたくなったほどだ。もともと高機能タブレットの市場はiPadの独壇場ではあるが、新しいiPad Proで、そのポジションはさらに強固になった印象を受ける。まさに“プロ”の名に恥じない仕上がりといえる。

iPad Pro

 一方で、プロユースを想定し、これだけのスペックを誇るだけに、価格は最安構成でも8万9800円(税別)からと、決して安いわけではない。コンテンツの消費が中心、またはApple Pencilで文字を書きたいという人なら、3月に発売されたばかりで、コストパフォーマンスの高い第6世代のiPadを選択する手もある。逆にあえてiPad Proを買うのなら、キーボードまで使いこなし、写真や動画の編集などの高負荷な作業までこなしたいところだ。ラインアップが出そろった今だからこそ、本当に必要な1台をしっかり見極めたい。

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