既報の通り、楽天モバイルは6月10日付で、自社ブランドで販売するスマートフォン「Rakuten Mini」について、製造時期によってLTE(FD-LTE/TD-LTE)通信の対応周波数帯(Band)が異なることを明らかにした。
6月11日、同社は同端末について、製造時期によってW-CDMA(3G)の通信仕様も変更していたことを発表した。楽天モバイル回線とパートナー(au)回線での利用には影響はないが、北米や中南米以外の国・地域における通信に影響が出る可能性がある。
LTE通信と同様に、W-CDMA通信における対応Bandの違いも、端末のIMEI(識別番号)が351676110356708以前の「初期ロット」、351676110356716〜351676110680487の「中期ロット」、それ以降の「現行ロット」の3種類に大別される。
自分のRakuten Miniがどのロットに該当するかは、標準の「電話」アプリ(「Rakuten Link」アプリではない)のダイヤル画面で「*#06#」と入力すると調べられる。
初期ロットでは上記3つのBandが利用できるとされている。ただし、筆者が所有している初期ロットの個体で対応通信モードの確認を行った所、Band 5も利用できるという報告が返ってきた。
主に北米や中南米で使われているBand 5への対応が追加された。ただし、先述の通り筆者が所有している初期ロットの個体でも(システムステータス上は)Band 5が利用できるということになっていた。
Band 5に加えて、主に北米で使われているBand 4への対応も追加された。ただし、日本やヨーロッパを中心に、北米や中南米を除く世界各地で使われているBand 1への対応が削除された。
既報のLTEにおける対応Bandの追加と同様に、2回に渡る仕様変更は主に北米における接続性の向上を狙ったものと思われる。
しかし、先述の通りW-CDMAのBand 1は世界の広い範囲で使われており、LTEのBand 1も同様に世界の広い範囲で使われている。最新ロットは北米や中南米における接続性は確実に向上するが、その他の地域では滞在地のローミング先事業者におけるネットワーク環境次第で接続性が悪化する可能性もある。
LTEやW-CDMAの対応Bandがロットによって異なる状況では、全てのロットを「同一機種(ハードウェア)」と見なすのは困難なように思える。
日本の法令では、無線回りの基本設計に変更がない場合に限って、認証番号を変えずにスプリアス(周波数成分)規格の変更や対応Bandの追加などを申請できる。
しかし、ロットによって対応Bandが異なる“理由”次第では、特に現行ロットの個体は「別の無線機(機種)」とみなされる可能性もある。そうなった場合は、別の無線機は新たに認証を取得し直す必要が出てくる。
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