Apple Watch Series 5の常時表示では、スリープ中は通常の状態とは表示が異なる。
まず、ディスプレイのリフレッシュレートが1Hz(毎秒1フレーム)まで下がるため、アニメーションなどは表示されない。例えば、通常では秒針が表示されるウォッチフェースでは秒針が表示されない。「ミッキーマウス」のウォッチフェースではキャラクターがリズムを取らなくなる。
明るめの色で表示される部分は暗いトーンへと変わり、輪郭のみが光ったり、全体の色味と輝度が下がったりする。
ただし、こうした全体の傾向はありつつも、常時表示がどのように変化するのかは、ウォッチフェースによって異なる。常時表示にすると全体が黒くなり時刻だけが表示されるものもある。常時表示と相性の良いウォッチフェースはある程度限られるといえるだろう。
クオリティーが高いのは、「カリフォルニア」や「グラデーション」「メディリアン」「数字・デュオ」など。常時表示向けにうまくデザインが調整されている。
「画面が常時表示されると個人情報が筒抜けになるのでは?」と心配する人もいるだろう。例えば、「Siri」のウォッチフェースではカレンダーに登録したスケジュールの情報なども表示されるし、人によってはアクティビティの進捗(しんちょく)具合なども他人に知られるのを嫌だと感じるかもしれない。
この問題は、Apple Watchの設定をカスタマイズすることで解決できる。「設定」から「画面表示の明るさ」「常にオン」と進み、「機密コンプリケーションを非表示」を有効にすると、スリープ時にプライバシー情報が表示されなくなる。例えば、カレンダーやアクティビティのコンプリケーション(ウォッチフェースに配置されるアプリの情報)は暗くなり、天気のコンプリケーションはそのまま表示されるといった具合だ。
Series 5の常時表示ディスプレイのメリットは、大きく以下の3つに集約される。
1つ目は言うまでもない。電車のつり革につかまりつつ、もう片方の手でカバンをぶら下げている場合や、重い買い物袋を両手にぶら下げて歩いている場合、ハンドルを両手でがしっと握ってエアロバイクをこいでいる場合など、手が離せないときでも、手を動かさずに情報を確認できる。
従来のApple Watchでは、画面を点灯させようとすると、まるで時間を気にしているようなアクションに見えてしまっていたので、商談相手に気を使わせてしまうことも考えられた。そういった意味で、ビジネスシーンでも時刻を自然にチラ見しやすくなったことも覚えておきたい。
2つ目も、細かいが見落としがちなポイントだ。従来常時表示でないApple Watchでは腕を持ち上げたあとに画面がパッと光るので、急に情報が目の前に表示されるという印象が強かった。しかし、Series 5では腕を持ち上げたときにじわっと画面が明るくなり、通常表示に切り替わる。
視覚的に急激な変化がないためだと思われるが、筆者はSeries 5の方が情報を認識しやすいと感じる。
3つ目も重要な観点だ。人によっては全く気にしないポイントではあるが、ブランド品を身につけることと同じで、気付ける人が見たら気付いてしまう類のものである。
真っ黒な画面ではなく、ちょっとしたデザインが表示されているだけでファッションとしての価値はあると思う。いってしまえば「おっ、Apple Watchの新しいやつだ!」なんて誰かに思われたら、それだけで意味がある。
こうしたメリットの反面、少しだけ戸惑うこともあった。常時表示はあくまでも“スリープ”なので、そのままではタッチ操作できないのだ。
常時表示と通常表示が似ているウォッチフェースの場合、まれにスリープしていると気づかずにスワイプ操作などをしてしまう。はっきりいって筆者のうっかりミスなのだが、画面が反応しなくておっくうに感じる瞬間が何度かあったのは事実だ。
操作をするためには、一度画面をタップするなどしてスリープを解除しなければならない。慣れるまで、少し時間がかかった。
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