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毎週10億円還元キャンペーンの効果は? KDDIに聞く「au PAY」の強みと課題モバイル決済の裏側を聞く(2/2 ページ)

» 2020年04月21日 12時09分 公開
[小山安博ITmedia]
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Pontaとの統合でau以外のユーザーにも訴求

 課題はやはり名称にもある通り、「auユーザーでないと使えない」と認識されやすいことだ。au IDはキャリアを問わず登録でき、au IDを登録すればau PAYは使える。そうした「誰でも使える」という認知を広げるために、利用を促進する施策も準備していく考え。取材後の4月9日には、通常支払い200円につき1ポイントだったau WALLETポイントを200円2ポイント(ローソンでは8ポイント)とするキャンペーンを発表しており、キャンペーンを継続することで、利用者の拡大を図る。

 こうした取り組みの一環が、Pontaとの統合だ。共通ポイントのPontaは、au WALLETポイントに比べても利用できる店舗が多く、auユーザー以外にも利用者が多いため、統合によってポイントの利便性が向上するとともに、“Pontaがためやすい決済サービス”としてauユーザー以外に訴求できる。

 現在、Ponta加盟店だがau PAY加盟店でない店舗では、「連携できる部分は連携したい」(長野氏)としており、Pontaをフックに加盟店の拡大を目指す意向だ。

au PAY 2020年5月以降、au WALLET ポイントはPontaに統合される

プリペイドカードや金融との連携に強み

 au PAYブランドでは、以前から提供している「au WALLETプリペイドカード」や「au WALLETクレジットカード」も「au PAYプリペイド」「au PAYカード」に変更される。もともとはプリペイドからスタートした同社の決済事業だが、特にau PAYプリペイドでの残高とコード決済の残高が共通化している点が強みだ。au PAYはコード決済加盟店だけでなく、マスターカードが使える店でもプリペイドカードで支払えるため、au PAYの加盟店として考えられるからだ。

 「利用者のニーズは多様なので、カードが使いやすいという人もたくさんいる」という認識を長野氏は示し、「ニーズに合わせて決済手段やインタフェースを用意するのが必要」と語る。

au PAY クレジットカードやプリペイドカードも「au PAY」を冠する名称に変更された

 長野氏は、コード決済のメリットについて、スマートフォンで気軽に決済できる点、加盟店側にとって導入しやすい点を挙げ、キャッシュレス化を進めるためにコード決済を重要視する。

 au PAYプリペイドとau PAYのコード決済は比較的近しい存在だが、それに加えてau PAYカードは「高額な買い物、公共料金の支払いなど、日常使い以外」でも使われる点が特徴だ。使われ方が異なるため、同社ではクレジットカード事業も拡大を目指しており、「買い物客のメインカードとしたい」という考えだ。

 こうした利用拡大の方策について、長野氏は「キャンペーンなどのお得という側面も重要だが、プロダクトとしてのUXの改善、加盟店の拡大など、総合的に見られている」という認識で、そのために多方面から強化する考えだ。

 それに加えて、長野氏は独自路線として金融サービスとしての連携を強調する。グループ内に金融事業を抱えているKDDIは、銀行事業から証券、保険などの事業をカバー。「金融事業のアセットがかなりそろってきているので、金融関連を特徴として打ち出す」ことを目指す。

 d払いやPayPayが目指す「ミニアプリ」や「スーパーアプリ」といった取り組みも進めていく「生活に密着した形で、頻繁に使ってもらえるようなアプリを目指していきたい」と同氏。

au PAY あらゆる金融サービスを取り込む「スーパーアプリ」を目指す

キャンペーンやチャージ手段の拡充に期待

 au PAYの課題は、やはり加盟店と利用者、双方の拡大ではある。auユーザー向けというイメージが強く、auユーザー以外でもメリットを感じさせる取り組みが必要だろう。このあたりは、d払いにも共通した課題だ。単なる還元キャンペーンだけでは難しく、いかに日常的に使えるようになるかが課題だろう。

 プリペイドカードと残高が共通化している点は強みだが、au PAYのキャンペーンはau PAYプリペイドカードの利用も対象にすべきだろうし、IC対応やApple PayだけでなくGoogle Pay対応するなどの機能強化も期待したいところ。チャージ可能な銀行がじぶん銀行に限られ、クレジットカードも一部制限もあるなども課題だが、これらの改善にも期待したい。

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