「ハリー・ポッター:魔法同盟」に見る「ポケモンGO」「Ingress」からの進化(2/2 ページ)

» 2019年03月11日 23時00分 公開
[佐野正弘ITmedia]
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CEOが語るリアルワールドゲームの価値とは

 では、ナイアンティックとWB Games San Franciscoは、どのような考えの下にハリー・ポッター:魔法同盟の開発へと至ったのだろうか。ナイアンティックのCEOであるジョン・ハンケ氏はこれまでの取り組みを振り返りつつ、リアルワールドARゲームには3つの重要な価値があると話す。

ハリーポッター:魔法同盟 ナイアンティックCEOのジョン・ハンケ氏。自身もハリー・ポッターシリーズのファンであるという(写真は2018年10月16日の「INNOVATION TOKYO」プレス説明会より)

 その1つは、世界中のどこにいても身近な場所で「探検」ができること。ナイアンティックはこれまでのゲーム提供で、IngressのポータルやポケモンGOのポケストップとして活用されている、全世界に何百万も主体としたスポットを獲得しており、それらの存在がリアルワールドゲームの楽しさを作り上げる大きな要因となっている。

 2つ目は「エクササイズ」で、外に出て歩いてプレイできるという従来にないゲーム特性が、多くの人に運動する機会を与えているとのこと。実際、IngressやポケモンGOのプレイヤーが歩いた距離は、これまでに230億kmに達しているとのことだ。

 そして3つ目は「リアルワールドソーシャル」だ。ナイアンティックのゲームは世界各国でリアルイベントを積極展開するなどしてプレイヤー同士の現実世界でのつながりも生み出しており、2018年には300万を超える人達がイベントに参加、いくつかのイベントでは参加者が10万人を超えるに至るなど大きな実績を残している。

 さらにソーシャルという側面でいえば、2018年にポケモンGOに追加したフレンド機能のフレンド登録数が、現在まで1億9000万に達しているとのことだ。そうしたゲームを通じた新たな人同士の出会いを生み出せることが、リアルワールドゲームの大きな価値になるとハンケ氏は考えているようだ。

 これらリアルワールドゲームの3つの価値は、もちろんハリー・ポッター:魔法同盟にも積極的に取り入れられている。魔法の痕跡を探して世界中を探索するという仕組みに加え、Wizarding Challengesで複数のプレイヤーによる同時対戦プレイができるなど、タイトルの「魔法同盟」という言葉にもある通り多くの人が集まって協力し合い、リアルワールドソーシャルを広げる仕組みには力が入れられているようだ。

AR技術をフル活用した新たな体験も用意

 だが今回、それと同じように重視されているのが、ハリー・ポッターシリーズのファンがあたかもWizarding Worldにいるかのような体験ができることだという。それをナイアンティックが得意とするAR技術を生かして実現した要素の1つが「ministry ID」である。

 これはSOSに自分自身を登録する仕組みで、撮影した自分の顔写真に、「SNOW」のようにステッカーやフレームでカスタマイズを施せるのが特徴。ARによって自分自身が魔法使いになりきることができるだけでなく、ゲームを通じた新たな友達作りにも役立てやすくなるという。

 もう1つ、AR技術によるリアリティーでファンに向けた驚きを与えているのが「Portkeys」である。これは同名のアイテムを手に入れることで、実空間上にWizarding Worldに入るための入り口が現れ、その場所に実際に移動すると、あたかもその空間の中に入ったかのような仮想現実(VR)体験ができるというもの。

ハリー・ポッター:魔法同盟 靴状の「Portkeys」を使うことで、実空間上にWizarding Worldに入るための隙間が現れ、実際にそこに移動すると中に入れる仕組みも用意

 これらの実現には、ナイアンティックが開発している独自のARゲームプラットフォーム「リアルワールドプラットフォーム」の存在が大きく貢献している。今回試すことができたのは、部屋に入って光るアイテムを取るというシンプルな内容であったものの、ARとVRを組み合わせることであたかも本当に魔法の世界に入り込むかのような、新しい体験が得られたことは確かだ。

 ただ全体を通じて1つ気になったのは、ハリー・ポッター:魔法同盟ではIngressやポケモンGOのようなチーム分けや、プレイヤー同士による対戦が存在しないこと。ハリー・ポッターといえば、ホグワーツ魔法魔術学校で4つの寮のいずれかに入って生活する設定があるが、今回のゲームのプレイヤーは既に学校を卒業している設定のため、そうしたチーム分けはなく、チーム同士で対戦する仕組みも設けられないようだ。

 この点についてナイアンティック側は、チーム分けによって、家族や友達などが別々のチームでプレイせざるを得ないという問題が発生することを挙げている。より多くの人が一体感のあるゲームプレイをするには、あえてチーム分けをしない方が良いと判断したようだ。

 今回試せたのはあくまで開発途中のもので、全ての内容を試せたわけではない。だが当初のゲームシステムが非常にシンプルだったIngressやポケモンGOと比べると、最初からゲームとして多くの要素が盛り込まれ、成熟度が高まっている印象を受けた。実際にゲームが配信された暁に、どのような形で登場するのかを楽しみにしたい。

ハリーポッター:魔法同盟 ゲームをプレイして条件を満たす毎に、職業に応じて新たなスキルが身に着けられるなど、やり込み要素があり長く楽しめる仕組みを最初から用意しているのもポイントだ

(取材協力:Warner Bros./Niantic

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