ソニーモバイルから、映像制作者向けのAndroidスマートフォン「Xperia PRO」が発売された。実売価格が25万円前後(税込み)のSIMロックフリーモデルで、ソニーストアや家電量販店などで購入できる。
大きな特徴は、スマートフォン初のHDMI入力端子を搭載し、5Gミリ波(28GHz帯)に対応したこと。販売対象はプロの映像制作会社や報道局、カメラマン、ユーチューバーなどを想定した、価格と機能ともに異色の“Pro”モデルだ。
ただ一般的なスマートフォン利用者からすると、これだけではなぜ実売価格25万円なのか、何が “Pro”なのかピンと来ないだろう。この記事では最初にXperia PROの概要を紹介し、後半で5Gミリ波の速度測定や、“Pro”らしいHDMI入力やライブ配信用途を紹介する。
ソニー製品でプロモデルといえば、製品名に“Pro”を冠した一般向けの上位モデルと、映像・音響分野などの“プロ向け業務用製品”がある。Xperia PROはその中間、どちらかといえば後者の業務用製品寄りで、特別な用途での安定した動作に重きが置かれたモデルだ。
スマートフォンとしての基本仕様は、ベースモデルの「Xperia 1 II」とはほぼ同等。6.5型で比率21:9の4K(1644×3840ピクセル)有機ELディスプレイと、ハイエンドプロセッサのSnapdragon 865を搭載。カメラは広角(24mm相当)、超広角(16mm相当)、望遠(70mm相当)の1200万画素トリプルカメラだ。防水(IPX5/IPX8)・防塵(じん)(IP6X)仕様で、指紋認証や4極イヤフォン端子も利用できる。
ハードウェア周りの特徴として、後述する5Gミリ波対応とHDMI入力端子に加えて、登録した機能をサイドボタンで起動できるショートカットキーが追加された。よく利用するアプリを登録し、ワンタッチで起動できる。ストレージ容量は512GBに増量された。
Xperiaシリーズ独自の機能は、一眼デジタル風の操作と絵作りのカメラ「Photography Pro」、業務用シネマカメラ風撮影が可能な「Cinematography Pro」、ゲームアプリの支援機能「Game enhancer」ともに利用可能だ。これらの機能の詳細はXperia 1 IIのレビュー記事を参照してもらいたい。
新たに、後述する「外部モニター」と、テザリングとHDMI入力利用時に限り本体が熱くなっても動作を続ける「パフォーマンス持続モード」を搭載。5Gミリ波とHDMI入力に合わせて、内部の放熱設計も強化されている。
一般のスマホ好きなら「パフォーマンス持続モード」有効時のベンチマーク結果も気になるかもしれない。そこで、AnTuTuベンチマークを実行。Game enhancerはパフォーマンス優先に設定し、パフォーマンス持続モードはUSBテザリングで有効にした。
結果はスコアが微妙に上積みされた程度で、あまり違いは見られない。Xperia 1 IIなど他のSnapdragon 865搭載モデルとほぼ同等だ。もともと搭載チップをオーバークロック動作させる機能ではないので妥当な結果といえる。
Xperia PROでは省かれた機能もある。Xperia 1 IIに搭載されていたおサイフケータイ向けのFeliCa(NFCは搭載)と、ワイヤレス充電は搭載されていない。また、Xperia 1 IIはAndroid 11へのアップデートが開始されつつあるが、Xperia PROの初期OSはAndroid 10だ。
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