インタビュー
» 2020年07月17日 12時18分 公開

SIMロックフリースマホメーカーに聞く:パートナー戦略で“Googleの穴”を埋めるHuawei P40シリーズは「予想を超える売れ行き」 (1/2)

米国との関係悪化によって、Android上に「GMS(Google Mobile Service)」を搭載できなくなったHuaweiだが、独自のエコシステムである「HMS(Huawei Mobile Services)」を着々と進化させている。6月に発売したP40シリーズは、想定を超える売れ行きだという。

[石野純也,ITmedia]

 米国との関係悪化によって、Android上に「GMS(Google Mobile Service)」を搭載できなくなったHuaweiだが、独自のエコシステムである「HMS(Huawei Mobile Services)」を着々と進化させている。当初は「Mate 30 Pro 5G」だけだったHMS端末だが、6月になって、P40シリーズを一挙に3機種発売。フラグシップモデルの「P40 Pro 5G」だけでなく、ミドルレンジモデルの「P40 lite 5G」や「P40 lite E」まで、バリエーションを取りそろえた。

Huawei 「HUAWEI P40 Pro 5G」をはじめとする3機種のスマートフォンを発表したファーウェイ・ジャパン

 HMSということで、今までのAndroidと同じように使うのはなかなかハードルが高い一方で、同社の端末の持ち味であるコストパフォーマンスの高さや、カメラ機能へのこだわりは健在。ガジェットやスマートフォンに詳しい層を中心に、注目を集めている。P40シリーズと同時にタブレットのMatePadシリーズや、ワイヤレスイヤフォンの「Free Buds 3i」なども合わせて発表し、ラインアップの豊富さを見せつけた格好だ。

 一方で、HMSはまだ立ち上げたばかりで、アプリはどうしても少なくなる。特にliteシリーズの端末は一般層にも浸透していただけに、GMSなしでの戦いはいばらの道になることが予想される。そんなHuaweiの日本における最新戦略を、ファーウェイ・ジャパンのデバイス部門で日本・韓国リージョンのプレジデントを務める楊涛(ヤン・タオ)氏に聞いた。同氏は、約10年このポジションを務めた呉波(ゴ・ハ)氏の後任。代表就任の意気込みも語ってもらった。

Huawei 新たにファーウェイ・ジャパンのデバイス部門 日本・韓国リージョンのプレジデントに就任した楊涛(ヤン・タオ)氏

スマートフォンは依然として中核的な位置にある

―― 日本・韓国リージョンのプレジデントに就任されましたが、まずは意気込みや目標をお聞かせください。

楊氏 まず、今後の日本市場について考えました。Huaweiには「1+8+N」という戦略があります。1はスマートフォン、8はタブレットやスマートスピーカー、テレマティクスなど、スマートフォンを中心とした周辺機器のことを指しています。また、「+」にも意味があり、これは接続のことです。弊社には「HiLink」という接続方法があり、CPEやモバイルWi-Fiルーターもこの「+」に当たります。Nは弊社の製品に接続できる、パートナー企業のIoT製品のことです。

Huawei 「1+8+N」の1がスマートフォン、8が周辺機器、Nが5G端末を指す

 これらを全て組み合わせると、全てのシーンをスマート化できます。過去に弊社は、スマートフォンやタブレット、CPE、モバイルWi-Fiルーターといった製品に注力してきました。今後は、「+8」や「+N」の部分でも、全ての利用シーンにおいて、日本の消費者に適した、かつ商品力の高い製品を投入し、スマート化を実現したいですね。全ての利用シーンでスマートライフを展開する事業は、他の国でも成功しています。さまざまな端末がお互いに接続し、本当に意味でシームレスになれば、スマートライフが実現できます。

 もう1つは、Huawei独自のエコシステムを構築することです。今後、より多くの選択肢を、消費者だけでなく開発者にも提供することができるようになります。先の発表会では、タブレットやイヤフォン、PCに加えて、AppGalleryも発表しました。

―― 「+8」や「+N」にも注力するということですが、相対的に、スマートフォンの役割は小さくなるのでしょうか。

楊氏 それは違います。スマートフォンは依然として、中核的な位置にある商品です。最も頻繁に使われる端末だからです。そのスマートフォンも、ただのスマートフォンではなく、よりスマート化されたデバイスとしての新しい位置付けを与えていきたい考えでいます。スマートフォンは個人のアシスタントのようなもので、弊社の「+8」もこれで管理します。

―― 「+8」や「+N」を制御したり、接続したりする機能を他社に開放していく予定はあるのでしょうか。

楊氏 既にやっています。先ほどお話したHiLinkは、まさにそのための接続プロトコルです。これにさえ対応すれば、他社端末とも相互に接続ができるようになります。弊社は一貫した立場で、他メーカーとの相互接続や連携を呼び掛けてきました。なぜなら、弊社は通信機器ベンダーとして事業を営んできたからです。ここまで事業を大きくできたのも、3GPPの中で規格の策定に参加し、複数の会社間での相互接続を呼び掛けてきたからです。これによって、利便性も高まりました。オープンで、消費者の利便性が向上することは、常に心掛けています。企業間の協力で消費者がより大きな恩恵を受けられるのが、グローバリゼーションのメリットですからね。

スマホのハードウェアで抜きん出ていることを保証したい

―― スマートフォンは依然として重要とおっしゃっていましたが、そのスマートフォンについて伺えればと思います。先日P40シリーズを発表しましたが、海外では「P40」や「P40 Pro+」「P40 lite」などもある中で、なぜこの3機種になったのでしょうか。

楊氏 弊社のHMSスマートフォンが日本市場で発売されるにあたり、社内でも議論を重ねました。また、日本でも5Gが始まりました。延期になりましたが、東京五輪も予定されていました。そんな中で5Gを盛り上げていきたいというのが、一番の思いです。そのために、最も競争力のある製品を選びました。

 P40 Pro 5Gはフラグシップモデルで、価格やスペックだけでなく、カメラも最強といわれています。新たにシネマレベルのカメラも追加し、弊社が自信を持ってオススメできる端末です。一方で、やはりお手頃な価格で5Gスマートフォンを買いたいというお客さまもいます。そうした方に向け、最も競争力のあるミドルレンジのスマートフォンとして、P40 lite 5Gをご用意しました。

 もちろん、そうは言ってもそのまま4Gを使い続ける方もたくさんいますし、そのニーズも満たさなければなりません。4Gでも、最も競争力のある製品をご用意したいということで、P40 lite Eの投入が決まりました。

 弊社の製品戦略になりますが、発表した3機種とも、全てAppGalleryを搭載したHMSスマートフォンです。それもあって、同じ価格帯で比べたとき、弊社のスマートフォンのハードウェアが抜きん出ていることを保証したかったのです。当然、消費者の皆さんがHMSやAppGalleryを受け入れるには、時間がかかると見ています。そのために、「VIP+」というサービスも新たに設けました。使っているとき、何か困ったことがあれば、いつでも弊社に、簡単にアクセスできるようにしました。

 優秀なハードウェアを競争力の高い価格で提供し、さらに、よりよいサービスを合わせてご提供するということです。(HMSになることで)どうしても差分が出てしまうので、この3つで補っていこうと考えています。

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