世界を変える5G

MVNOで音声かけ放題は実現するのか? 5G時代の接続ルールはどうなる?:モバイルフォーラム2021(2/2 ページ)

» 2021年03月18日 15時24分 公開
[房野麻子,ITmedia]
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MVNOが5Gサービスを提供する意義は?

 2020年3月に大手キャリア3社が5Gサービスを開始。MVNOにも5Gの接続が開放されており、mineoは同年12月からオプションサービスとして5Gを導入。IIJは2021年6月から5Gを導入する。一方で、KDDI、ソフトバンクは4Gの既存周波数を5Gにも転用することでエリア拡大を進めているが、現時点で5Gエリアはまだ限定的だ。

 石川氏は、5Gは「コロナ禍で出ばなをくじかれた」と振り返った。東京五輪に絡めた5Gを活用したサービスやイベントも発表の場を失った形だ。その中でも印象的だったのがiPhone 12シリーズを5Gに対応させたAppleの存在だったという。

 「iPhone 12シリーズの発表会ではAppleの電波暗室から中継し、5Gに注力している姿勢をアピールしていた。Apple自らキャリアと組んで、世界でネットワークのチェックをしたことが印象的だった」(石川氏)

 日本ではKDDIが、5G向けの使い放題プランを契約している場合に、5GエリアではiPhoneのFaceTimeやストリーミング動画の画質が上がる「au 5Gエクスペリエンス」を導入している。石川氏は「5Gのタイミングでメーカーとキャリアが手を組んで、ユーザーに快適な使い勝手を提供するというアプローチをしてきた。これはMVNOにとって脅威ではないか」と指摘する。

 西田氏は、「ローカル5Gも含めて産業の中で5Gをどう使うか、まだ世界的にきちんとした検証ができていない。検証するにしても、大手MNOが中心となって取り組んでおり、現状の5GはMNOが非常に有利な状態」と見る。

 「もっと狭い領域や細かいサービスをMVNOが担っていくニッチな戦略があると思うが、まだそこまでできない。5G回線を貸してもらうかもらわないかのレベル」(西田氏)で、5Gによる産業創出は、まだ難しい状態だとした。

 mineoはいち早く5Gサービスを開始したが、その意図について福留氏は、5Gでも4Gと同じ価値を提供したいためと説明した。

 「5G端末を持っている、使っているという状態が、当たり前になる世界がそれほど遠くないタイミングで来ると思っている。mineoはトリプルキャリア対応で、持っている端末をそのまま利用できることを大切な価値としている。5Gの世界でも同じ価値を提供したい」(福留氏)

 mineoは新料金プランで20GB容量のプランを提供しているが、5G時代の大容量ニーズにも引き続き対応していくとしている。

モバイルフォーラム2021 2020年12月から5Gサービスを提供しているmineo

 イオンモバイルの河野氏は「時期は言えないが、当然、われわれも5Gに対応していく」と断言した。一方で、「イオンモバイルを利用しているユーザーにとって、5Gを使うメリットをしっかりと検討していく必要がある」とも述べた。

 「5Gになると、速度が上がる代わりに、今まで以上にデータ消費が増える懸念があると思う。つまり5Gは燃費が悪い。これからはデータ容量だけでなく、通信速度の上限を選べるようなニーズも高まるのではと思っている。多様性のあるサービスを提供できるMVNOが取り組む、新しい5Gの形になるのではないか」(河野氏)

 島上氏は「移動通信のインフラの正常な進化として4G、5Gがあるので、当然、MVNOも5Gには取り組んでいかなくてはいけない。取り組んでいくということ自体がMVNOを続けるということ」と5G対応が当たり前との考えを示した。

接続料のルールは5Gでどうなるか

 5Gになると、従来の接続料の在り方では対応できなくなるのではないかといった課題もある。スタンドアロン(SA)構成での運用が本格化するとネットワークが仮想化され、MNOとMVNOの接続は設備を物理的に接続するのではなく、APIなどを通じて仮想的に接続する仕組みが増えていくと考えられているからだ。

 島上氏は、「料金体系を決めるのが、帯域だけという話でもないだろうとも思っている。柔軟な議論があってもいい」と指摘する。

 「5GがSA構成に行くと、3G、4G、5G NSAで培ってきた今の仕組みとは、全く違った世界観になっていく。MVNOもコンシューマー向けのモバイルブロードバンドだけを提供しているわけではなく、産業の中で無線通信ネットワーク使っていくプレーヤーとして生きていく観点もある。

 5Gではいろいろな設備が仮想化されていくので、その仮想化されたものに対するコントロールを得るだけでも、いろいろなことができるかもしれない。これはライトVMNOという発想。あるいは、ローカル5Gのように、限られた場所で無線の免許でネットワークを作れるようにもなっているが、自分で電波を作れないところはMNOから借りて、自分のネットワークを作っていってもいい。これはフルVMNOという発想。こうした発想は、世界でもまだあまり議論されていない。ぜひ日本で形にしていきたい」(島上氏)

 大内氏は、5G時代の接続料に関するルールについて「非常に難しく、また、こう言ったら怒られるかもしれないが、面白い分野」と述べ、行政の役割が増してくるのではと語った。

 「L2接続を含め、接続のトポロジー(構成)がそのまま実現するということは当然難しくなる。MVNOの事業形態や設備構成も多種多様になり、ニーズに合った接続を実現させるハードルは、非常に上がってくると思う。行政も事業者の間に立って、いろんな形で役割を発揮しなくてはいけない部分が増えてくるのではないかと思っている」(大内氏)

 また大内氏は、5Gでは「卸の役割が大きくなる」とも述べた。「卸でやりますと宣言しているMNOもいらっしゃる。過度な規制はしてはいけないが、卸と接続の関係性を5G時代も維持するのかということについては、中長期的な課題になる」(大内氏)と述べ、公正競争環境を作るために「非常に幅広くて難しい分野だが、しっかり検討していきたい」(大内氏)との意気込みを語った。

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