「ドローン無線中継システム」で災害時のエリア復旧や遭難者特定を ソフトバンクがデモを披露(2/3 ページ)

» 2020年09月02日 11時57分 公開
[房野麻子,ITmedia]

遭難者の位置特定にも活用

 3者は、ドローンを使った遭難者位置にも取り組んでいる。山で遭難した場合、サービスエリア外だと、実際は遭難者の持つ端末のGPS電波を受信して位置を特定できているにもかかわらず、位置情報を通知できないケースがある。ならば周囲を圏内にすればいいという考え方だ。

 圏外のエリアがあれば、そこに無線中継システムを搭載したドローンを飛ばすことで圏内をエリア化でき、GPS情報を伝えることができる。ただ、エリア化するだけでは位置を把握できないので、「位置情報取得システム」も合わせて開発。捜索者がサーバにアクセスすることによって地図上に端末の位置を特定できる。なお、このシステムで位置を把握するためには、遭難者の端末に専用アプリがインストールされている必要がある。

ドローン無線中継システム 無線中継システムを搭載したドローンを飛ばしてエリアを作り、遭難者の携帯端末の位置情報を受け取れるようにする。2016年総務省北海道総合通信局の試験事務の中で請け負った内容だ
ドローン無線中継システム ドローン無線中継システムとともに、位置情報取得システムも開発
ドローン無線中継システム アプリはポスターなどからQRコードを読み取って簡単にダウンロードできるようにする

 この遭難者の位置特定システムは、ニセコスキー場で実証実験が行われ、約5mの雪の下に埋めた人形の胸ポケットに入れた端末の位置の特定に成功した。今回の実証実験は、これを土砂やがれきに応用したものだ。有線給電ドローンよりも小型のドローンを使い、バッテリーで飛行する。最大30分の連続飛行しかできないので、バッテリーを交換しつつ行うことになる。

 土砂やがれきは雪に比べて電波の浸透が非常に悪く、通信が困難だという。そこで、縦にも移動できるドローンの特徴を生かし、低空の高度10m付近を飛行。また、電波のビームをできるだけ絞り、電波がなるべく土砂やがれき内の深い場所に届くようにした。ただ、土砂やがれきの種類や水分量によって電波の浸透具合は異なるため、電波がどれくらい届くかは実験のデータしか得られないという。「いろいろなところで実験しているが、状況によって異なる」(藤井氏)

ドローン無線中継システム 土砂やがれきは雪よりも電波が届きにくいため、ドローンを低空で飛ばし、電波のビームを細くするなどの工夫をする
ドローン無線中継システム ニセコスキー場で使ったものと同じ人形の胸ポケットに端末を入れ……
ドローン無線中継システム 高さ約1.7mの土砂の中に埋める
ドローン無線中継システム がれきでも実験を行った。今回の土砂より、こちらのがれきの方が電波は浸透しやすいという
ドローン無線中継システム ドローンを比較的低空で飛ばす
ドローン無線中継システム 捜索者の端末で、遭難者の端末の場所(青い丸)が確認できた
ドローン無線中継システム 圏外でGPSの電波をキャッチできない場合は、ドローンを移動させて携帯電話の電波の強さをモニタリング。赤いラインの高い部分が電波の強いところ、低い部分は弱いところを示し、端末の位置をある程度まで特定できる

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