3者は、ドローンを使った遭難者位置にも取り組んでいる。山で遭難した場合、サービスエリア外だと、実際は遭難者の持つ端末のGPS電波を受信して位置を特定できているにもかかわらず、位置情報を通知できないケースがある。ならば周囲を圏内にすればいいという考え方だ。
圏外のエリアがあれば、そこに無線中継システムを搭載したドローンを飛ばすことで圏内をエリア化でき、GPS情報を伝えることができる。ただ、エリア化するだけでは位置を把握できないので、「位置情報取得システム」も合わせて開発。捜索者がサーバにアクセスすることによって地図上に端末の位置を特定できる。なお、このシステムで位置を把握するためには、遭難者の端末に専用アプリがインストールされている必要がある。
この遭難者の位置特定システムは、ニセコスキー場で実証実験が行われ、約5mの雪の下に埋めた人形の胸ポケットに入れた端末の位置の特定に成功した。今回の実証実験は、これを土砂やがれきに応用したものだ。有線給電ドローンよりも小型のドローンを使い、バッテリーで飛行する。最大30分の連続飛行しかできないので、バッテリーを交換しつつ行うことになる。
土砂やがれきは雪に比べて電波の浸透が非常に悪く、通信が困難だという。そこで、縦にも移動できるドローンの特徴を生かし、低空の高度10m付近を飛行。また、電波のビームをできるだけ絞り、電波がなるべく土砂やがれき内の深い場所に届くようにした。ただ、土砂やがれきの種類や水分量によって電波の浸透具合は異なるため、電波がどれくらい届くかは実験のデータしか得られないという。「いろいろなところで実験しているが、状況によって異なる」(藤井氏)
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