遭難現場でドローンの中継システムを運用するには、システムの運搬者、無線中継システムの運用者(携帯電話事業者)、ドローン操縦者の3者が現地に集合する必要があり、運用までに時間がかかっていた。
そこで、より迅速に運用できるようにするため、中継運用者とドローン操縦者は作業を遠隔でできる遠隔運用システムを開発。現地にはシステムの運搬者のみが出向けばいいようになり、運用開始まで大幅な時間短縮が可能になるという。
ドローンの遠隔操縦には、Raspberry Piで開発した携帯端末をコントローラーやドローンに搭載し、通常、Wi-Fiでやりとりしている情報をモバイル通信経由でやりとりする。なお、スマホでテザリングしてもいい。
VPNサーバを介して認証し、ドローンとコントローラーの端末をペアリング。接続されたら、VPNの通信経路を通してドローン飛行制御信号が安全に送信される。遠隔操作は遅延が心配だが、ドローン制御信号は、通常のトラフィックより優先して通信でき、ほぼ現地にいてWi-Fiで接続して操作しているのと変わらないくらい、リアルタイムに操縦できるという。また、Wi-Fiから移動通信網を使った操縦、現地から遠隔操縦への切り替えなど、自在に操縦モードを切り替えることが可能になっている。
携帯電話システムを運用するには無線局の免許が必要だ。これまで、気球やドローンを使った無線中継システムについて、電波法で規定がなかった。ソフトバンクは総務省と話し合いながら電波法の改正を働きかけてきたという。
係留気球の無線中継システムについては、くしくも東日本大震災からちょうど5年後の2016年3月11日に、電波法関係審査基準が改正され、実用で使えるようになった。ただし、従来の基地局は地上に固定されたものではくてはいけないという決まりがあり、気球の無線中継システムについては、自然災害と利用訓練時にしか使えないという条件が付いた。
ドローンの無線中継にかかる制度は2020年6月22日に、係留気球と同じ電波法関係審査基準が改正され、係留気球と同じ無線装置をドローンに載せて使うことができるようになった。ただ、耐風速が係留気球は25m/秒だが、ドローンは10m/秒になっている。
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