世界を変える5G
インタビュー
» 2020年12月25日 11時00分 公開

MVNOに聞く:mineoが5Gサービスを提供する狙い ahamoとも戦っていける? オプテージ福留氏に聞く (1/3)

オプテージの運営するmineoが5Gのサービスを開始した。しかも、ドコモ、au、ソフトバンクの3回線がまとめて5Gのサービスに対応する。MVNOはMNOとの接続点にボトルネックがあり、5Gの実力を発揮しづらい状況は変わっていない。なぜ、mineoは思い切って3キャリア対応の5Gサービスを開始したのか。

[石野純也,ITmedia]

 大手3キャリアと楽天モバイルが5Gのサービスを開始する一方で、MVNOの多くは、コンシューマー向けにどう5Gを提供すべきかの答えを出せていない。自社で基地局を作るMNOに比べ、ボトルネックで速度が上がりにくく、5G化するメリットが見えづらいのがその一因だ。IIJのように、法人向けに提供する事例は徐々に出始めている一方で、コンシューマー用の5Gサービスを提供しているMVNOは、まだまだ限定的だ。

 そんな状況の中、オプテージの運営するmineoが5Gのサービスを開始した。しかも、ドコモ、au、ソフトバンクの3回線がまとめて5Gのサービスに対応。オプション料金の200円(税別、以下同)を払えば、基本的に、ほとんどの料金プランで5Gを利用できる。MNOとは異なり、専用の料金プランを用意するのではなく、あくまでオプションという位置付けで、契約がしやすい。

 5Gに対応したASUSの「ZenFone 7」も用意。シェア上位の大手MVNO中では初めて大々的に5Gのサービスを開始したこともあり、話題を集めた。とはいえ、上記のように、MVNOはMNOとの接続点にボトルネックがあり、5Gの実力を発揮しづらい状況は変わっていない。なぜ、mineoは思い切って3キャリア対応の5Gサービスを開始したのか。オプテージでmineoの運営を取り仕切る、コンシューマ事業推進本部 モバイル事業戦略部長の福留康和氏に話を聞いた。

mineo 月額200円のオプションで5Gサービスを開始したmineo

4Gと同等かそれ以上の速度は出る

mineo オプテージの福留康和氏(提供:オプテージ)

―― 最初に、サービスの概要を教えてください。

福留氏 新たに5Gのサービスを12月1日に開始しました。料金はオプションで200円です。トリプルキャリアで5Gに対応したのは業界初、ソフトバンク回線もMVNOの中では業界初です。auに関しては、法人対応は他社もやっていますが、コンシューマー対応は初です。トリプルキャリア対応、ソフトバンク対応、コンシューマー向けauの3つで、業界初になりました。

 5G通信は料金のメニューではなく、あくまでオプションとして提供しています。さまざまなサービスと組み合わせてご利用いただけるからです。6カ月間の無料キャンペーンも実施していて、3月31日までにご契約いただいたお客さまについては、6カ月間に渡って月額料金を無料にします。最大で1200円無料になります。

―― なぜ5Gに対応したのか、背景を教えてください。

福留氏 ありきたりですが、利便性向上に資するためです。技術の進展は世の常で、3Gが4Gになる中で、端末もガラケーからスマホに変っていきました。同じように、4G端末も徐々に世代交代していきます。外部調査になりますが、既に出荷台数の3割が5G端末といったデータもあります。その進展に遅れることなく対応し、利便性が向上するよう努めていきたいと考えました。

 ただし、現状の5GはSA(スタンドアロン)ではなく、NSA(ノンスタンドアロン)で、設備も5G専用ではなく4Gとの共用になります。RAN(無線部分)以外は全て4Gのものを使っているため、高速大容量、低遅延、多端末同時接続といった特徴を実現するのは、現断面では難しいと考えています。

 とはいっても、メリットはあります。お客さまが4Gの電波に加えて、5Gの電波も使えるようになるからです。人が込み合って無線部分が混雑しているような場所においては、5G契約のお客さまの方が、4G契約のお客さまより速くなるケースも多くあります。大部分の設備は4Gと同じですが、末端の基地局は5Gなので、少なくとも4Gと同等か、それ以上にはスピードが出ます。

 確かにお昼休みや朝、夕の通勤時間帯においては、通信が混雑してPOI(MNOとの接続点)側の制約を受けます。5Gに割り当てられている帯域が多いので、そこまでは高速になりますが、より上位の接続点は4G、5G共用になるため、混雑すると4Gと同等の速度になります。

―― POIが4G、5G共用というお話でしたが、この部分の帯域を4Gと5Gで切り分けて、5G契約をすると時間帯によらず、快適に使えるというようにすることはできないのでしょうか。

福留氏 現状だと、4Gのパケットと5Gのパケットを見極める術がありません。(契約を分けるなどして)やろうと思えばできないことはないと思いますが、考えたことはないですね。

mineo
mineo キャリア設備とMVNO設備の相互接続点は4Gと5Gで共用しているため、混雑時には4Gと同等の速度になる

5Gでも4Gと同じ世界観を追求したい

―― 3キャリアの回線で同時に5Gを始めたのは、少し驚きました。その理由を教えてください。

福留氏 5Gの世界でも、4Gのときと同じ世界観を追求したかったからです。mineoは、キャリアフリーを他社にない強みの1つにしています。お客さまがお持ちの端末を、そのままご利用いただけるようにする。別途5Gオプションの契約は必要になりますが、お使いの端末そのままで乗り換えることができます。料金体系もシンプルで、音声なしのシングルタイプでも、音声ありのデュアルタイプでも利用でき、容量も自由に組み合わせることができます。

―― MNO側が5Gメニューを用意していると思いますが、MVNO側には何か設備の変更は必要なのでしょうか。

福留氏 POIの設備の変更を行っています。P-GWの改修ですね。それぞれに確認しなければいけなかったので、そういう意味では大変でしたが、特にトラブルが起こることなくできました。

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