AQUOS R3の「動画」と「ディスプレイ」は何が変わったのか? シャープ開発陣にじっくりと聞く:開発陣に聞く(2/3 ページ)

» 2019年07月10日 06時00分 公開
[房野麻子,ITmedia]

ユーザーからの要望で「音」もダイジェスト化

 AIライブストーリーには動画の音も活用されている。実は、当初はBGMだけの動画になる予定だったのだが、子どもを持つ女性ユーザーに話を聞いた際、音声の重要性に気付かされたという。「子どもの声が録音できない時点で、この機能は使わないと言われたのです。何をしゃべっているか分からなくてもいい、声が入っているだけでいいということでした」(小野氏)

 その時点で開発は終盤にさしかかっていたのだが、急きょ、声も入れるよう変更したそうだ。「お客さまも自分が何を欲しいか分からない。でも、定性調査の中に『理由は分からないけれど、私はこう思う』というような本音が出るんです。それが本質を突いていれば、メーカーとしては意地でもやります」(小林氏)

ダイジェスト動画を上手に残すコツ

 AIライブストーリーをうまく生成させるコツは2つある。1つは動画撮影中に残したいシーンで静止画のシャッターを切ること。そうすると、そのシーンは優先的に扱われ、その前後のシーンは高い確率でAIライブストーリーに採用されるという。もう1つは、被写体にフォーカスするなどして画角を変えること。動きのない映像は、シーンに変化がないのでダイジェストのしようがない。映像に変化があると、その部分が採用されやすくなるようだ。

 AQUOS R3ではAIライブシャッターも進化している。AQUOS R2では1つのアスペクト比でしか撮影できなかったが、今回はシーンに適したアスペクト比を判断するようになった。

 「いいと思われる構図をスコア付けし、ある一定のしきい値を超えた場合にシャッターを切ります。今までは全体を静止画で保存するだけでしたが、ここはアップで撮った方がいいということもある。そういうときにはアスペクト比を変えて、トリミングもしてしまいます」(小野氏)

カメラは、手ブレ補正と暗所撮影の機能が進化

AQUOS R3 河野氏

 カメラ自体の進化は、被写体ブレ補正機能を搭載したこと。AQUOS R2でAIライブシャッターを搭載したことで、被写体ブレ補正が重要になった。

 パーソナル通信事業部 第一ソフト開発部 技師の河野広岳氏は「画質担当から言わせてもらうと、動画撮影中に静止画を撮ってくれるなという思い(笑)」と苦労を語った。

 「スマホの静止画カメラで、動いているものをきれいに撮るのは難しい。ただ、動画は動いているものを撮る機能なので、そこが相反します。その分、画質が落ちるというか、ブレが発生します。AQUOS R2のAIライブシャッターで大変苦労したので、反省を生かして、AQUOS R3では被写体ブレ補正を強化しました」(河野氏)

AQUOS R3 被写体の動きをリアルタイムで検出し、最適なシャッター速度とISO感度で連写し、最もブレが少ない1枚を選択する「被写体ブレ補正」

 一方、画角は静止画カメラが90度から78度、動画カメラが135度から125度と、AQUOS R3の方がAQUOS R2より狭くなっている。「相当悩みましたが、ゆがみを多少我慢して広角にするよりも、今回は画質を確保しようという方針にしました」(小野氏)

 ただ、動画で手ブレ補正を効かせた場合、補正後の画角は100度前後で、これはR2とR3でほとんど違いはないそうだ。「動画で手ブレ補正を利用すると、たまに絵が飛んだりカクついたりすることがあります。そういう部分はR2の半分くらいに軽減されていて、より滑らかな動きになっています」(小野氏)

 小林氏は「われわれの超広角レンズはゆがみがそれほど不自然ではなく、頑張っています」と自信を見せていた。最近トレンドとなっている静止画の超広角レンズに関しては「検討はもちろんしました」(小林氏)という。ただ、今回は動画というR2からのコンセプトを踏襲した形だ。

 また、位相差センサーを全ピクセルに配置したデュアルピクセルセンサーによってオートフォーカスを強化。動画カメラのセンサーはクアッドベイヤー配列を使い、4つの画素をまとめて大きくすることで、取り込む光が増えて暗い場所でも明るく撮れるようになった。

AQUOS R3 動画用カメラには、クアッドベイヤー構造のセンサーを採用。フルHDで撮るときは4画素を1画素として使うことでノイズを低減する

 「AQUOS R2の2300万画素カメラは、環境がいいと目の覚めるような写真が撮れるんですが、照度が足りないときや、被写体の配置によってオートフォーカスが難しいシチュエーションになると、ピントが甘くなることがありました。今回、1220万画素のデュアルピクセルセンサーを使うことで改善されています。画素数は減っていますが、全ピクセルに位相差センサーが付いているので、実質2倍の画素があるといえないこともない」(小林氏)

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年09月26日 更新
  1. ドコモがahamoの料金刷新、40GB・60GB・120GBの3段階制に 月額3135円〜に値上げ (2026年09月25日)
  2. “iPhone 18難民”の買い替え先は? 最新「iPhone 18 Pro」と型落ち「17/17e/16」から最適解を考える (2026年09月25日)
  3. ドコモが低容量プラン「ドコモ mini2」発表 6GB/12GBの2段階で月額3278円/4598円 (2026年09月25日)
  4. ドコモ値上げの背景は? 副社長が語るahamoの競争力と、「楽天モバイル意識」の本音 (2026年09月25日)
  5. ドコモが既存料金プランを値上げ eximoや5Gギガホは+550円、irumoは+110円〜330円 2026年12月から (2026年09月25日)
  6. 「iPhone 18 Pro」は何が進化した? 「iPhone 17/17 Pro」とスペックを比較 全て20万円超えの価格が悩ましい (2026年09月10日)
  7. 出そろった「iPhone 18 Pro」の価格を4キャリアで比較 ソフトバンクが衝撃の安さ、楽天モバイルが異例の施策 (2026年09月13日)
  8. 富裕層向けカードの潮流が変化 アメックス、三井住友、ダイナース、ラグジュアリーカードが狙う“特別な体験価値”とは? (2026年09月22日)
  9. 新規終了「irumo」から新プラン「ドコモ mini」に乗り換えるべき? お得になる場合、損になる場合 (2025年05月28日)
  10. 「iPhone 17e」と「iPhone 17」どちらが買いか? 2機種を使い込んで分かった“スペック表にない違い” (2026年04月29日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー