ドコモの“端末割引”上限は「3万円」に? 真相を確認した

» 2019年05月31日 17時07分 公開
[田中聡ITmedia]

 電気通信事業法の改正により、分離プランが義務化される。分離プランでは、「契約継続を条件とする端末購入補助」と「端末購入を条件とする通信料金の割引」を禁止するが、端末の割引そのものを禁止するわけではない。ではどこまでの割引ならOKなのか?

 総務省が5月30日に開催した「モバイル市場の競争環境に関する研究会(第13回)」で、各キャリアが分離プランにおける端末割引の考えを示した。

 NTTドコモは、端末割引について「メーカーによる端末の低価格化やキャリアによる端末粗利の削減等の努力によって実現されるべき」と回答。ただし過度な端末割引が行われないよう、「上限を設定すべき」と付け加える。

端末購入補助 ドコモは割引額の上限について「3万円」という具体的な数字を出した

 また、割引を受けないユーザー間で不公平感が生まれないよう、割引を受けるユーザーから得られる利益の範囲内で行うべきと同社は考える。その一案として、「ARPU(約4000円程度)×MNO営業利益率(20%程度)×端末利用期間(36カ月)=3万円」との計算式を出し、3万円程度までの割引が適切とした。

 約4000円はドコモの平均ARPU(1ユーザー当たりの支払額)、20%はドコモの平均営業利益率、36カ月はドコモユーザーが1機種を利用する平均期間。これらを掛け合わせることで、端末を頻繁に買い替える人と、そうでない人との間で不公平感が生じないと考えたという。

端末購入補助 36回払いで端末を購入して返却すると、12回分の支払いを免除する「スマホおかえしプログラム」

 一方、ドコモは、端末を36回払いで購入して返却すると、12回分の支払いを免除する「スマホおかえしプログラム」を6月1日から導入する。対象は比較的高額な端末に限られるが、このサービスを利用すると、端末代金の3分の1が割り引かれる形となる。しかし上記でドコモが提示したように、割引額の上限を「3万円」とすると、9万円を超えるスマホだと割引額が減ってしまう。

 この点についてドコモ広報に確認したところ、「今回提示した3万円という額は、割引額というよりはドコモの“支出額”」とのこと。どういうことか?

 スマホおかえしプログラムで12回分の支払い額を免除してもらうには、端末をドコモに返却する必要がある。例えば12万円の端末を購入して、スマホおかえしプログラムを適用すると、4万円分の支払いが免除される。

 割引額の上限が3万円とすると、12万円の端末は1万円分の割引を受けられなくなるが、「そうではない」という。この端末の下取り価格が3万円だとすると、ドコモの支出は実質1万円にとどまる。この下取り額を加味した支出額を、最大3万円とするのだそうだ。

 もちろん、3万円を割引(支出)の上限とするのはアイデア段階であり、正式に決まったものではない。ドコモ広報は「ルールが決まった上で対処したい」と述べるが、その内容次第で、おかえしプログラムの設計が変更される可能性はある。

 なお、今回の割引額上限の件は、あくまでスマホおかえしプログラムを前提に考えており、同プログラムを撤廃して、端末代金を一括で割り引く仕組みを考えているわけではないとのこと。

 KDDIは、2020年に商用サービスが開始する「5G」に着目し、「5G普及促進のためには、公正競争を維持、確保しつつ、利用者間の不公平が生じない範囲で、ある程度の端末購入補助は必要ではないか」と訴える。許容される割引額については、「2年前の先行同型モデルの下取り価格」が適当とした。

端末購入補助 KDDIの考え

 ソフトバンクも、割引を設ける際には「明確な基準」が必要とのスタンスで、「直近先行同型機種の下取り価格」「上限をX%まで規定」「上限をY円まで規定」するという案を提示した。

端末購入補助 ソフトバンクは割引のルールについて3つの案を提示した

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