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» 2019年04月03日 06時00分 公開

「MaaS」で何が変わる? ナビタイムとJapanTaxiが見据える、モビリティの未来 (1/2)

移動手段の検索から予約、決済までをまとめて行えるMaaSは、社会課題の解決につながる。経路探索サービスを提供するナビタイムと、タクシーの配車サービスを提供するJapanTaxiは、MaaSの分野でどんな取り組みを行っているのか?

[田中聡,ITmedia]

 ここ最近、「MaaS」という言葉をよく聞くようになった。MaaSとは「Mobility as a Service」の略で、直訳すると「サービスとしての移動手段」。かいつまんで言うと、電車、バス、飛行機などさまざまな移動手段の検索、予約、決済などをまとめて行えるよう統合したもの。MaaSが普及することで、都市部での交通渋滞や地方での交通手段確保など、移動にまつわる社会課題の解決につながることが期待されている。

MaaS 「MaaS」という言葉の検索数が増えた2018年は「MaaS元年」ともいわれた
MaaS MaaSが普及することのメリット

 海外では、ヘルシンキ市内の公共交通機関乗り放題、タクシーやレンタカーなどが乗り放題になる「Whim」がMaaSの代表的存在といわれている。Whimが普及したことで、ヘルシンキのマイカー利用者は半減し、公共交通の利用者が増加したという。

MaaS MaaSの代表的サービスともいえる、フィンランドの「Whim」

 そんなMaaSについて、ナビタイムジャパン(以下、ナビタイム)が3月28日に勉強会を開催。MaaS事業を担当する森雄大氏が、同社の取り組みを語った。

住居、沿線、都市がモビリティと連携する

MaaS ナビタイムジャパンの森雄大氏

 MaaSはレベル0〜4の5段階が設定されており、ナビタイムはレベル3を除き、それぞれのレベルに関連する取り組みを実施していると森氏は説明する。

 ナビタイムでは、電車、バス、自動車、タクシー、フェリーなどの移動手段を組み合わせたトータルナビを提供しており、その点では「情報の統合」を示す「レベル1」はクリアしている。「予約や支払いの統合」を示す「レベル2」では、飛行機やタクシーと連携することで実現している。「レベル3」の「サービスの統合(パッケージ化、定額制)など」には至っていないが、「レベル4」の「社会全体目標の統合」については、ナビタイムマイレージによる道路渋滞緩和や、首都圏の鉄道混雑緩和などで貢献しているとした。

MaaS MaaSのレベルと、それに対するナビタイムの取り組み

 補足すると、レベル2の予約と支払いの統合では、経路検索結果から飛行機の予約や支払いができる他、2019年3月25日からはJapanTaxiとも連携し、「NAVITIME」アプリからタクシーの配車も可能になった。

MaaS NAVITIMEアプリからは、経路検索から航空券の予約や決済も行える

 レベル4に関連するナビタイムマイレージは、走行距離に応じてポイントがたまるもので、渋滞を回避するほどポイントが多くたまる。この施策によって「渋滞負荷が10%減少した」(森氏)という成果も出ている。ちなみにポイントの原資はナビタイム側が負担しており、「投資に位置付けている」と森氏。

MaaS ナビタイムが「投資」に位置付ける「ナビタイムマイレージ」

 同じくレベル4に関連する首都圏の鉄道混雑緩和は、ナビタイム側が混雑を独自技術でシミュレーションすることで、混雑を回避するルートを提示し、混雑の分散を推進するもの。鉄道事業者から車両ごとの混雑情報を入手することで、車両単位の混雑状況も表示できる。

 ナビタイムは、ナビゲーションサービスを通じてたまった膨大なデータを生かした分析やコンサルティングも行っている。その1つが、異なる交通機関の接続を最適化するというもの。例えば、バスの時刻表とフェリーの時刻表が合っておらず、バスが港に到着する数分前にフェリーが出港してしまい、その後、1時間も待つことになった……という事例がある。経路検索のデータを活用すれば、バス到着からすぐフェリーに乗れるよう時刻表を見直すことが可能になる。

MaaS 経路検索のデータから、異なる交通機関の接続を最適化することも可能になる

 また、ライブや花火大会など大きなイベントがあるときは、多くのユーザーが事前に経路を検索することから、イベント当日にどれだけのユーザーが移動するかを先読みできる。2018年の隅田川花火大会では、こうしたデータを活用し、会場周辺駅の混雑状況を分析してリアルタイムに状況を更新した。

MaaS ユーザーが事前に検索したデータから、特定イベントの混雑状況を分析することもできる

 森氏は「MaaSはあくまで手段であり、その先に実現する社会が必要だ」と説明する。そのキーワードに「点」「線」「面」を挙げ、これらを軸にしたサービスの拡張を目指す。

 点は「住居、ホテル、オフィス」と、線は「沿線」と、面は「都市」と連携したもので、それぞれの料金にモビリティサービスの利用料が含まれるイメージ。例えば点では不動産事業者と提携することで顧客定着が向上する、線では鉄道事業者と提携することで沿線の価値を上げる、面では町や都市と提携することで住民の満足度を上げ、旅行者の流入を増やす――といった効果が期待される。

MaaS 点のMaaS
MaaS 線のMaaS
MaaS 面のMaaS

 面での構想について森氏は「あるエリアに居る間、そこの住民は乗り放題で、乗り物をシェアできる。過疎化問題や旅行者問題を解決できる」と話すが、まだ着想段階だとした。「地域によって交通の課題は違うので、一様なサービスで日本全国の課題を解決するのは難しい。地域の事業者と一緒に解決していきたい」と展望を語った。

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