日本でもKDDIやMVNOから発売されたSamsung Electronicsの「Galaxy A30」は、おサイフ機能搭載など日本仕様にカスタマイズされつつも、日本円で3万円台からという低価格で高い評判を受けています。ミッドレンジモデルですが、SNSを中心に使うライトユーザー向けとして十分な性能を持っています。
海外でもGalaxy A30はバランスの良い製品として人気ですが、Galaxyユーザーをさらに広げるために販売されているのが、姉妹モデルの「Galaxy A20」です。両者の本体サイズは同等ですが、Galaxy A20はディスプレイやカメラなどの性能を抑え、価格をさらに引き下げているのです。
例えば台湾ではGalaxy A30が8990台湾ドル(約3万1100円)なのに対し、Galaxy A20は5990台湾ドル(約2万800円)と、1万円近く安くなっています。ターゲットユーザーは学生層など若い世代が考えられており、アジアならOPPOのAシリーズ、あるいはXiaomiのRedMiシリーズなどに対抗できるモデルになっています。
本体サイズは74.7(幅)×158.5(高さ)×7.7(奥行き)mmで、Galaxy A30(海外版)より厚さが0.1mm薄いだけで他は同じ大きさ。背面の指紋認証センサーの位置やデュアルカメラの配置も同等です。ただし背面の仕上げは樹脂に光沢感を持たせており、Galaxy A30のガラス仕上げとは異なります。
Galaxy A20とGalaxy A30を並べてみると、両者の区別はつかないほど。基本設計を同じにして性能を変えることで、2つのモデルを作り分けているわけです。ディスプレイサイズは6.4型、解像度はGalaxy A20が720×1560ピクセル、Galaxy A30が1080×2340ピクセルとディスプレイ性能で差をつけています。
またディスプレイ上部の水滴型ノッチも両者全く同じデザインです。ただし解像度はGalaxy A20が800万画素、Galaxy A30が1600万画素。インカメラを見ると大きさが違うことが分かります。他にはCPUやメモリ構成にも差をつけることで、Galaxy A20は2万円台という低価格を実現しているわけです。
背面も前述したように仕上げが異なる他、カメラの画質にも差がつけました。Galaxy A20は1300万画素+500万画素なのに対し、Galaxy A30は1600万画素+500万画素。Galaxy A30の1600万画素カメラはPDAF(像面位相差AF)搭載でボケ機能も持っています。
ところで、日本のGalaxy A30は冒頭に書いたように日本向けにカスタマイズされています。海外版のGalaxy A30との違いは「防水防塵(じん)」「FeliCa」「ストラップホール」。そのため本体サイズも若干異なるようです。さらにはアウトカメラの構成が1300万画素+500万画素になっています。これは海外版のGalaxy A20のカメラ構成と同じです。手元にGalaxy A30日本版をお持ちの方は、Galaxy A20海外版のカメラ部分の写真を見比べてください。同じサイズのレンズが搭載されていることが分かります。
日本のGalaxy A30は、日本向け仕様でコストが上がった分、カメラ仕様を変更することで価格を抑えたというわけです。他社のミッドレンジモデルと同等の価格と性能になるよう、うまくバランスを取っているわけです。Galaxy A30とGalaxy A20という同型モデルがあったからこそ、日本向けGalaxy A30が価格とスペックのバランスに優れたいい製品に仕上がったというわけですね。
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