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» 2021年03月25日 06時00分 公開

MVNOで“専用アプリ不要の通話定額”はいつ定着するのか? 直近の動向を整理する(1/2 ページ)

MVNOのモバイル通信サービスは、データ通信量の大容量化や低廉化が年々進む一方、音声通話の料金やサービス内容にはあまり変化がない状況が長く続いていた。だが現在、その音声通話料金に関して大幅な見直しが進められている。MVNOでも専用アプリを使わずに通話定額が実現する日は、そう遠くないのかもしれない。

[佐野正弘,ITmedia]

 MVNOのモバイル通信サービスは、データ通信量の大容量化や低廉化が年々進む一方、音声通話の料金やサービス内容にはあまり変化がない状況が長く続いていた。だが現在、その音声通話料金に関して大幅な見直しが進められており、MVNOでも専用アプリを使う必要なく、通話定額サービスを利用できることが一般的になる日もそう遠くないかもしれない。

【更新:2021年3月25日17時45分 初出時、タイトルを「MVNOで“専用アプリ不要の通話定額”はいつ実現するのか?」としていましたが、日本通信が既に実現していることから、「実現」→「定着」と訂正致しました】

なぜMVNOの音声通話料金は下がらないのか

 携帯大手が相次いで投入した低価格な新料金プランに対抗すべく、MVNOも相次いで新料金プランを打ち出している。各社の発表内容を見ると、同じ通信量で料金が安くなっていたり、あるいは大容量通信ができるプランを従来の半値以下にしたりと、かなりの低価格化が進んでいる。

mineo 2021年1月27日に、オプテージの「mineo」が新料金プラン「マイピタ」を発表して以降、いくつかのMVNOが相次いで従来より低価格な新料金プランを発表している

 一方で、音声通話に関してはほとんどのサービスが30秒20円(税別、以下同)の従量制と、従来と変わっていない。もちろん各社が提供するオプションサービスを契約することで、中継電話サービスを用いた5分、10分などの通話定額は利用できるのだが、そのためには電話をかける際にプレフィックス番号を付与するか、専用アプリを使って通話する必要がある。

 ただこの仕組みが意外と厄介に感じることもあり、とりわけそのことを実感するのが、着信履歴から折り返しの電話をかける場合だ。通話着信にはスマートフォン標準の通話アプリを使うため、着信通知から折り返し電話をする際に専用アプリを経由できず、通話が定額にならず損をしてしまうことが多いのだ。

通話定額 MVNO各社が提供している専用アプリを用いれば、5分や10分などの通話定額は可能だが、着信に対して、専用アプリから折り返すことはできない(写真はIIJmioの「みおふぉんダイアル」アプリ)

 そもそもなぜ、MVMOのデータ通信は料金が大きく下がっているのに音声通話は料金が下がらないのかというと、携帯電話会社(MNO)からネットワークを借りる際、データ通信と音声通話とで料金が決まる仕組みが違っているからだ。多くのMVNOの場合、データ通信はMNOとMVNOの機器を相互に「接続」して通信するため、その料金は電気通信事業法で定められる所定の算定式で毎年算出された「接続料」で決まる仕組みとなっている。

 一方で音声は現状、データ通信とは異なり「卸役務」、要するにMNOのネットワークをそのまま借りているだけであることが多く、その場合MNOとMVNOとの交渉によって料金が決まる。つまり音声の卸料金は、データ通信の接続料とは違って毎年見直しがなされるとは限らないのだ。

通話定額 総務省の有識者会議「接続料の算定に関する研究会」第27回会合資料より。多くのMVNOの場合、データ通信はMNOに接続する機器を自ら持つため「接続」、音声通話は機器を持たないので「卸役務」での契約となり、料金が決まる仕組みも違っている

 そしてMNO側が音声卸の料金を長年見直してこなかったことが、音声通話料金が高止まりする要因となっていたのである。だがここ最近、その音声卸料金を見直す動きが急速に進んでいる。

卸料金の引き下げは基本料の引き下げに影響

 そのきっかけとなったのは、2019年11月に日本通信が申請した総務大臣裁定である。音声卸料金の高止まりでMNOと同じ音声通話定額サービスを提供できないことに不満を抱いていた同社は、NTTドコモに対して音声卸料金を「適正な原価に適正な利潤を加えた金額」にすることや、定額通話オプションを提供することなどを求め総務大臣裁定を仰いだのである。

 そして2020年6月に出た裁定の結果、前者の卸料金について日本通信側の主張が認められたことから、同社は月額2480円で音声通話がし放題になる「合理的かけほプラン」を2020年7月に提供開始。通話定額が認められたわけではないものの、この出来事を機として音声卸料金引き下げの機運が高まったことは確かだろう。

通話定額 日本通信は音声卸料金を巡ってドコモに総務大臣裁定を申請。その結果、音声卸料金の引き下げに関する主張が認められたことを受け、2020年7月に音声通話定額の「合理的かけほプラン」の提供を開始した

 実際、その後総務省は2020年10月27日に「モバイル市場の公正な競争環境の整備に向けたアクション・プラン」を公表。その中で「音声卸料金の一層の低廉化」が明文化され、行政主導でMNOに音声卸料金の引き下げを求めていく方針を明確にしている。

通話定額 2020年10月27日に総務省が打ち出した「モバイル市場の公正な競争環境の整備に向けたアクション・プラン」でも「音声卸料金の一層の低廉化」が明記されている

 では実際のところ、一連の動きによって卸料金がどれくらい引き下がるとみられているのだろうか。金額を公表しているドコモを例に挙げると、2020年時点では、音声通話サービスの提供に必要な「卸タイプ5G」(5G向け)と「卸タイプXi」(4G向け)のいずれも、基本料金が月額1480円、通話料が20円/30秒。回線数に応じた割引を最大限適用することで基本料が55%引きの666円、通話料が30%引きの14円/30秒とされている。

通話定額 総務省「接続料の算定等に関する研究会」第42回会合資料より。ドコモのモバイル音声卸料金は、割引の適用で基本料が月額666円、通話料が14円/30秒となっている

 ここで注目したいのが基本料だ。この基本料がある意味でMVNOの音声通話プランとデータ通信プランの差となっている。例えば、IIJmioやmineoの従来プラン(ドコモ回線)を見ると、音声通話機能付きSIMはデータ通信専用SIMより700円高く、おおむね音声卸の基本料を上乗せした分だけ料金が高くなっている。

通話定額 IIJmioの現行の料金プラン。ドコモ回線を用いた「タイプD」の割引前料金を見ると、音声通話プランがデータ通信プランよりも700円高く設定されている

 だがmineoの新料金プラン「マイピタ」を見ると、音声通話機能付きSIMとデータ通信専用SIMの料金差が230円〜380円にまで下がっており、IIJmioの新料金「ギガプラン」に至っては料金差が100円だ。現時点では携帯各社の新しい卸料金が明らかになっておらず、各社とも今後の卸料金の値下がりを予測してこの料金差に設定したとしているにすぎないが、今後それくらい基本料が下がると見込まれていることは確かだろう。

通話定額 IIJmioの新料金プラン。音声通話付きプランとデータ通信専用プランの差は100円にまで縮まっている
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