実際に接続してみると、現在接続している回線は特に調べることはできないが、一部の通信速度を計測するスピードテストアプリ(SpeedTest.netなど)では、接続している回線が表示される。
今回、試用中は基本的にソフトバンク回線につながっていたが、おおむね下り20〜30Mbps、上り10〜20Mbps程度は出ていた。ただ、速度低下が見られることもあり、一番ひどいときは1Mbpsを下回ることもあった。ちなみにその時間帯は4月17日21時台だった。
さらに、1日だけ接続先が「NTT PC COMMUNICATIONS」という表記になったことがあった。これはドコモ回線への接続らしい。速度はかなり低下し、1〜2Mbps程度となっていた。このぐらいだと、YouTubeの再生は画質を落とさないと厳しくなるし、テレワークや遠隔授業は少し難しい。複数端末での同時接続も厳しいだろう。
こうした変化が時間帯による違いなのか原因はちょっと不明だ。ZEUS WiFiでは、自社でトラフィック管理を行い、リアルタイムにモニタリングをしているという。そのため、通信量が逼迫(ひっぱく)して速度低下が発生しそうな場合に、回線を切り替えて利用者の負担を減らす仕組みになっているそうだ。
今回はタイミングよく回線が切り替わってくれることはなかったが、一過性のものと判断されたからかは分からない。「低速だからすぐに回線を切り替える」というものではないようだが、筆者の自宅周辺全体で通信速度が落ちていた可能性はある。
とはいえ、ソフトバンク回線では悪くてもおおむね10Mbpsを超え、30Mbpsを超えることも多かった。このぐらいのスピードがあれば、YouTubeの動画をフルHDで再生していても遅延なく再生できる。もちろん、ZoomなどのWeb会議も問題ない。オンライン授業も過不足なく対応できるだろう。
それでいながら通信容量の制限がないため、安心してデータを使えるという点は大きなメリットだ。これまで幾つかの同種のサービスで通信障害が発生してサービス停止に至った例もあるが、同社は「携帯3社から適正に調達を行う計画で、リアルタイムのトラフィック監視で通信量増加への対応が後手に回らないようにする」と話しており、障害の発生を抑えるという。
試用期間だと判断はつかないが、通常ではありえないほどのデータ量を使用する場合は速度制限の可能性があるという。利用の多い都市部とそれ以外では基準も変えるなど、柔軟に運用していくそうだ。少なくとも、「家庭で子どものためにYouTubeを流す」「テレワークで長時間使用する」「オンライン授業で利用する」といった使い方では問題ないとしている。
ZEUS WiFiでは基本的に、高速・大容量の大手キャリアのような立ち位置ではなく、一般的な使い方で安価に利用したいというニーズに応えることを目的としており、PCゲームのような使い方は不向きというのが同社の説明。とはいえ、他社の事例も踏まえて、自社によるリアルタイム監視・運用や通信容量の確保といった取り組みで、問題発生を抑えたい考えを示している。
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