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MVNOで音声かけ放題は実現するのか? 5G時代の接続ルールはどうなる?モバイルフォーラム2021(1/2 ページ)

» 2021年03月18日 15時24分 公開
[房野麻子ITmedia]

 テレコムサービス協会 MVNO委員会は、3月5日に「モバイルフォーラム2021」をオンラインで開催。「激動のモバイル市場 MVNOに安心して乗り換えるために必要なものとは?」と題してパネルディスカッションが行われ、通信業界を取材するジャーナリスト、MVNO関係者、総務省 料金サービス課の担当者などが、MVNOの果たすべき役割、あるべき競争環境の姿などについて議論した。

 1つ目のテーマ「政府主導による料金値下げの功罪 MVNOはどう対抗すればいいのか」についての議論をお伝えした記事に続き、今回は、MVNOの音声定額サービスや5Gの取り組みについて議論をお伝えする。

モバイルフォーラム2021 パネリストは、右上から時計回りに、スマートフォン/ケータイジャーナリストの石川温氏、オプテージ コンシューマ事業推進本部モバイル事業戦略部長の福留康和氏、フリージャーナリストの西田宗千佳氏、総務省総合通信基盤局電気通信事業部料金サービス課企画官の大内康次氏、テレコムサービス協会 MVNO委員会委員長でインターネットイニシアティブ 常務取締役の島上純一氏、イオンリテール 住居余暇本部アプライアンス商品部の河野充宏氏、モデレーターを務めたITmedia Mobile編集長の田中聡

MVNOで音声かけ放題に対するニーズはどれだけあるのか

 接続料の値下げに伴って、MVNOのデータ通信料金は下がっている。ただ、音声通話料金に関しては、基本の30秒あたり20円(税別、以下同)はMNOと同様。また、MNOは5分かけ放題や10分かけ放題、無制限の定額通話サービスを提供しているが、MVNOで通話を安くするには、別のアプリを利用するか、プレフィックス番号を付けて通話する必要がある。

モバイルフォーラム2021 現在、MVNOで通話料を安くするにはプレフィックス番号を付ける必要がある(画像はIIJmioが提供している「みおふぉんダイアル」

 総務省の「接続料の算定等に関する研究会」では、2021年度中をめどに音声卸料金の低廉化と、プレフィックス番号を自動で付与する機能の提供が見込まれており、MVNOにとっても通話に関する動きは好転しているといっていいだろう。ただ一方で、スマホの通話はLINEなどSNSの無料通話サービスで済むと考えているユーザーが多い印象もある。

モバイルフォーラム2021 音声卸料金の低廉化やプレフィックス番号の自動付与機能の搭載が実現されると、MVNOでもかけ放題が可能になるかもしれない(※接続料の算定等に関する研究会《第41回》NTTドコモの資料より引用)

 mineoを提供しているオプテージの福留氏は、「かけ放題がないと、自分の両親にはmineoを勧められない」というユーザーの意見を紹介しながら「音声かけ放題の実現を求めるユーザーの声は非常に多い」と述べた。

 「mineoでんわ」アプリを使った10分かけ放題を提供しているが、着信の折り返し電話をかけるときに通常の電話アプリを使ってしまい、想定外の通話料がかかってしまうという不満の声もあるという。音声卸料金の低廉下とプレフィックス番号の自動付与によって、「ユーザーにとっては、使い方が格段にシンプルになり安心して電話を使えるようになる。事業者にとってはサービスの多様化につながる」(福留氏)とし、取り組みの推進を訴えた。

 一方、イオンモバイルを提供するイオンリテールの河野氏からは「完全かけ放題のニーズは高くない」という意外な発言。10分かけ放題を提供しているが、利用は2割から3割にとどまっているという。イオンモバイルの端末はキッティングして、初期状態から「イオンでんわ」のアイコンが通常の電話の位置に配置されているため、「使い勝手であまり問題はない」(同氏)と認識している。しかし、折り返し電話で予想外の通話料が発生するトラブルは起こっており、iPhoneでイオンでんわを使うと着信履歴が表示されないことも、サービス開始当初からの課題となっている。

 スマートフォン/ケータイジャーナリストの石川氏は、NTTドコモ井伊社長のグループインタビューで聞いたという「ドコモでは、かけ放題が不要なユーザー、5分かけ放題でいいというユーザー、完全かけ放題を利用しているユーザーが3分の1ずつ」という発言を紹介。「どういうユーザー層を狙うかで提供するサービスが決まってくると思うが、なかなか答えが出ないのではないか」(石川氏)と述べた。

 フリージャーナリストの西田氏は、「無料通話アプリでいいというユーザーは、年齢やITリテラシーに関係ない」という考えだ。

 「知り合いとしか通話しない人は、SNSアプリの中で完結してしまう。IP電話を導入する企業も同じ傾向で、IP電話は企業内で内線電話的に使われているのがほとんど。通信専用のプランは若者向けと言われるが、LINEでずっと通話している人は若者だけとは限らない。年齢ではない分け方で見た方がいいのではないか」(西田氏)

プレフィックス番号自動付与機能はMVNOとして歓迎

 音声卸料金の低廉化やプレフィックス自動付与はいつ頃実現するのか。総務省の大内氏は「MNO3社はプレフィクスの自動付与に関する機能を開発していて、既に約款も届け出てもらっている」と語った。さまざまな観点から公正な競争環境の整備に役立つかを検証する必要があり、現在、パブリックコメントを募集している最中だ。

 MVNO委員会委員長の島上氏は、音声料金について「論点は2つある」と解説した。1つは音声SIMの基本料金と、もう1つが通話した分だけかかる従量料金だ。

 かけ放題で問題になってくるのが従量料金。MNOからMVNOに卸されるときの料金は30秒14円だ。これは「10年間ずっと変わっていない。かなり高い料金で、これでかけ放題は提供できない。とても戦えない」(島上氏)ということで、多くのMVNOは「00XY」のプレフィックス番号を電話番号の前に付けることでつながる中継電話事業者と組んで、安い音声サービスを提供している。これも通話時間によって課金されていくので、かけ放題を提供するには、「従量課金に対してどういう定額を組むか、どうバランスさせるかが各事業者の判断になる」(島上氏)。

 このように、MVNOが安い通話サービスを提供するには、00XYの中継電話を使わなくてはいけない。ユーザーに簡単に使ってもらうためにはアプリが必要だが、折り返し電話がかけにくいという問題点があり、トラブルの元になっている。それを解決する1つの策として、プレフィックス自動付与機能がある。MNOの設備に00XY番号を自動的に付与する機能を搭載し、中継電話事業者に必ず接続するようにすれば、アプリが不要になり、折り返し電話をかけるときも問題なく使えるため、「われわれMVNOとしては歓迎している」(島上氏)。

 もう1つの論点が基本料金だ。現在、MVNOの音声通話機能付きプランは、データ通信専用プランより700円程度高い。なぜなら、音声SIMの基本料金として666円、MNOからMVNOに課金されているからだ。島上氏は「これが大きく下がらないと、MNOと戦えるようなプランはとてもじゃないけど出せない。基本料金も大きく下がってもらわなくては困る」と訴えた。

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