ジョルダンが2020年春に、バスの遅延予測や接近情報などを「乗換案内」で提供する。
バス情報を提供するサービスは、ジョルダンが開発した「ジョルダンスタイル バスロケーションシステム(以下、バスロケーションシステム)」を活用したもの。バスに取り付けた専用車載器がクラウド上でデータを解析し、スマホアプリやWebサービスと連携させる。このデータ解析にAIを活用することで、バスの到着時間や渋滞を予測したり、遅延を考慮した乗換検索をしたりできる。
専用車載器「GZK-4GSI2000」はLTEに対応しており、位置情報を収集、送信する。車載器の通信環境は、ジョルダンがMVNOとして独自に開発した閉域網を提供しており、ファームウェアの更新やメンテナンスはジョルダンが一括で管理する。
ジョルダンは2018年からバスロケーションシステムをバス会社に販売しており、2019年4月から箱根登山バスが運用している。
バスは電車と異なり、渋滞によって到着時間が大きく遅れることがあるため、時刻が分からず、結局他の交通手段を利用するといったケースが起こりうる。またバス停の場所が分かりにくいという声も多いという。バスロケーションシステムは、こうした課題を解決するために開発した。乗換案内に遅延を考慮したバス検索に加え、バス停も地図で案内する。なお、乗換案内に導入されるバスロケーションシステムの利用が無料になるか有料になるかは未定。
ジョルダンは、オープンなバス情報フォーマット「GTFS-JP」をベースに、バス事業者のデータを集約した基盤「公共交通データHUBシステム」を開発している。これは運賃、停留所の読み、会社情報、運行の経路拡張などのデータを拡張したもの。このシステムは「ジョルダンが独占するつもりない」と佐藤俊和社長は話し、データの形態によっては無料で入手できる。
このHUBシステムを構築するにあたり、ジョルダンは約800社のバス事業者からデータを提供してもらった。高速バスやリムジンバスはほぼ全て、路線バスは90%をカバーしているという。バスロケーションシステムも、HUBシステムでデータを収集したバス会社を中心に、乗換案内に反映する予定だ。
地方交通はバスが主役だが、時刻表のデータ整備には相当な労力を要する。そこで共通のデータ基盤としてHUBシステムを開発した。「ナビタイムやヤフーなど、経路検索サービス各社がバラバラにデータを管理しているのは無駄。共通で構築して共有するのがいい」と戦略企画部部長の佐藤博志氏は言い切る。利用する交通手段によってサービスが異なるのは「ユーザーの負担になる」(同)ためだ。ジョルダンはHUBシステムの多言語対応も進めており、インバウンドのニーズにも応えていく。
ジョルダンと言えば乗換案内だが、MaaS(Mobility as a Service)事業を展開するにあたり、経路情報だけでなく、インバウンドも意識した観光情報の提供にも意欲を見せる。佐藤氏は「検索エンジンだけで旅行を楽しむことは難しい」と話し、地元民の情報も活用しつつ、乗換案内で経路情報に関連する観光情報の提供を考えているという。佐藤氏は、ジョルダンがMaaS事業を拡張することで「日本をさらに盛り上げていく」と意気込みを語った。
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