この夏に発売されるスマートフォンの中で、注目度の高いモデルの1つが、3キャリアが取り扱う「Xperia 1」だ。4K有機ELや21:9の画面比率など、ディスプレイ周りを中心に目新しい要素が豊富だ。Xperiaとしては久しぶりに、伝統色ともいえるパープルが復活した。
一方で各キャリアによっては取り扱うカラー異なり、ワイヤレス充電に対応していないなど、気になる点も多くある。こうした疑問点も含め、Xperia 1の狙いを、ソニーモバイルコミュニケーションズ商品企画担当の染谷洋祐氏に聞いた。
―― 今回のモデルは渾身(こんしん)のフラグシップモデルということですがなぜ「Xperia 1」という製品名なのでしょうか?
染谷氏 われわれらしい商品とは何かを考えたときに、ソニーだからこそ実現できる商品作りという答えにたどり着きました。
映画で使われている機材を提供していることもあり、その技術を携帯電話にも取り入れることで、プロフェッショナルの業界にも通用するような商品にしようという思いでした。ソニーの総合力という面では、今回のXperia 1はそれが体現されていると思います。
―― 歴代Zシリーズ/Xシリーズと比べてどんな位置付けなのでしょうか?
染谷氏 製品名はいろいろ考えています。まずは、ソニーブランドのXperiaを認知してもらうために、これまで工夫してきました。
アルファベットを組み合わせた「XZ1」などを製品名に採用してきましたが、Xperia 1という製品名は、1から生まれ変わったXperiaにしたこともあり、Xperiaの後に数字のみを付けました。ですから、製品名はわれわれの商品に対する思いも意識して決めています。
先ほども申しましたが、ソニーとしての総合力をこれまで以上に実現するためにも、ソニー・ピクチャーズやソニー・ミュージックとも連携してきました。
カメラの画作りやプロ用のディスプレイを開発しているチームと、数値では表しきれないような差分までを、肉眼で双方のエンジニアがチューニングをしました。プロフェッショナルな領域の方々を含めて商品作りをしてきたので、設計体制を含めてこれまでのXperiaとは異なります。
―― Xperia 1は、これまでのXZ2などと比べると、スクエアな形状や非常に薄いボディーが印象的ですね。デザインでこだわったところがあれば教えてください。
染谷氏 スマートフォンという常日頃から手にする商品ですので、お客さまのライフスタイルに合う商品作りや、持ちやすさも意識して設計しています。Xperia 1は表裏ともにフラットな形にしたのはもちろんのこと、Xperiaと聞いたときにお客さまが想起されるデザインに近い形だと思います。
ソニー全体の考え方ですが、機能美を追求していき、それをお客さまが使いやすい状態に体現することが重要だと考えています。ディスプレイも含めて自然な形状とは何かを考えたときに、「板」というデザインに至りました。
Xperia XZ3では有機ELの特性を生かしてディスプレイを湾曲させることで、手になじみやすいデザインにしました。一方でXperia 1はディスプレイを湾曲させていません。例えば「アルバム」アプリから写真を閲覧するときに、ディスプレイが湾曲していると、ゆがんで見えることもあります。Xperia 1ではさまざまなコンテンツを見やすくするために、ディスプレイもフラットな形状にしています。
デザインのトレンドもありますので、何が正解なのかは判断が難しいですが、スマートフォンはディスプレイの設計も含めてデザイン要素だと考えています。
―― Xperia 1のパープル(紫)は光の当たり方によって色味が異なりますが、カラーで工夫した点を教えてください。
染谷氏 おっしゃるように、ガラスの反射によって見え方が異なり、Xperia 1のパープルではかなり青系の色を取り入れています。シンプルなカラーの中にも優雅な要素や、光の当たり具合によって、少しずつ見え方が変わるように工夫しました。アジア圏を中心に、ここ何年もパープルのXperiaがなかったので、パープルを要望されるお客さまが多かったですね。
―― 国や地域によっては好まれる色は異なるのでしょうか?
染谷氏 黒や白といったベーシックな色は毎度ありますが、特にアジア圏を中心に有彩色が好まれますが、欧州では黒系のモデルが中心に出回っています。どのメーカーも抱えている悩みだとは思いますが、色ごとに在庫状況も変わります。
―― 3キャリアが取り扱う色が異なるのはなぜでしょうか?
染谷氏 どの色を取り扱うのかについては、各パートナー様がどんな方々をターゲットにしているのかにも左右されます。われわれと各パートナー様が協議していく中で、取り扱う色が決まります。
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