6月2日、ファーウェイ・ジャパンが「P40 Pro 5G」並びに「P40 lite 5G」を日本に投入すると発表した。P40 lite 5Gの価格は3万9800円(税抜)。NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクが販売する5Gスマホは軒並み10万円程度するだけあって、5Gスマホとしてはかなりの破格値と言えそうだ。
この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2020年6月6日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額税別500円)の申し込みはこちらから。
メディア関係者の間では「これでグーグルのサービスが使えれば」と惜しむ声が相次いだ。やはり、ハードウェア的に優れ、コストパフォーマンスも申し分なくても、スマホのメインとも言えるグーグル関連サービスがアプリで使えないというのが痛い。
現状、5Gサービスを提供するMVNOがないことから、P40シリーズで5Gを使うには、キャリアショップに持ち込むか、すでに契約している5GスマホのSIMカードを流用するしかない。
ただ、最近、色々と機種変更して実感したのだが、キャリアによっては「端末とSIMカードの組み合わせ」が決まったものがあり、結構、厄介だったりする。
その点、NTTドコモは、AndroidとiPhoneやiPad、どちらも同じSIMカードが使えるので、とても便利だ。
一方で注意が必要なのがソフトバンク。機種ごとにそれぞれSIMカードが異なるため、使い回しが不可能に近い(そもそも、一般の人はSIMカードの使い回しなんてしないと思うが)。先日、iPhone用として使っていた契約をAQUOS R5Gに機種変更したところ、SIMカードも変更。AQUOS R5G用のSIMカードでiPhoneが使えなくなってしまった。AQUOS R5G用のSIMカードは他のSIMフリーAndroidでも動かないことが多く、本当に使い勝手が悪い。
また、KDDIではiPhone契約からGalaxy Foldに機種変更した際にSIMカードも変更させられたのだが、この時のSIMカードはAndroidはもちろんiPhoneでも使えた。
しかし、Galaxy Fold契約からXperia 1 IIに機種変更した際にはSIMカードは交換されず、そのまま使えたのだが、今度はiPhoneで使えなくなってしまった。どうやら、接続先のAPNが5G用に切り替わったようで、そのためにiPhoneで使えなくなったようだ。
SIMロック解除の環境が整備され、SIMフリーになる端末も増えつつあるが、SIMカードの取り回しが厄介で、一般の人に理解してもらうのはハードルが高すぎるのではないか。
総務省のおかげで端末と契約が完全分離されたものの、実はSIMカードと端末が分離されておらず、結果としてユーザーが混乱に陥る可能性が高い。
端末を自由に選べる環境が整ったものの、「このSIMカードだとつながらない」のでは意味がない。
キャリアによってはNFC対応が必要な機種だけ、NFC対応SIMカードを同梱。そうでない機種はコストを削減するために安価なSIMカードにするという、涙ぐましいコスト管理をしているところもあるようだ。そのために、SIMカードが複数種類、存在するというのは理解できなくもない。
ただ、総務省としては、eSIMの導入とともに、SIMカードの種類をキャリアで一本化するなどの取り組みもして欲しいと思う。
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