ドコモ、KDDI、ソフトバンクの2020年度第3四半期決算が出そろった。各社とも、料金値下げは発表しているものの、サービスがスタートするのは2月から4月にかけてとなり、現時点ではその影響は出ていない。モバイルの通信料収入は、ドコモが減収したものの、KDDIやソフトバンクは前年同期比でわずかに伸びている。
それ以上に大きいのが、通信の上で展開する非通信領域。コロナ禍で企業のデジタルシフトが進んだこともあり、法人分野は各社とも好調だ。各社が注力する、金融・決済関連のサービスも、順調に拡大している。そんな通信大手3社の決算をまとめて振り返っていきたい。
NTTは、12月にドコモを完全子会社化したのに伴い、今期からNTTとドコモの合同で決算を発表する方式に切り替えた。子会社のドコモ単体で見ると、売上高は3兆5131億円、営業利益は8128億円で減収増益を記録している。ドコモの代表取締役社長、井伊基之氏によると、「ギガホ、ギガライトの還元影響や販売方法の見直し、新型コロナによる端末販売収入や国際ローミング収入への影響はあったものの、ドコモ光やスマートライフ事業が着実な成果を上げている」という。
これに対し、KDDIは売上高、営業利益ともに前年同期より着実に伸びている。第3四半期までの売上高は3兆9238億円で、前年同期比0.5%の成長。営業利益も8710億円で、2019年度第3四半期から3.2%拡大している。KDDIの代表取締役社長、高橋誠氏が「成長領域が業績をけん引している」と語ったように、auやUQ mobileと傘下のMVNOを足した通信料収入は19億円の減益になっているのに対し、同社がライフデザイン領域と呼ぶ上位レイヤーのサービスや法人事業は400億円の増益と大きく成長していることが分かる。
ソフトバンクは、モバイル通信と非通信事業の両方が成長をけん引した。第3四半期までの売上高は3兆8070億円で5%の増収、営業利益は8416億円で6%の増益を果たしている。セグメント別に見ると、特に大きく伸びているのが、ヤフーや法人分野。モバイル通信料収入は減少こそしていないが、ほぼ横ばいであることが分かる。代表取締役 社長執行役員兼CEOの宮内謙氏は、「事業そのものの多様化が一気に進んでいる」と自信をのぞかせた。
3社の売上高や営業利益を横並びで比較すると、以下の通り。売上高と営業利益とも、KDDI、ソフトバンク、ドコモの順に並ぶ。通信料収入の比率が下がっている点は、3社とも共通。非通信分野や法人、IoTといったコンシューマー以外の分野に、収益源をシフトさせている様子がみて取れる。3社とも、オンライン専用の20GBプランや、データ容量が使い放題のプランを導入する他、KDDIやソフトバンクは低容量から中容量のユーザーをターゲットにしたUQ mobile、Y!mobileも値下げする。そのため、来期以降はこのトレンドに拍車が掛かりりそうだ。
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