ソニーモバイルに聞く「Xperia 1」 21:9ディスプレイや3眼カメラから“あの疑問点”まで:開発陣に聞く(2/3 ページ)

» 2019年06月13日 11時02分 公開
[金子麟太郎,ITmedia]

画面比率を21:9とした理由

―― Xperia 1のディスプレイ解像度は4Kと表記されていますが、テレビなどで使われる4Kを基準にすると、Xperia 1は“注釈が付く”仕様となっています。

 実際に表示される画素は3840×1644ピクセル(横長向き)なので、テレビの4K(3840×2160ピクセル)と比べると、Xperia 1のディスプレイ解像度は短辺側が516ピクセル少ない。つまり「ドットバイドットでは4K動画を表示できない」ということでしょうか?

染谷氏 パネルの戦略を練っていく中で、大事にしたのが横幅です。6.5型というディスプレイサイズはスマートフォンとしては大型になります。横幅を抑えないと、手に収まらないあるいはフィットしないという問題も生じます。ディスプレイサイズや解像度については、持ちやすさとのバランスを両立させながら設計しました。

 テレビの4Kとは考え方や定義が異なり、疑問に思われるかもしれませんが、Xperia 1のディスプレイでは4Kコンテンツの価値が十分に体験できると考えています。

Xperia 1 コンテンツの価値を発揮できると考え、短辺が足りないものの、ソニーモバイルはXperia 1のディスプレイ解像度を「4K」と定義している

―― この点は「映画館のような体験を手のひらに」そんなコンセプトだからこそ、21:9という比率を優先したのでしょうか?

染谷氏 そうですね。21:9の比率が必ずしもハリウッド映画やテレビドラマで使われているわけではありません。閲覧のしやすさや握り心地などを総合的に考慮した結果、この比率になりました。コンテンツによっては両端に黒帯が出ることもあります。

―― Netflixも含めて一部のコンテンツで21:9の作品もありますが、どの程度広がりそうでしょうか?

染谷氏 一部のコンテンツには、ネット配信や家庭用テレビ向けということもあり、映画でも16:9比率で制作されていることがあります。しかしながら、今後はこの21:9比率に準じたコンテンツも登場していくと予想しています。

―― 21:9比率のゲームコンテンツも増えていくのでしょうか?

染谷氏 21:9に対応する定義が難しいところではあります。われわれが試験的にGoogle Playからアプリをダウンロードしたところ、実は21:9比率で作られているアプリもありました。21:9比率に対応することをわれわれだけがうたうよりも、設計段階の検証も含めてパートナー様とも相談していき、21:9比率のコンテンツを拡大したいと思います。

―― 解像度だけを追い求めた商品ではないということですね。

染谷氏 アプリ分割はAndroid OSに付随する機能ですが、実はほとんどの方が使っていません。21:9はアプリ分割にも最適な比率だと思います。

 分割すると、まずは半々で表示されます。アプリの境界線を動かすことで、16:9比率でそれぞれ表示できます。例えば、上半分はカーナビアプリを起動、下半分は音楽再生アプリを表示するなど、工夫して使うことで、いわゆる「ながら操作」ができます。

Xperia 1 21:9の画面比率が生きるマルチウィンドウ。アプリ2つの表示スペースは自由に変更できる

―― 4Kの有機ELだとバッテリー消費に影響すると思いますが、いかがでしょう?

染谷氏 Xperia 1は、これまで4K液晶を搭載してきたXperia Premiumシリーズ同様に、常に4K解像度では表示しません。写真や映像再生時などメディアに触れる部分でのみ4K解像度で表示します。有機ELも黒色の表示にするとバッテリーを消費しないという特徴があります。そこまでシビアにバッテリー消費を気にすることなく使えると思います。

Xperia XZ2 Premiumの複眼カメラとは考え方が違う

―― Xperia 1 は3眼、Xperia XZ2 Premium の2眼との違いは?

染谷氏 複眼に関しては「なぜやらないの?」という意見が多く寄せられていました。複眼のスマートフォンでどこまで暗所撮影を極められるのかを追求したのが、Xperia XZ2 Premiumでした。Xperia 1の複眼カメラはクリエイティブ要素に使ってもらうことを意識しています。映画クオリティーに近い映像を簡単に撮影できることを目指しました。

 最近ではレンズ交換ができる一眼レフカメラで動画を撮影する方が多くなっています。Xperia 1ではバーチャルで複眼カメラをそれぞれのシーンに応じて切り替えることで、クオリティーの高い動画や写真撮影が可能です。

 映像の色味についても、XZ2から次世代放送規格で統一されている色で撮影できるようになっていますが、Xperia 1では一番良い状態で色を認識して撮影し、一番良い状態で鑑賞できます。ディスプレイは、「グランツーリスモ」のメンバーから、実際の色味や明るさなどを細かくチェックしてもらいながら作りました。

Xperia 1 標準+望遠+超広角レンズで構成される3眼カメラを背面に搭載

―― Xperiaでは動画撮影中に端末内の温度が上昇すると撮影が自動的に停止することがあります。この点はXperia 1でも同様なのでしょうか?

染谷氏 端末内の熱をどのように処理するのかは永遠の課題です。当然ながら4KやHDRでの撮影や表示をする際はCPUに負荷が掛かります。それをコントロールするために対策はいろいろとしています。端末が一定の温度を感知した場合には、ファイルの破損などを回避するために、突然撮影を停止することなく、温度上昇の内容を伝えるメッセージを表示します。その後で撮影を停止します。

 真夏の炎天下で4K撮影をするといった負担の掛かるシーンでは、おっしゃるように一部の機能に制限が掛かってしまうことがあります。

―― カメラの画素数は1200万画素で統一されているのはなぜでしょうか?

染谷氏 実は3つとも同じセンサーではありません。内部のレイアウトも含めて考えながら、異なるサイズのセンサーを搭載しています。以前は2000万画素の機種もありました。Xperia 1では画素数を落とす代わりに、1ピクセルあたりの受光面積を拡大することで、明るい画を撮れるようにしています。

 F値と呼ばれるレンズの明るさを示す数値も2.0から1.8にしています。さらに、一定の暗さを認識すると、撮影した画像をJPEG形式に圧縮する前の段階で、ノイズを除去するプロセスを取り入れています。このように、Xperia 1の複眼カメラは場合によっては負荷の掛かる作業が必要ですが、従来機種XZ2の複眼とは異なる手法でアプローチしています。

―― 他社は光学5倍ズームなど望遠撮影時の画質劣化を気にされていますが、この点は意識していますか?

染谷氏 ズームだけではなく、手ブレ補正にも関わる話ですが、センサーを囲むブロックも影響します。光学2倍を超えたときも、一般的なデジタルズームではなく、画質劣化を抑えながらズームします。

 今回は、遠くを撮るというよりも、超広角で撮れること、被写体の背景をボカす撮影など、「クリエイティブに表現するカメラ」を重視しています。

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