アプリストアから消えたフォートナイト――「手数料30%問題」と「力関係の変化」を考える(2/2 ページ)

» 2020年08月24日 11時57分 公開
[佐野正弘ITmedia]
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フォートナイトだけでなはい、ストア手数料回避の動き

 実は手数料30%の問題に明確に不満を示し、アプリストアを回避する動きを進めているのはエピック・ゲームズだけではない。実際、Netflixは2018年よりアプリストアでの課金を順次終了させており、自社Webサイト経由での課金へと一本化を進めている。また海外で人気のマッチングアプリ「Tinder」も、2019年7月に手数料回避のため、Google Play経由ではなくクレジットカード決済をデフォルトにするなどの動きを見せている。

 より強い姿勢を見せているのがSpotifyだ。同社も以前よりApp Storeの手数料の高さを問題視しており、2019年にAppleが健全な競争を阻害しているとして欧州連合(EU)の欧州委員会に提訴。「Time to Play Fair」のWebサイトを公開して明確に抗議する姿勢を見せている。

フォートナイト SpotifyもAppleの手数料問題を明確に批判している企業の1つ。ストア内での決済を提供せずに手数料を回避しているだけでなく、Appleが健全な競争を阻害しているとして「Time to Play Fair」というWebサイトも公開している

 そしてこれらサービスに共通しているのが、世界的な人気を獲得し、強力な顧客基盤を持つサービスだということ。多くの開発者が手数料に不満を抱きながらもアプリストアでの配信を続けてきたのには、全世界のユーザーにアプリを配信し、独自に決済手段を用意しなくていいといったメリットが、手数料のデメリットを上回っていたからこそだろう。

 だが世界的人気を獲得したサービスであれば、アプリストアに頼らなくても十分な集客・決済ができることから、手数料への不満に明確なアクションを取ることができるようになったといえる。アプリストア側が強い立場でい続けられる状況ではなくなってきたことも、今回の騒動には影響しているといえそうだ。

ユーザー不在の泥仕合は避けられない?

 エピック・ゲームズとApple、ともに明確な対抗姿勢を打ち出しており一歩も引く構えを見せていないだけに、短期的には解決が非常に難しいというのが正直なところ。このまま両社による訴訟合戦へと突入する可能性が高いだろう。

 だが何度も触れている通り、アプリストアの手数料に対する開発者の不満は、古くから多く存在していたものだというのも事実。エピック・ゲームズくらいの規模の会社がここまでの対応を取らなければ、手数料の問題が議論の俎上(そじょう)に上がることさえなかったことを考えると、今回の出来事で何らかの見直しがなされることを期待するアプリ開発者は少なくないのではないだろうか。

 ただ、その影響をもろに食らってしまうのがユーザーであるというのもまた事実であり、エピック・ゲームズの対応に否定的な声も少なからずあるようだ。当然のことながら最も影響を受けているのはiOSのフォートナイトユーザーであり、App Storeにフォートナイトが復活しない限り、iOSユーザーがフォートナイトの新しいシーズンをプレイすることはできないことから不満は少なくないだろう。

 またiOS版のUnreal Engineが更新できなくなったとなれば、それを使用していたゲームの更新まで滞ってしまうかもしれない。ちなみにUnreal Engineを使用しているスマートフォンゲームとしては、「ウイニングイレブン」や「PUBG Mobile」「リネージュ2 レボリューション」などが挙げられ、両社の対立が続けばこうしたゲームにも影響が出る可能性があるのだ。

 Appleに関連した訴訟といえば、分野は違うがAppleとQualcommが最近まで繰り広げていた訴訟合戦が思い起こされるだけに、今回の問題も妥協点が見いだされない限り長期化することも十分考えられる。ユーザー不在の泥仕合が続くことだけは避けてほしいところだが、その願いは届くだろうか。

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