ここからは、Xperia PROの“Pro”らしい機能について見ていこう。「5Gミリ波の高速データ通信」「HDMI対応の外部モニター」「HDMI対応のモバイルライブ配信デバイス」の順に紹介していく。
Xperia PROは5Gミリ波(28GHz)とSub-6(3.7GHz帯、4.5GHz帯)の両方に対応。ミリ波はSub-6よりもさらに高速で、対応したスタジアムでのスポーツやイベント報道においては、写真や動画のアップロードに役立つことが期待される。
だが、ミリ波はスマホへの搭載や直進性が高く、エリア拡大が難しい周波数帯だ。このため、現状はほとんどの5Gスマホが対応しておらず、エリアも都心や主要施設のごく一部をスポット的にカバーする程度という点は留意しておこう。2月時点でXperia PROが対応している5Gミリ波はauとドコモ(ソフトウェアップデートが必要)のみだ。
5Gミリ波対応のため、Xperia PRO本体も最適化された設計となっている。具体的には本体の放熱設計を見直し、本体上下左右のアンテナで360度全方向の電波を受信可能にしている。本体の外装も、電波を阻害しないよう梨地仕上げ風の樹脂素材を採用している。
4G LTEの対応バンドが多く、SIMロックフリーのデュアルSIM対応という点も見逃せない。対応バンドはiPhone 12シリーズ並みに多く、国内外で利用しやすくなっている。通常は海外渡航の多い報道や映像制作者にとって、データ通信から普段使いの通話まで使いやすい。
さらに、通信状況を確認できる「Network Visualizer」アプリを搭載。5Gミリ波と接続した場合に限り、どの方向の電波を受信しているかまで表示される。子画面表示にも対応し、ファイル転送やライブ配信時のモバイルデータ通信のトラフィックを確認できる。ただし、Wi-Fi接続時はトラフィックが表示されず不便に感じた。
では、5Gミリ波とSub-6の違いを見ていこう。auの回線を利用して品川シーサイド近辺で速度をチェックした。
ミリ波のエリアでは下り1.7Gbps以上、上り300Mbps以上と、4Gはもちろん5G Sub-6とは桁違いの速度を記録した。これだけの速度が出るなら、容量制限を気にせず写真の送信やライブ配信を利用しやすい。5G Sub-6も、下り400Mbps前後、アップロード30Mbps前後と十分高速だ。ミリ波と比べると遅いように見えるが、日常利用では十分すぎる速さだ。
Xperia PROではソニーの最新ミラーレス一眼「α1」や「α7S III」などにUSBテザリングで接続し、撮影しながら報道局のサーバなどにFTPでアップロードする、または後述するライブ配信での用途が想定されている。
実際のところ、αのUSBテザリング撮影だけなら内蔵Wi-Fiや有線LAN、他社スマホの5Gでも利用できる。だが、後述するHDMI外部モニターや、USB Type-C/USB 3.1(Gen1)対応、ミリ波を含む5Gと対応バンドの多い4Gを1台で同時に利用できる機器はまずない。プロが予算を問わずベストな撮影支援機能とデータ送信機能を持ったスマホが欲しいときに、Xperia PROのデータ通信機能は最高の選択肢といえる。
【訂正:2021年3月4日18時00分 初出時に「USB 3.1(Gen2)対応」としていましたが、正しくは「USB 3.1(Gen1)対応」です。おわびして訂正致します。】
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