折りたたみ型スマートフォンは、Samsung以外も開発を進めている。例えば、中国のディスプレイメーカーであるRoyoleは、折り曲げられるスマートフォンの「FlexPai」を発表。1月に米ラスベガスで開催されたCESに同製品を出展し、大きな話題を集めた。HuaweiやXiaomiなどの競合も、折り曲げられる製品を開発しているという。ユーザーに製品がどこまで受け入れられるかは未知数だが、単なる“飛び道具”の枠は超えつつあることがうかがえる。
各社がこの時期、折りたためる端末に取り組んでいるのは、5G時代を見据えているためだ。実際、携帯電話のディスプレイサイズと通信方式には密接な関係がある。Galaxyを例に取っても、それは明白だ。例えば、日本では“iPhoneキラー”としてドコモから発売された3G対応の初代「GALAXY S」は4型。今ではコンパクト端末といえそうなサイズだが、それでも競合のiPhone 3Gより、0.5型ほど大画面だった。
次の「Galaxy S II LTE」でLTEに対応したが、そこから徐々にディスプレイは面積を増やしていき、Galaxy S10+では6.4型にまで大型化している。通信が高速になれば、そこに乗るコンテンツもよりリッチになる。これは動画などの映像サービスだけでなく、SNSなどにも当てはまる法則だ。その受け皿として、ここ10年でスマートフォンは徐々に大型化してきたといえる。
ただ、これ以上の大画面化には限界もある。スマート“フォン”としての携帯性が損なわれてしまうからだ。ポケットに入れる必要がなければ、既にタブレットというジャンルもあるが、電話として使おうとするとある程度のコンパクトさも必要になる。折りたたみ型は、このトレードオフを解決する手段として期待されているのだ。事実、Galaxy FoldにもLTE版に加え、5G版が用意されているという。
一方で、Galaxy Foldはその新しさゆえに、価格も1980ドル(約22万円)とハイエンドモデルの基準を大きく上回っている。折り曲げられる有機ELや、それを支えるヒンジ、さらにソフトウェア開発など、これまでのスマートフォンとは異なる要素が多いため、この価格でも納得はできるが、購入に踏み切れるユーザーは少なくなりそうだ。取り扱うキャリアも、通常のGalaxyと同じ数には届かないだろう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.