中国のUniherzが開発した「Unihertz Titan」(以下、Titan)は、スレートボディーにハードウェアQWERTYキーボードを搭載したAndroidスマートフォンだ。KICKSTARTERやCAMPFIREなどのクラウドファンディングで2019年7月から8月にかけて順次プロジェクトを公開し、いずれも目標額を超える支援者が集まり、2019年12月末から製品の出荷が始まった。
筆者も8月にKICSTARTERに応募し、12月29日に製品を受け取った。ここでは、約2週間にわたってTitanを使用したレポートとして、ハードウェアキーボードと日本語入力の使い勝手を中心に評価した。
Titanは大きい。そして重い。本体サイズは92.5(幅)×153.6(高さ)×16.65(奥行き)?で、重さは303gというのが公式スペックだ。筆者に届いた機材(以下評価用機材とする)の重さを実測したところ、309gを示した。筆者が普段使っている「TORQUE G3」は、スマートフォンとしては重量級モデルで、サイズと重さは約71×145×13.6mm(最厚部16.9mmに約198g)だが、それでもTitanを使った後に持つと「うわ、軽い!小さい!」となるほどだ。
ただ、このサイズでも(スーツの胸ポケットは無理にしても)スーツの内ポケットやズボンの後ろポケットにはすんなり入ってくれる。重さが300g強と重いのでスーツの内ポケットに入れたら形崩れしそうで心配だったが、3シーズン用のやや厚手のスーツに1日中入れて持ち歩いても、目立った形崩れや着姿の傾きなどは確認できなかった(夏用の薄手スーツではさすがに形崩れがはっきりと認識できたが)。
Unihertzが公開しているTitanのスペックで本体サイズと重さ以外の項目は次の通りだ。
CPUに関する情報が「オクタコアで動作クロックが2GHz」とだけ公開されているが、CPU-Zで調べてみるとCPUとして搭載しているのは「MediaTek Helio P60」だと分かった。このCPUは2018年の初めにMediaTekがミドルレンジデバイス向けに開発した12ナノメートルプロセスルール採用モデルだ。物理コアは8基だが、big.LITTLEに対応したアーキテクチャで4基は処理能力を優先したCorte-A73で後の4基は省電力を優先するCortex-A53を組み合わせている。なお、グラフィックプロセッサは2017年にarmが投入した「Mali-G72 MP3」を採用する。
搭載するCPUがミドルレンジモデルということで、成りは大きいが処理能力は控えめ、というのがTitanに関心を寄せる人における大方の予想だ。処理能力を測定するためベンチマークテストを実施してみた。しかし、ITmedia Mobileのレビューで実施実績の多い(よって比較するスコアの蓄積が多い)Antutu benchmark v8.1.9が動作しなかったため(ホーム画面に表示されたテストアイコンをタップしても変化なし)、PCMark 10や3DMarkで有名なUL BenchmarksのPCMark for Androidに収録されているWork 2.0で測定してみた。
このベンチマークテストでは、Webブラウザ、動画編集、ワードプロセッサ、画像編集、データファイル加工など実際のデバイス利用場面を想定して、Android WebView、Android MediaCodec API、Exoplayer、Android EditText view、PdfDocument API、Android renderscript APIなどを呼び出して処理して測定した個別のスコアをさらにまとめて計算した「総合スコア」を算出する。ベンチマークテスト提供ベンダーとしては大手の1つであるUL Benchmarksには、世界中から測定スコアが集まっていて、自分で測定したスコアと比較することができる。
今回、Titanで測定したPCMark for Android Work2.0のスコアは「7981」で、これはUL Benchmarksに集まっている同じテストのスコアと比べると「Black Shark」の8032、「OPPO F11 Pro」の8024の下、「OPPO F11」の7973より上という位置付けになった。
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