もちろん一連の出来事は、あくまで米国など日本以外でのTikTokの動向であり、日本におけるTikTokの事業に直接影響が出るわけではない。だが一連のTikTokに関する報道などで中国への情報漏えいの可能性を懸念する人も出てきており、それを受ける形で自治体がTikTokのチャンネルを非公開にするといった影響が出てきている。
TikTokのプレスリリースより。TikTokはここ最近、大阪府や神奈川県など自治体との協定を積極的に進めていたが、一連の報道による不安の声を受けてか、自治体側がチャンネルや動画の非公開化する動きが加速している7月28日には自民党のルール形成戦略議員連盟が、中国企業が提供するアプリを使用制限するよう、政府に提言する方針をまとめたとされており、国内でもTikTokの規制に向けた動きが現れつつある。Huaweiと同様に、米国の動きに日本がならう形で国内のTikTokに何らかの規制がなされる可能性は十分あり得る。
では米国におけるTikTokの今後はどうなるのかというと、やはり米国での事業売却がどのような結果を迎えるかによって大きく変わることになりそうだ。既にMicrosoftがTikTokの米国事業などを買収する交渉を進めているとされているが、他にもTwitterやOracleなどが買収に名乗りを上げているとの報道も出てきている。
どの企業が買収するかはともあれ、90日以内に米国企業への売却がなされればTikTokの運営に対する米国政府の懸念はなくなり、米国でのTikTokのサービスは維持されるだろう。それが国内事業にどこまで影響するかは分からないが、日本でも同様の懸念が高まってくるようであれば、日本での事業に関しても売却に向けた動きが出てくるかもしれない。
一方で、90日以内に交渉がまとまらず、しかも米国政府が強硬な姿勢を変えなかった場合、TikTokは米国などでサービス提供できなくなってしまうこととなる。この場合も日本の事業に直接影響するものではないが、米国での禁止を受ける形で日本でも中国製アプリに対する強硬論が強まる可能性は高いだろう。
そうした状況を受けた動きかどうかは不明だが、Facebook傘下のInstagramが最大15秒の動画を投稿できる「Reels」の提供を発表するなど、類似するサービスやアプリも登場しつつある。Huaweiへの制裁で中国外企業のビジネス機会が増えたのと同様、もしTikTokが利用できないとなれば、別のサービス事業者がその穴を埋める形で利用を伸ばすことになるかもしれない。
ただ先にも触れた通り、米国の大統領令はTikTokだけでなくWeChatなどにも発令されている。それゆえ今回の出来事を機として、米国や、日本をはじめ米国の影響を強く受ける国々で、中国企業が関連するサービスの利用が規制される可能性は否定できない。
現在は日本でもTikTokだけでなく、ゲームやカメラアプリなどを中心に中国発のアプリやサービスが人気を博しているが、一連の動きが加速すれば、そうしたアプリの利用も今後制限されることになるかもしれない。政治的対立がアプリの世界にも“分断”をもたらしてしまうことが、最も懸念されるところだ。
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