ドコモとKDDIの両社とも第2四半期は9月末までだが、10月1日には改正・電気通信事業法が施行されている。この影響は、第3四半期にどう出るのか。改正・電気通信事業法では、端末購入補助の上限が2万円までに制限された他、いわゆる2年縛りの違約金も1000円までに引き下げられた。政府や総務省の狙いは、ユーザー流動性を高め、結果として通信料金を引き下げることにある。反動として、端末販売台数が減少する懸念もあった。
こうした状況に対し、「MVNOとの競争環境は厳しくなる」との見通しを示したのは、KDDIの高橋氏だ。違約金が1000円に下がったことで、「詳しい人は、MVNOに行かれることもある。その数については、今までより若干増えている」と警戒感を示した。ただし、「10月を見る限り、MNO間の流動性は落ちている」そうで、ポートイン、ポートアウトともに、MNPの利用者が減少していることを明かした。「MNO間の(移行の)インセンティブが抑制された」ためだ。
対するドコモの吉澤氏は「解約金が1000円になってまだ1カ月たっていないので、どういう動きになるのかは、さらに状況を見る必要がある」と語った。一方で、10月からは「ポートインについては回復基調」としながら、「9月までとは様相が変わってきている」と語る。新料金プランの導入に合わせ、割引の抑制をしてきたドコモだが、一律で割引の上限が2万円に定まったことが、現時点ではプラスに働いているようだ。
端末の販売動向に関しては、2社とも大きな影響は出ていないという。「9月は駆け込みがあった」(吉澤氏)、「9月は非常に(販売台数が)多かった」(高橋氏)というものの、反動は小さいという。吉澤氏は「新料金プランと同時に端末の売り方を変え、スマホおかえしプログラムを入れている。仕組みそのものが変わったわけではない」と、その理由を説明。「量販店では、(改正・電気通信事業法の)影響で端末が高くなるのではないかということで、少し(販売数は)落ちているが、今はだんだん盛り返してきている」(同)という。
KDDIも状況は同じで、10月に入って「劇的に販売数量が減ったということにはなっていない」(高橋氏)。9月20日に発売されたiPhone 11シリーズも、「9月は予想以上の売れ行きだったが、10月も予想の範囲に収まっている」(同)という。
10月以降の状況をにらみながら、ミドルレンジモデルを充実させたことも功を奏したようだ。吉澤氏は「補助がなくても、お求めやすいものを出すことによって、お客さまにはしっかりご利用いただけると判断している」と語る。
一方で、2020年春には各社が5Gのサービスを始める。当初はハイエンドモデルが中心になるとみられるため、端末割引が大幅に抑制された環境では、移行が遅くなるおそれもある。事実上、参入を先送りした楽天モバイルも、春までには正式なサービスを開始する。分離プランの導入や改正・電気通信事業法の影響を正確に見定めるには、もう少し時間がかかりそうだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.